相続額の不公平さを埋めるための不動産の保有を目的としない代償分割について
被相続人Aの名義となっている不動産を、Aの死後5年以上たって相続人B、Cで分割相続をすることとなり、調停の準備を進めております。
主たる遺産は、Aが居住していた店舗兼用住宅とその土地です。住宅については50年以上を経過しているため査定額は0円となっております。
相続人BはAの生前から現在まで該当不動産に居住しておりますが、不動産名義はAのままとなっております。
以下、売却による各相続人の利益が3000万に満たず、かつ相続税が発生しない遺産総額としてご相談を進めさせていただきます。
Bには代償金を支払う財産がなく、また30坪程度の土地のため半分を売却して代償金にあてるというのも現実的ではないため、弁護士からは全不動産を売却しての換価分割を勧められております。
換価分割で法定相続分どおりの1/2づつの分割額とした場合、Bには不動産売却により居住用財産譲渡の3000万円控除が適用されるため譲渡所得税が0円となりますが、Cには特別控除が適用されないため法定相続分どおりの分割では実際の相続額において公平性を欠くこととなります。
このため、換価分割ではなく代償分割とし不動産をBの名義で売却し、Cは売却額の1/2を代償金として受け取る形にはできないものかと考えておりますが、このような場合には代償分割は認められないもののでしょうか。
また、代償分割が認められない場合、相続割合による調整以外で税負担額の不公平性を埋める手立てはございますでしょうか。
以上、ご教示のほどよろしくお願いいたします。
税理士の回答
相談者様記載のようにBが不動産をすべて相続し、売却金額の1/2をCに代償金で渡すということで問題はないと思います。
ただ、気になるのは相続した物件が店舗兼用住宅ということなので、その物件に居住しているBが相続して売却をしても、店舗部分に相当する金額については3000万円の特別控除は適用できなくなります。
高橋一彦先生、ご回答ありがとうございます。
ご指摘いただいた、「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」についてのタックスアンサーを確認してみました。
単純例として
・計算式にあてはめて得られた「居住の用に専ら供している部分」の面積:50㎡
・土地面積:100㎡
・売却による所得:4000万円
であった場合の特別控除適用対象額は2000万円となるという理解であっておりますでしょうか。
また、換価分割として共有名義で売却しBが得る所得額が1/2の2000万円となった場合も、特別控除額はそのままでしょうか?あるいはBの2000万円の所得額に対して居住部分50㎡分をあてはめた、1000万円のみが控除対象となるのでしょうか。
重ねてのご質問となり申し訳ございませんが、ご回答いただけますと幸いです。
まず、店舗部分の床面積と居住部分の床面積で譲渡価額を按分し、居住部分に相当する価額については3000万円の特別控除適用可となります。
そのため、上記の条件、土地100㎡、居住用床面積50㎡に仮にその他に店舗床面積が100㎡とした場合には、建物の利用状況が居住用1/3、店舗用2/3となるので、4000万円の売却価額のうち、3000万円の特別控除の対象は1/3部分となります。
あくまでも建物の利用状況で考えます。
また、次の質問ですが、今回の相続では、一旦Bが不動産をすべて相続するということなので、上記の例で行くと2000万円が特別控除の対象となります。
高橋先生、追加質問へのご回答もありがとうございました。
本投稿は、2021年02月28日 22時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。