源泉所得税の計算について(「乙」計算の判断基準)
お世話になっております。
会社で給与業務を担当している者です。
標題の件ご相談申し上げます。
弊社に正社員で新入社員が入社予定なのですが、以下相談を受けました。
会社としてはどのように対応したらよろしいのでしょうか・・、
ご指導いただきくお願い申し上げます。
<本人からの申出内容>
・弊社の他、複数の会社で勤務している。
全部の会社に、所得税の計算は「乙」で計算してもらっている。
マルフはどこにも提出していない。
確定申告するため、「乙」でかまわないと思っている。
なので、御社でも「乙」で計算してほしい。
雇用契約書も「乙」で作ってほしい。
上記内容です。
・正社員勤務の者が「乙」になることは起こり得ますでしょうか。
弊社で社会保険にも加入するため、弊社が主たる勤務先になることは明らかです。
・主たる勤務先を決めず、全ての勤務先で「乙」で給与処理することは問題ないのでしょうか。
・主たる勤務先が弊社であることが明らかであっても、「乙」で計算されたいがために上記申出を聞き入れ、
税表区分「乙」で雇用契約し、「乙」計算を実施して問題ないのでしょうか。
大変恐れ入りますが何卒ご指導の程宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

・正社員勤務の者が「乙」になることは起こり得ますでしょうか。
ありえます。ほかでも給料があれば、正社員であろうがなかろうが、乙でよい。扶養申告申請書を出さない社員は全て乙です。問題はない。
弊社で社会保険にも加入するため、弊社が主たる勤務先になることは明らかです。
それと、扶養申告申請書を出すか出さないかは関係がない。
乙でお願いします。そのような例はいっぱいあります。
・主たる勤務先を決めず、全ての勤務先で「乙」で給与処理することは問題ないのでしょうか。
・主たる勤務先が弊社であることが明らかであっても、「乙」で計算されたいがために上記申出を聞き入れ、
税表区分「乙」で雇用契約し、「乙」計算を実施して問題ないのでしょうか。

・主たる勤務先を決めず、全ての勤務先で「乙」で給与処理することは問題ないのでしょうか。
問題はない。
・主たる勤務先が弊社であることが明らかであっても、「乙」で計算されたいがために上記申出を聞き入れ、税表区分「乙」で雇用契約し、「乙」計算を実施して問題ないのでしょうか。
雇用契約と所得税の甲乙はまったく別なものである。
一切問題はない。
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甲欄・乙欄の別は、扶養控除等申告書の提出有無で決まります。
主たる勤務先の正社員であっても、扶養控除等申告書が未提出であれば乙欄で計算することとなり、特に問題は生じません。
乙欄で計算する方が、源泉徴収税額は大きくなります(納税者不利)ので、
その観点からも税務上問題にはなりません。
竹中先生
お世話になっております。
早速のご指導ありがとうございます。
給与、賞与からの所得税控除計算にあたっては、
「正社員である」、「メインの勤務先である」ということは関係なく、
「マルフ」の提出があるか、ないかによるということですね。
続けて申し訳ないのですが、複数勤務先がある場合、
いずか一ヶ所にはマルフの提出が必要だと思っていたのですが、
その必要はなく、
複数勤務先の全てにマルフを提出していなければ、
複数勤務先の全てで「乙」計算となる、という認識でお間違いないでしょうか。
大変恐れ入りますが何卒宜しくお願い申し上げます。
丸尾先生
お世話になっております。
早速のご指導ありがとうございます。
給与、賞与からの所得税控除計算にあたっては、
「正社員である」、「メインの勤務先である」ということは関係なく、
「マルフ」の提出有無により有=甲、無=乙の計算になるということですね。
続けて申し訳ないのですが、複数勤務先がある場合、
いずれか一ヶ所にはマルフの提出が必要だと思っていたのですが、
その必要はなく、
複数勤務先の全てにマルフを提出していなければ、
複数勤務先の全てで「乙」計算となる、という認識でお間違いないでしょうか。
本人は、全ての勤務先で「乙」の高い所得税率で計算され、
その分確定申告で還付を受けたいという希望とのことなのですが・・
大変恐れ入りますが何卒宜しくお願い申し上げます。

給与、賞与からの所得税控除計算にあたっては、
「正社員である」、「メインの勤務先である」ということは関係なく、
「マルフ」の提出があるか、ないかによるということですね。
その通りです。
出さない人は全て乙です。
続けて申し訳ないのですが、複数勤務先がある場合、
いずか一ヶ所にはマルフの提出が必要だと思っていたのですが、
その必要はなく、複数勤務先の全てにマルフを提出していなければ、
複数勤務先の全てで「乙」計算となる、という認識でお間違いないでしょうか。
はい。本人の意思です。
本来は税務署に出すところを、税務調査の時点で、会社に保存していればよい。甲欄摘要ですが、調査時点でなければ、乙欄に更生されます。

ご認識のとおりです。
扶養控除等申告書の提出がないため、各社年末調整は行わず、確定申告で各社から源泉徴収された源泉税が精算されます。
◆ご参考(国税庁 給与所得の源泉徴収税額の求め方)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2024/data/19-22.pdf
竹中先生
お世話になっております。
ご返信ありがとうございます。
「マルフ未提出」→「従たる給与支払先」→「乙欄」適用となるのですね。
複数勤務先、全ての勤務先で「乙欄」適用されることはなく、
いずれかの勤務先にはマルフを提出する必要があると思っていました。
知識不足で申し訳ありません。
ご指導ありがとうございました。たすかりました。
丸尾先生
お世話になっております。
ご返信ありがとうございます。
「マルフ未提出」→「従たる給与支払先」→「乙欄」適用となるのですね。
複数勤務先、全ての勤務先で「乙欄」適用されることはなく、
いずれかの勤務先にはマルフを提出する必要があると思っていました。
また、雇用契約書に記載された内容(「税区分は「甲」を適用するものとする」)が
優先され効力が強いと思っていましたが、
あくまでも「マルフの提出有無」で判断されるのですね。
知識不足で申し訳ありません。
ご指導ありがとうございました。たすかりました。

マルフの提出有無でどの税額表を使うかは所得税法で定められています。
契約よりも法律が優先です。
ただ、雇用契約書に甲欄適用を記載し、締結したのであれば、
会社は新入社員にマルフの提出を求め、新入社員は会社にマルフの提出をしないと契約不履行になるかと思います。

あくまでも「マルフの提出有無」で判断されるのですね。
あくまで、それのみで判定します。
それ以外は考えない。
本来は税務署に出すところを、税務調査の時点で、会社に保存していればよい。甲欄摘要ですが、調査時点でなければ、乙欄に更生されます。
丸尾先生
お世話になっております。
ご返信ありがとうございます。
雇用契約書に記載して契約締結しているのであれば、会社は提出を求める必要があり、
今回のように、事前にマルフ提出しない旨確認しており、「乙」適用とわかっているのであれば、
雇用契約書にも税表区分は「乙」適用とする旨記載が必要ですね。
ご指導ありがとうございます。たすかります。
竹中先生
お世話になっております。
ご返信ありがとうございます。
「マルフの提出有無」で判断の旨承知致しました。
ご指導いただきありがとうございます。たすかります。
本投稿は、2025年05月15日 20時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。