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相続税の申告で「税務調査」の対象に?その実態と対策【税務調査ガイド】

相続によって一定以上の財産を取得した場合には「相続税申告」をしなければなりません。実はこの相続税、「税務調査の対象になりやすい」と言われているのはご存知ですか? そこでこの記事では、税務調査の基本的な知識をはじめ、相続税申告における税務調査の概要や知っておくべきこと、さらに、「相続税の還付」についてまで解説します。

目次

税務調査の基礎知識

相続税では納税者が自ら申告・納税を行う「申告納税制度」が採用されているため、申告漏れなどのミスが想定されます。そこで税務署など国税庁の組織は税務調査を行い、申告された内容が正しいかどうかを確認しているのです。

税務調査は大きく「任意調査」と「強制調査」の2種類に分かれる

税務調査には、大きく分けて任意調査と強制調査の2種類があります。

税務調査の多くは「任意調査」

税務調査のおよそ80%は「任意調査」といわれており、相続税が対象の場合であってもほとんどが任意調査です。任意調査の場合、原則的には事前通知がなされることになっています。ただし「任意」といえども、調査自体を正当な理由なく拒否できるわけではありません。

マルサで有名な「強制調査」

脱税のような悪質行為が疑われる場合には、国税局査察部が裁判所の令状を得たうえで「強制調査」を実施します。調査の結果によっては刑事事件として扱われることもある、という点でも任意調査とは性質が大きく異なります。ちなみに映画で有名な「マルサ」という言葉は、この国税局査察部を指す隠語です。

相続税における税務調査の概要

税務調査は対象となる税目ごとに実施件数などの概要に特色があります。ここでは「相続税における税務調査の概要」をみていきましょう。

相続税の税務調査が実施される割合

一般的に相続税の税務調査は4、5人に1人の割合で実施されると言われています。

また、国税庁によると、平成27事務年度分および平成28事務年度分として「相続税対象の税務調査状況」ならびに「調査により申告漏れ等が発覚した件数」は以下の通りとなっています。

  平成27年事務年度分 平成28年事務年度分
相続税申告件数 103,043件 105,880件
税務調査(実地調査)件数 11,935件 12,116件
調査により申告漏れ等が発覚した件数 9,761件 9,930件

上記のデータから、相続税の税務調査においては申告漏れなどが指摘される割合が80%以上であることが分かります。

ちなみに法人税の場合、税務調査の対象となる割合は3%程度となっていることから、相続税は比較的に税務調査の対象となりやすいと言えるでしょう。

税務署は被相続人の情報をどこまで把握している?

税務署が把握しているのは納税者の税務申告状況のみではありません。関連して以下のような情報も把握しています。

  • 収入関係の資料
    被相続人(亡くなった方)の生前の源泉徴収票(給与所得・退職所得)や支払調書(不動産・株式・生命保険など)を確認します。生前の収入状況から、相続財産のおおよその規模を想定し、申告内容と極端に差がないかをチェックしています。
  • 銀行口座情報
    税務署は被相続人の口座情報はもちろんのこと、相続人やそのほかの親族の口座情報まで確認します。そこで預金残高や入出金履歴、払戻依頼書などの情報から、お金の動きに不審な点がないのかをチェックしているのです。
  • 不動産登記に関する情報
    相続財産の中で、非常に多くの価格割合を占めるのが「不動産」です。その登記情報は法務局が管理していますが、相続発生時には税務署も把握できるようになっています。相続税申告書に申告されている不動産と、不動産登記の情報を照合して、申告漏れがないか確認しています。

税務調査の対象となりやすいケースとは

相続税を申告した納税者全員が税務調査の対象となるわけではありません。あくまで傾向ですが、たとえば以下のような特徴が見られる納税者は税務調査の対象となる可能性が高いと言われています。

収入に対する相続財産のバランスがおかしい

先述の通り、税務署は過去の所得税申告書や源泉徴収票、支払調書などから被相続人の収入を正確に把握しています。そのため、相続税申告書における相続財産の金額と生前の収入のバランスがあまりにも合わなければ、稼いでいたお金の使い道を不審に思われる可能性が考えられます。

銀行口座のお金の流れが不自然

税務署は被相続人をはじめ、相続人やほかの関係者の銀行口座を確認できるため、預金残高や入出金履歴からお金の流れをチェックします。たとえば以下のように不審な状況が確認できる場合は申告漏れなどを疑われ、税務調査の対象となる可能性があります。

