1つの屋号を2人の個人事業主で経営する場合
現在、私が個人事業主代表で、友人が従業員という形で経営してます。
ゆくゆくは、売上や経費など事業に関わるものは折半で友人も個人事業主になろう考えているところです。
そこでいくつか疑問があります。
①売上伝票や経費の領収書は1枚でもその都度折半して記帳しても問題ないでしょうか?
1枚の売上伝票や領収書をもとに、それぞれが記帳する方法です。
②それとも売上や経費は、どちらか1人が管理し末締めで集計して、もう1人に売上金を渡す、経費の請求を行う方法が良いでしょうか?
その場合の仕訳や勘定科目も知りたいです。
③現在、私名義で青色申告をしており、友人も個人事業主になった場合は、減価償却費の計上の具体例を知りたいです。
④現在、私名義の口座から銀行融資金の元金返済と支払手数料をしてます。
こちらも折半したいのですが、それが可能なのか、可能な場合の仕訳例が知りたいです。
たくさんの疑問がありますが、どうぞよろしくお願いします。
税理士の回答
結論から順にお伝えいたします。
① 伝票・領収書を1枚で折半記帳できる?
可能です。ただし原本管理と証拠性を厳格にしたほうがよろしいかと思います。原本は代表(保管者)を決め、もう一方は写し+月次精算書(按分表)を保存するといった運用方法が考えられます。
電子取引は電子データで保存(電帳法)。
最善は「共同事業口座」から支払・受領し、証憑名義も屋号+各自の氏名で統一していくことでしょうか。
のちの揉め事と税務調査対策のため、共同事業契約書(任意組合契約等)を作成し、証憑名義・原本保管者・按分割合・精算方法を明記することも考えられます。
② 集中管理→月次精算の方が安全?
結論として“代表集計→月次精算”が安全かと思います。
※インボイスも絡むため、請求は本来「各自の名前・登録番号」で発行が原則。代表集約で受領する場合は任意組合スキームで運用し、月次で損益按分を行うのがよろしいかと思います。
代表側(例:売上100、50/50按分)
売上発生時(代表名義で全額受領)
普通預金 100 / 売上 100
月末按分(相手持分50を精算金として計上)
共同事業精算金 50 / 未払金 50
振込時
未払金 50 / 普通預金 50
相手側
月末精算書受領時(自分の売上持分を計上)
売掛金 50 / 売上 50
入金時
普通預金 50 / 売掛金 50
ポイント:相手からの入金を“雑収入”にしない。 あくまで自分の売上の回収として処理。
経費も同様に、代表が立替た分は按分額を立替金/未払金で精算。
③ 減価償却の具体例
共有で購入(PC20万円、50/50):
各自「取得価額10万円」で固定資産計上・各自で償却。
片方名義で購入し共同使用:
購入者=固定資産計上・償却。相手は設備使用料(地代家賃等)として月額按分を支払う。
共有資産は持分割合を契約書に明記。名義片寄せは後争い・売却時の課税で揉める可能性があります。
④ 融資の元利・手数料の折半
原則:借入名義人の経費。按分回収は“立替精算”で処理するのがよろしいかと思います。(元金はそもそも費用になりません)
名義人側(利息10,000/手数料5,000、半分を相手に請求)
支払時
支払利息 10,000 / 普通預金 15,000
支払手数料 5,000 /
請求時(相手負担分7,500を立替金で計上)
立替金 7,500 / 支払利息 5,000
/ 支払手数料 2,500
受領時
普通預金 7,500 / 立替金 7,500
相手側
請求書受領時
支払利息 5,000 / 未払金 7,500
支払手数料 2,500 /
支払時
未払金 7,500 / 普通預金 7,500
金消契約は名義人のみでも、共同事業契約書に「利息・手数料の負担割合」を明記すれば税務上安心するかと思います。
なおインボイス・屋号も注意が必要です
請求書は各自の適格請求書登録番号で発行(共通屋号を併記可だが、氏名・登録番号は各自)。
代表一名義で一括発行・受領するなら、任意組合として代表が窓口、損益按分で各自申告とする運用に合わせるのがよろしいかと思います(契約書必須)。
本投稿は、2025年11月24日 13時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







