追徴課税 正直、当たり前にあるものですか?
税理士の先生方への質問として、大変無礼なことを承知でお尋ねしたい事があります。
とある記事で、法人税の税務調査のうち4分の3は否認され、追徴課税を受けているという旨の記載がありました。
ほとんど税理士の方々が介入してるであろう法人税でここまで高い割合ということに正直驚いています。
もちろんその記事の内容に多少誤りがあるのかもしれませんが…
税理士の先生方から見て、追徴課税というのは日常的にあることなのでしょうか?
また、税務調査というのはどんなにクリーンな申告をしているような所に対しても粗を探してなんとか納めさせようとするものなのでしょうか?
税理士の回答
当該記事の要否はわかりませんが、法人税の調査で追徴課税というのは、間々あるかと思われます。
もちろん税理士は適正な法人税の申告を心がけていますが、納税者が税理士の言うことを聞かなかったり、あるいは、税理士の把握できないところで脱税のような行為をしていたりなどで、追徴課税に至るケースもあるかと思われます。
納税者および税理士と、課税当局との間で、見解の相違があり、結局追徴課税されるというケースもあるかと思います。その場合は後日裁判にまで発展したりするケースもあります。
税務署の成績の関係もあり、調査をして手ぶらでは帰れないので、細かいところに粗を探すような調査官もいますが、すべての調査官がそういうわけではないと思います。適正な申告をしており、調査をした結果、何も問題はなかったとして、申告是認で終わるケースも間々あるからです。

佐藤和樹
【1. 法人税調査の4分の3が否認される件について】
これは完全な誤りではありませんが、誤解を招きやすい数字です。
国税庁の統計では、実地調査を受けた法人の約70〜80%で申告漏れが指摘されています。
ただし、その「申告漏れ」には、意図的でないミスや解釈の違いも含まれます。
「追徴=脱税」ではなく、「何らかの是正があった=1件」とカウントされています。
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【2. 追徴課税は日常的にあるのか?】
はい、税務調査では一定の頻度で追徴課税が発生します。
ただし金額や内容には差があります。
・数千円〜数万円:交際費の処理ミス、記帳誤りなど。比較的よくある
・数十万円〜百万円以上:グレーな節税、売上除外、名義預金などがある場合
・重加算税や告発:意図的・隠蔽的な脱税。非常にまれ
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【3. クリーンな会社でも粗を探されるのか?】
ある意味で「はい」です。
調査官は成果(是正)を求められているため、まったくの指摘なしは稀です。
ただし、明らかにクリーンな企業に対して無理に課税するようなことは基本的にしません。
調査官は次のような点を確認します。
・法令や通達に沿った処理になっているか
・グレーな処理がないか
・経済的合理性があるか
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【4. 税理士がいても追徴されるのはなぜか?】
・税理士は過去の全処理を把握しきれないことがある
・税理士のスタンスによってリスクの取り方が異なる
・クライアント側が重要な情報を伝えていない場合がある
・調査官と税理士の間で解釈が分かれる「グレーゾーン」がある
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【結論】
・税務調査で「何も出ない」ことは少ないが、重大な追徴があるとは限らない
・信頼できる税理士がいることで、追徴のリスクや金額は最小限に抑えられる
・税務調査は「税務の点検と説明の場」と捉えるのが現実的

三嶋政美
ご質問、まことに率直で重要なご指摘だと思います。実際、税務調査において「是認(指摘なし)」で終わるケースは決して多くなく、何らかの指摘がなされる割合が高いのは事実です。ただし、それがすべて悪質なものというわけではなく、経費の処理方法や認識のズレ、資料の不足による形式的な修正が多くを占めます。税務署側も調査には人件費を投じるため、一定の成果を求める傾向があるのは否めません。よって、どれほど誠実に帳簿を作成しても「完璧」は難しく、調査対応には事前準備と説明力が求められます。
本投稿は、2025年05月20日 23時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。