相続した土地の売却にかかる譲渡所得について教えて下さい。
3人家族(夫・妻・子)の世帯になります。この度、夫が亡くなり妻が相続人として土地(宅地)・建物を相続致しました(名義変更済)。これを期に立ち退き(引っ越し)を検討しており土地を売却しようと思っていますが、土地を売却する際には「譲渡所得税」という物が発生する事を知りました。譲渡所得税について教えていただきたく投稿させていただきました。
大まかな譲渡所得税の仕組みは理解出来たのですが、計算式や税額が、どの様になるのか分からず困っております。
よろしければ詳しく教えて下さい。
分かる範囲での情報を記載します。
●売却する土地について…先祖代々から続く、かなり古い土地で夫から相続し名義変更をしました。夫 名義(相続)だった期間は5年を越えています。建物も、かなり古く(数十年経過)当時の購入金額や建築費用などは一切 不明(分からない)な物になります。相続税はかかりません。
●売却金額(予定)…ここでは仮の金額になりますが、解体費+測量費+不動産屋仲介費を差し引き、最終的に手元に残る金額は350万(売却収入費)になります。
計算式がヤヤッこしくなるので解体費などは先に差し引かせていただきます。
350万としてお考え下さい。
【ご質問】
この条件の元、土地売却をした際に掛かる譲渡所得税の計算のしかたや実際にかかる税金額を詳しく教えて下さい。
又、一般的に土地の前所有者(被相続人)の所有年数から引き継がれる?カウントされるとの事なので、この度の妻の相続(新相続人)により5年以上経過した土地として長期譲渡所得の計算(譲渡所得15%+住民税5%)のしかたという考えでよろしいでしょうか?
又、土地や建物の当時の購入費用や建築費など不明な場合は、「売却・収入費×5%」という計算式も有るようで……
ここからの計算式などが、よく分からないのでご説明いただけたらと思います。
実際、350万で計算した場合は、税金が、いくら掛かる事になるのでしょうか?
最後に、もう1点…譲渡所得税の払い方は、どうやってお支払いするのでしょうか?住民税は、確定申告後 役所より請求が来るのは分かっておりますが、譲渡税は、どの様にお支払いするのか分かりませんのでご案内いただけたらと思います。
よろしいお願いします。
税理士の回答
まずは利用状況がどうだったかという所があります。
相談者様が家族で居住していたところを売却する場合、譲渡所得の確定申告は必要ですが、居住用の3000万円の特別控除を適用することができます。
この場合、譲渡益が3000万円までは税金がかかりません。
次に譲渡物件が居住用でない場合は、350万円に対し、記載のとおり所得税(15.315%)と住民税5%の税金がかかります。
相続の場合は、前の人(何代も相続だとすると通算した年数)の所有期間も引き継いで所有期間を判断するので、当然長期譲渡所得に該当します。
最後になりますが、申告と納税はどうするかというと、譲渡をした年の次の年の確定申告(2/16~3/15)に所得税(15.315%)を申告するとともに、3/15までに所得税を納付します。
その後、市役所から6月ぐらいに住民税(5%)を納めなさいと納税通知書が来ますので、その通知書に記載の金額を納めて完了となります。
税務署から市役所に申告のデータが移管されますので、市役所には申告書を提出する必要はありません。
譲渡所得の計算式から説明します。
収入(譲渡価額)-原価(取得費)-経費(譲渡価額)-特別控除=所得金額
所得金額-所得控除×所得税の税率×復興税2.1%=納める所得税
収入は、お売りになる金額です。
原価は、遡ってその土地を購入した金額ですが、不明の場合には収入の5%とできます。なお、5%の金額よりも相続に係る登記費用が多ければそれを引きことができます。
経費は、解体費、測量費、仲介手数料、契約書の印紙代が一般的です。
特別控除ですが、お住まいの売却のようですので、3,000万円の特別控除に該当しそうです。これに該当すれば、所得税住民税がかかりません。
この特別控除のポイントは、
イ 奥様がご主人の死亡後も住んでいる家であること。
ロ 建物の取壊しから1年以内、かつ、その跡地を貸したりしていないこと、住まなくなってから3年目の年末までに売却すること。
ハ 住まい専用でない場合には、床面積で按分します。
ニ 買主が他人であること。
※正確には身内に対する売却でも該当する場合はあります。
ホ 3年以内にこの特例を受けていないこと。
ヘ 翌年に確定申告をすること。
特別控除に該当しない場合には、所得が計算されます。
奥様に譲渡以外の所得があるかどうかによりますが、無い場合には、この所得から、誰でも受けられる基礎控除38万円などを控除します。
税率は、長期に該当して所得税と住民税で20%+復興税です。
補足します。
国民健康保険には加入していますでしょうか。
加入している場合には、保険料への影響(保険料の増加)が考えられます。
加入している市町村で違いがありますので詳しくはそちらで確認してください。
特別控除の前で計算する場合と後で計算する場合があるようです。
髙橋一彦 税理士様
ご案内いただきありがとうございます。売却予定の土地・建物は居住用になります。夫側の先祖代々により数十年以上住み続けている土地で現在も、妻・子で住んでいる状態です。
流れとしまして、この土地・住居を売却し立ち退く(引っ越し)予定でございます(建物は古い為 解体します)。
3000万以下の特別控除に該当するとしましたら、元々の売却額が350万と低いので、譲渡所得税(+住民税)は、掛からない…確定申告しなくて良い?という事になりますでしょうか?
