相続発生時のコインパーキング土地の評価
土地の無償返還に関する届出により、個人が同族法人に土地を貸します。その同族法人が、コインパーキングの運営会社に依頼して、コインパーキングをやります。この時に、個人に相続が発生した場合、土地の2割減評価は適用されますか?
税理士の回答

相続税評価における 貸地(貸家建付地等)評価 と コインパーキング の扱いはやや複雑ですので、整理してご説明します。
1. ご相談のスキーム
・個人が土地を所有
・同族法人に貸す(「土地の無償返還に関する届出書」を提出済)
= 借地権が法人に帰属しない(法人は「借地権なし」=更地に近い状態)
・法人がその土地でコインパーキングを運営(運営会社に委託)
2. 相続発生時の土地評価の基本
・相続税評価では、土地を 自用地評価するか、貸家建付地評価等で減額できるか がポイントです。
・「貸家建付地」とは、建物が建っていてその建物が貸家(賃貸住宅)である場合に認められる評価減。
・「貸宅地」とは、他人に土地を貸してその上に建物が建っている場合に認められる評価減。
👉 つまり、「建物が建っているかどうか」「借地権が発生しているかどうか」がカギです。
3. コインパーキング土地の評価の実務
・アスファルト舗装して区画線を引くだけの青空駐車場
→ 建物がないため、「貸家建付地」には該当しない。
→ また、借地権が発生しない(無償返還届を出している)ので、「貸宅地」にもならない。
→ 結果として 更地評価(自用地と同じ評価) となる。
・プレハブの管理小屋や簡易建物がある場合
→ それが賃貸借の対象となっていれば「貸家建付地」として一部評価減が認められることもあるが、通常のコインパーキングは該当しないことが多い。
4. ご質問のケース
・個人 → 法人に土地を貸すが、無償返還届出済なので借地権は発生しない。
・法人 → コインパーキングを運営するが、建物を貸す形態ではない。
👉 よって、貸家建付地の評価減(2割減)は適用できない。
相続税評価は 更地評価(自用地と同じ) になります。
5. 補足(実務上の注意)
・「貸家建付地の2割減」というのは、居住用建物を賃貸しているケースに適用されるもの。
・コインパーキング(青空駐車場)やトランクルームのようなケースは、原則 更地評価 です。
・相続税対策を意識するなら、賃貸アパートや賃貸住宅にした方が評価減の恩恵を受けやすいです。
まとめ
・無償返還届を出した同族法人への土地貸し → 借地権は発生せず。
・コインパーキングは建物貸しではない → 「貸家建付地」評価はできない。
・結果:相続発生時の評価は自用地(更地評価)、2割減評価は不可。
本投稿は、2025年08月26日 17時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。