  • 家族の口座に収入に合わない多額の預金がある
  • 一度に高額な入出金が多い
  • 海外の口座へ送金した履歴がある

相続財産に「土地」が多い

土地を相続した場合、相続税を計算する際に一定の計算のもとに評価額を算出し、それに対して相続税が課されます。しかし土地の評価額の算出は非常に複雑と言われており、土地の広さや立地条件など必要な要素をすべて洗い出し、それに対して補正を加えなければなりません。

そのため、納税者が自分で申告したり、税理士に依頼した場合でも相続税申告に不慣れだったりするとミスが起きやすく、結果税務調査の対象となりやすいのです。

相続税の税務調査に備える

いざという場合に備えて、税務調査が行われやすい時期や調査の流れ、準備しておくべき資料などを把握しておきましょう。

相続税の税務調査が行われる時期

税務調査が行われやすい時期には傾向があります。というのも、税務署の事務年度は7月始まりとなっているため、その後人事異動や組織編成が行われた夏の終わり〜秋頃がピークと言われています。

相続税の税務調査は被相続人が亡くなってすぐではなく、相続税申告から1~2年経ってから実施されることが多いようですので、相続税を申告した1~2年後の夏の終わり〜秋頃には税務調査実施の通達がくるかもしれません。

税務調査が行われる場所

相続税の税務調査は、相続財産の詳細を調べることになるため、通常は被相続人の自宅、もしくは、相続人の自宅で行われます。

場合によっては被相続人が利用していた銀行などの金融機関で、貸し金庫などの調査が実施されることもあります(反面調査)。

税務調査の終了までの流れ

相続税の税務調査は、一般的な調査の場合、おおまかに次のような流れで進行します。

  1. 準備調査
    実地調査で確認すべき事項の洗い出しなど
  2. 事前通知・意見聴取
    税務調査を実施する旨の連絡
  3. 実地調査
    関係資料のチェックなど
  4. 調査終了
    問題なければその旨を通知して終了
    ※指摘事項がある場合は修正申告または期限後申告の勧告

申告書に「書面添付」がある場合には、準備調査で洗い出された疑問点について税理士への意見聴取が行われ、実地調査が省略されることがあります。

また、実地調査時に不足していた資料を後日改めて求められる、といったことも場合によってはあります。

調査官はどこまで調べる?準備すべき資料は?

税務調査当日は、事前に綿密な準備調査をしてきますので、書類や資料を指定してお金の「動き」とその「根拠」を確認します。

相続税の申告状況がわかるような、たとえば通帳や不動産の権利証、保険の証券や株式の取引履歴、贈与契約書はもちろん、相続財産に土地がある場合については、現地を確認することもあります。

関係する資料については、事前通知がされた段階であらかじめ準備しておきましょう。

税務調査当日に立会いができるのは?

基本的には相続税申告をした相続人のみとなりますが、税理士に同席を依頼したり、あるいは税理士のみで立会ってもらうことも可能です。

税務調査当日の立会いだけであれば法律上は第三者でも可能ですが、納税者に代わって調査官の質問に答えたりすることは禁止されています。

相続税の申告自体は納税者自身で行なった場合でも、税務調査の対応のみ引き受けてくれる税理士もいますので、不安な場合は事前通知を受けた段階ですぐに相談しましょう。

税務調査で指摘された時のペナルティ

税務調査の結果、指摘事項があった場合には「修正申告」または「期限後申告」を行うよう税務署より勧告されます。申告内容の是正に加え、本来の納めるべき正しい税額(本税)との差額分を含め、延滞税などの追徴課税と呼ばれるペナルティが発生します。

延滞税

税務調査によって申告漏れが発覚した場合は、本来の納税期限から追加納税までの期間について「延滞税」という利息が本税に対し課されます。

税率は、法定期限から最初の2ヶ月間は年7.3%または[特例基準割合+1%]のいずれか低い割合となり、それ以降は原則14.6%または[特例基準割合+4%]のいずれか低い割合となります。

過少申告加算税

税務調査の結果、申告した相続税額が本来の金額よりも少なかったと指摘された場合には「過少申告加算税」というペナルティが発生します。税率は基本的には10%(納税額が50万円を超える部分については15%)となります。ただし修正申告のタイミングによっては次の通りに免除、または軽減されます。

修正申告のタイミング 過少申告加算税
税務調査の事前通知前 免除
事前通知後〜調査終了まで 5% (納税額が50万円を超える部分については10%)

