脱税の税務署への報告について
弊社の元従業員が会社のお金の横領していることが発覚しました。現在、弁護士を立てて係争中です。ただ、元従業員は横領したお金の一部しか認めておらず難航しております。
横領したお金は自分のポケットマネーや自身の設立した会社に回していたようです。
当横領金は、個人でも会社でも確定申告していないので脱税でもあるかと思います。
この場合、所轄の税務署に伝達すれば、税務調査等行ってもらえるものなのでしょうか。
税理士の回答

自社の従業員の横領が発覚した場合には、法人にとって損失が発生しているため、横領が発覚した時点でその横領損失額は損金の額に算入されます。法人は横領が発覚し損害を受けた時点で自社の役員や従業員に対して損害賠償請求をする権利が確定しているものと考えられるため、原則として、損失の計上時に損害賠償請求権を益金の額に算入することとなります。つまり横領の発覚時に横領損失と損害賠償金収入という、損失と収益の両建てとなります。そして、自社の従業員に対する債権を回収していくことになります。
この考えに基づいた場合、「横領したお金は自分のポケットマネーや自身の設立した会社に回していたようです。」については、相手側の個人あるいは法人においても横領による利得と損害賠償請求による損失が発生することになりますので、「当横領金は、個人でも会社でも確定申告していないので脱税」と認定することは難しいと考えます。
なお法人において、従業員に対して資力があるにもかかわらず損害賠償金の回収を途中で免除した場合などには、給与として取り扱われ、その免除額に対応する源泉税の納税義務が課されます。また既に解雇されている元役員又は元従業員に対して損害賠償金の回収を途中で免除した場合には免除額の全額が寄付金として認定されますので一時所得が課されます。
税務署による調査等の実施を期待できるか分かりませんが、情報提供という形で「自身の設立した会社」も含め、事実関係を相談されるのも一つの方法と思われます。
本投稿は、2023年11月23日 20時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。