叔母所有の不動産資産の甥への相続について
下記相続人の資産の生前贈与含めて相続税対策を検討しております。
助言頂けますでしょうか。
A. 被相続人
①叔母(資産: 4,520万円、子供なし)
- 不動産(建物): 2,000万円(自宅兼賃貸アパート)
- 不動産(土地): 500万円
- 不動産(自宅外土地): 20万円(山林)
- 有価証券(上場株): 1,000万円
- 預貯金(銀行預金等): 1,000万円
B. 相続人
②私(①実父から生前贈与(住宅購入)\2,500万円受領済み)、
[相談1]
①叔母の資産を相続とすべきか、譲渡とすべきかを助言頂けますでしょうか。
叔母から甥への相続税は2割加算となる旨は認識しておりますが、譲渡する場合との納税額の比較をしたいです。
また、不動産資産については、②私の合同会社にて買取する事も検討しています。
節税の観点でどれが適切でしょうか。
[相談2]
①叔母から甥への相続とした場合、賃貸アパートの土地について、貸家建付地評価の活用で課税額が30%程度減額される認識で正しいでしょうか。
税理士の回答
1 相続税
4520万円-3600万円(相続人1人のときの基礎控除額)=920万円
920万円×10%(税率)×1.2(加算)=110.4万円
2 譲渡所得
譲渡所得は売却価額に税率をかけて税額が計算されるわけではなく
譲渡所得金額に税率をかけて計算されます。
したがって、譲渡所得金額が不明ですと税額計算ができません。
※ 譲渡所得金額= 売却価額-(取得費+譲渡費用)
税率は長期保有の不動産の場合:20.315%(住民税込み)
3 留意点
資産を時価で売却したとしても、財産がなくなるわけではなく、売却
代金が財産に加わることから、売却の前後で資産の額は変わりません
むしろ、売却の際にかかる手数や、不動産取得税及び登録免許税等を
考慮すると、相談内容の資産であれば、相続まで待ったほうがよいと
思われます。また、貸家建付地については、借地権割合が70%の地域
は自用地価額の79%、借地権割合が60%の地域は自用地価額の82%
の評価となります。
いずれにしても、詳細なデータを提供して、税理士に検討してもらう
ことをお勧めします。
1. 相続税
叔母から甥への相続につき、基礎控除の考え方と実子への相続の2割増が課税される旨を了解しました。
2. 譲渡所得
例えば、譲渡不動産(建物)の売却価額が2,000万円、取得費と譲渡費用を20万円とした場合、譲渡取得金額は1,980万円になると理解しています。その場合の譲渡所得税は\4,022,370となると理解しました。
3. 留意点
合同会社へ不動産を売却しても、叔母の資産は不動産分が現金となり、増減がなく、更に売却に伴う不動産取得税や登録免許税等が追加コストとなる事から、相続を待つべきとの助言となる旨を了解しました。
となると、当該アパートの賃貸収入による資産増加による相続税の増加分と合同会社による売買に要するコスト(不動産取得税、登録免許税、譲渡所得税等)を比較して、方針を検討すると理解しましたが、正しいでしょうか。
例えば、賃貸収入が年間500万円が10年間と試算した場合、5,000万円増加となる場合、相続税は以下の試算で約1,400万円となることから、合同会社への売却が適切となるとの考え方で正しいでしょうか。
(4,520万円+5,000万円)-3,600万円*20%(税率)=\14,208,000
追加での質問となりますが、教示の程を宜しくお願いします。
考え方は相談者が記載されているとおりです。
最後の税額は12,912,000円ではないでしょうか
{(9520-3600)×30%-700 }× 1.2
加門先生、追加質問にも迅速に回答頂き、ありがとうございます。
相続税と合同会社による買取への課税額の比較検討に関する考え方について、認識相違が無い旨を了解しました。
ご回答及びご指摘から税額の試算は以下となると理解しました。
- 現在の資産額での相続税: \1,104,000=(4,520万円-3,600万円)*10%*1.2 -①
- 10年後の資産額での相続税: \12,912,000=((4,520万円+500万円(月額賃貸収入)*10年-3,600万円))*30%(税率)-700万円(控除額))*1.2 -②
- 合同会社買取による譲渡取得税: \4,022,370=(2,000万円(売却却価額)-20万円(取得費と譲渡費用))*20.315% -③
上記税額計算が正しい前提で、以下の試算と比較から、合同会社による買取をした方が、\7,785,630の節税となると考えますが、正しいでしょうか。
- 現在、合同会社にて買取した場合の相続税(賃貸収入がこれ以上発生しない前提)と譲渡所得税: \5,126,370 (①+③)
- 10年後に合同会社へ売却せずに相続した場合の相続税(賃貸収入による相続資産が増加する前提): \12,912,000 (②)
合同会社側の買取及び不動産取得税及び登録免許税等のコストを考慮しない場合の比較としています。
2,000万円の時価である場合、加門先生のご助言の通り、合同会社が買取をする場合、約1,300万円弱の追加コストを要することから、全体コストの観点から相続を待つ方が割安である旨は認識しておりますが、比較検討の仕方について再確認したく。
当初、相続が有利であろうと申し上げたのは、1年当り500万円の収益を生むということは前提にしておらず、この分が追加されるなら、相談者の見解でよろしいと思います。なお、相当の収益を生むのであれば、毎年の所得税や法人税も織り込んで比較されるのがよいと思われます。このコーナーでの検討は限界もありますし、前提条件によっても変わってまいります。その意味でも、個別に税理士に依頼して比較検討されたほうがよいと思います。
加門先生、回答頂き、ありがとうございます。
私の考え方での比較検討をする方針につき、問題ない旨と詳細は個別に税理士に相談すべき旨を了解しました。
丁寧に対応頂き、ありがとうございました。
本投稿は、2019年07月05日 19時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。