鎌田浩司 税理士様
ご案内いただきありがとうございます。3000万特別控除についてイ~ヘの項目に1つでも該当すれば控除対象になると考えてよろしいでしょうか?
だとしましたら、該当します。
【収入(売却費)350万×5%(取得費不明なので)=17万5000円】
と、なり
【350万(収入・売却費)-17万5000(取得費)-3000万(特別控除額)= -26,675,000】
となる計算式の考え方で、よろしいのでしょうか?となりますと(-)マイナスの合計になるのですが……この場合、赤字?という事で、譲渡所得税は発生しますでしょうか?
この計算の場合ですと、何か申告などの手続きや税務署への報告書?など必要になるものはあるでしょうか?
ちなみに国民健康保険には加入しております。妻は「後期高齢医療保険」
子は「国民健康保険」です。こちらも請求される税額(役所より)は上がり(高く)ますでしょうか?
税額が上がります場合、何か対策法は、ございますでしょうか?
土地の売却時に、例えば国民健康保険加入中・未加入中…とでは特に節税になるなどの効果などはございませんよね?
イ~ホのすべてに該当する場合です。
この場合、「ヘ」特例を受けることになるため、翌年の税務署への確定申告が必要です。
3,000万円の特別控除は最大限の金額で、特別控除をしてマイナスにはなりません。質問の例ですと、特別控除は3,325,000円です。
結果は、所得金額が0円です。
国民健康保険の保険料は、特別控除の前で計算する場合と、特別控除の後で計算する場合(したがって、0円ですから保険料が高くならない。)があります。保険料の通知が来ている役所に問い合わせてください。
鎌田浩司 税理士様
再度ありがとうございます。
イ~へ(ホ)全てに該当します。(へ)の確定申告は必要との事、再度 確認致しました認識違いでスイマセンでした。
売却をした翌年の確定申告(譲渡所得報告)は必要との事ですね?
申告書は作成しますが、譲渡所得税としての税額の入金・お支払いは必要ないとの認識で、よろしいのでしょうか?(所得0円なので)
又、確定申告時、通常の申告書A・B以外に、この不動産…譲渡所得についての記入・提出する書類は別途ございますでしょうか?申告書A・Bの申告書(のみ?)にて記入すれば、よろしいのでしょうか?
所得が0円ですから、譲渡所得に対する税金はありません。
申告書はBと分離課税用の第3表を使います。
加えて、譲渡所得の内訳書兼計算明細書を提出します。
鎌田浩司 税理士様
ご返信ありがとうございます。
なるほど…そうなのですね。今回の場合、譲渡所得税は発生しないのですね…安心しました。ただし譲渡所得税が発生しなくても申告は必要との事ですね。
「申告書B+分離課税用の第3表+譲渡所得の内訳書 兼 計算明細書」が確定申告時に提出となる書類ですね。
わかりました。細かくご説明いただきありがとうございます。とても助かりました。何度も、ご質問してしまい申し訳ありませんでした。ご説明された事を参考に進めさせていただきます。
ありがとうございました。
本投稿は、2019年04月01日 04時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。