無申告加算税

税務調査の結果、法廷期限内に相続税が申告されていなかったことが判明した場合には「無申告加算税」がペナルティとして課税されます。税率は基本的には15%(納税額が50万円を超える部分については20%)となります。こちらも期限後申告のタイミングによって次の通りに税率が軽減されます。

期限後申告のタイミング 無申告加算税
税務調査の事前通知前 5%
事前通知後〜調査終了まで 10% (納税額が50万円を超える部分については15%)

なお、過去5年以内に一度でも無申告加算税を課されたことがある場合には、加重措置として税率が10%プラスされ、25%(納税額が50万円を超える部分については30%)となります。

重加算税

申告内容について意図的な仮装・隠ぺいしている事実が判明した場合については、過少申告加算税あるいは無申告加算税に代わり、「重加算税」が課されます。税率はそれぞれ、過少申告加算税に代わる場合には35%、無申告加算税に代わる場合には40%となります。

ただし、過去5年以内に重加算税を課せられたことがある場合には税率が10%加重され、過少申告加算税に代わる場合には45%、無申告加算税に代わる場合には50%となります。

延滞税、加算税は延納できない

相続税の納付においては原則現金での一括納付と決められていますが、なんらかの理由でその納付が困難である場合には年賦で納める「延納」、または現金以外の相続財産を納付に充てる「物納」が認められるケースもあります。

ただし、延納または物納が認められるのは本税に対してのみとなるため、加算税や延滞税に関しては認められていません。

更正や決定に不服がある場合

税務調査の結果にどうしても納得できない場合、修正申告または期限後申告のいずれも行わず、次のように不服を申し立てることができます。

再調査の請求

「再調査の請求」は、現処分を下した税務署長に対し処分を再検討してもらうための制度です。税務調査の結果を受けてから3ヶ月以内であれば再調査の請求ができます。

審査請求

再調査の請求の結果にも納得ができない場合は、再調査での処分の決定を受けてから1ヶ月以内であれば「審査請求」ができます。請求先は国税不服審判所長となり、再調査の請求を省略して審査請求をすることも可能です。その場合は、税務調査の結果を受けてから3ヶ月以内に審査請求の申し立てをする必要があります。

さらに、審査請求で下された裁決の内容にも不満がある場合、裁決を受けてから6ヶ月以内に「訴訟」を提起することができます。

知っておきたい「相続税の還付」

ここまでは「申告・納付した相続税額が本来の金額よりも少なかった場合」を想定して解説してきましたが、実はその反対、つまり「申告・納付した相続税額が本来の金額よりも多かった場合」も起こり得ます。その場合は納め過ぎた分を還付してもらわなくてはなりません。

なぜそのような過大申告が起こるかと言うと、相続税については適用できる各種控除制度や特例制度、および、土地の評価額を下げられる補正項目が複数あり、申告時にこれらの適用が漏れている可能性があるのです。

過大申告については税務署側からの指摘がないため、納税者自身で気が付かなければ還付してもらうことができません。

もしも過大申告に気付いたときは「更正の請求」を行い、税務署側で承認されることで納め過ぎた相続税が還付されます。更正の請求は、本来の申告期限から5年以内であれば可能です。

気になる方は、一度相続税に強い税理士に依頼して、相続税の「セカンドオピニオン」を検討してみましょう。

「書面添付制度」とは

書面添付制度とは、相続税申告を担当した税理士が、相続税申告書の作成にあたって、どんなことを調査したのかについて記載した書面を相続税申告書と一緒に添付して提出する制度のことをいいます。

もっと簡単に言うと、税理士が相続税申告書に「お墨付き」をつけて申告するようなイメージです。

税務署としては、書面添付されている申告書は精度がある程度高い、と判断するため、書面添付がされていない申告よりも、圧倒的に税務調査の対象となる可能性が下がると言われています。

また、書面添付制度を利用している場合、あらかじめ税理士に対して意見聴取を行うことで税務調査が省略されたり、税務調査が行われることになってもまず税理士に事前通知がされることになるため、納税者としても安心です。

相続税申告については、税理士に依頼して書面添付してもらうことが、税務調査を回避する近道と言えるかもしれません。

おわりに

前述の通り、相続税の税務調査では80%以上という高確率で申告漏れなどが発覚します。実際のところ、土地や有価証券など、現金以外の相続財産について評価額を算出するのは容易ではありません。不要な追徴課税を避けるためにも、申告時には相続税に強い税理士に依頼し、正しく納税するよう努めましょう。

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