役員報酬及び交際費の自己否認について
定期同額給与を定めているのですが、それ以外で預金通帳に不明な預金の払い出しが
ありました。社長は交際費目的で引き出したとの事でした。
ただ領収書もなく余ったお金も入金された形跡もございません。
以前からそういう状態であり社長に相談したところ、定期同額給与を超えて
いるものは役員の貸付金にしたらいいのでは?と言われました。
実際処理ができないので、現金の引き出しにしたら現金がとんでもない状態になり
ますし、役員貸付にしてしまうと税務署に対して目立つのもあり、仮払金にしても
同じ話になってしまいます・・・。どうしたらいいかわかりません。
結果的に今までは役員貸付金で処理しており、どう考えても返済しきれない額に
現状なっております。銀行からも問題視されて、せめて前期より少しでも貸付金を
減らすようにと言われました。そこで社長は自己否認すればどうかと言っています。
役員報酬を自己否認することで法人税と社長の所得税には影響しますが貸借対照表
でも現金は増えませんし役員貸付金にも出てこなくはなります。損益計算書上は
役員報酬が増えますが定期同額給与からはみ出たものについて税金は払う事に
なるので問題ないのでは?と言っています。
また、相手先がわかっているが領収書の出ない支払についても(キックバック)、
交際費で計上して、その分も自己否認すればいいのではないか?と考えている
ようです。
実際に役員報酬や交際費の自己否認をする事は、あり得る事なのでしょうか?
今後の事もありますので返済しきれない役員貸付の処理対策等、何かないか
ご教示願います。すいませんが宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

ご質問者様、こんにちは。税理士の橋本健輔(ハシモトケンスケ)と申します。
ご質問の件ご回答致します。
領収証の出ない交際費と思われるものを処理して自己否認、というのは結論から言うとかなりリスクが高い行為です。
領収証のない、本当の使途が分からない経費は、最悪の場合使途秘匿金課税の対象となり、通常の税金とは別に、懲罰的な意味で40%追加で課税される、という制度があり、ご質問の経費はその制度の対象となる可能性がございます。
また、銀行から見ても決算書上は役員貸付は増えないけれども、いきなり役員報酬or交際費が莫大な金額計上されるということになり、印象はよくないでしょう。銀行が「貸付を減らしてください」と言っているのはすなわち「今すぐ経費の無駄遣いをやめて財務健全化策を取ってください」という意味になります。
以上を踏まえて、今できることとしては以下のような対応でしょう。
①経費の使い方の見直し
→これはもはや必須です。領収証をきちんともらうことはもちろん、支出自体の見直しも必要となってくるでしょう。
②貸付金の返済計画を立てる
→今ある貸付金は、返済するしか減らす方法はないので、返済計画を立てましょう。現金での返済が難しければ、返済の分月々の役員報酬を上乗せするという方法があります。
いずれにせよ、一朝一夕で解決できる問題ではないので、もしメインバンクと懇意にしているのであれば、逆にそちらに「健全化したいと思っている」と相談してみるのも手かもしれません。金融機関側も融資している以上財政健全化は望むところではあるので、場合によってはアドバイスや協力が得られる可能性はあります。
ご参考になれば幸いでございます。
役員報酬、交際費否認をしないとなると役員貸付にして、とりあえず決算を迎えるような
方向にするしかないということですよね。
税務署からは確実に目をつけられると思うので、調査の際は仕方なく追徴、延滞、重加算を
覚悟してもうしかありませんね・・・。
どこかで資金ショートしそうです。

いえ、交際費=追徴、ということでは必ずしもありません。
きっちりとプライベートのものは区別し、役員貸付金に計上して貸付金利息を計上することで、ある程度回避可能です。当然税務署の心象はいいものではありませんが、利息を計上していれば、それ以上なにも言われないケースも多いです。
あまり長い期間放置していると貸付金の金額が大きくなってしまい、否認リスクも高まる一方ですので、今のうちに対策しておくのがよろしいかと思います。
返答が遅くなり大変申し訳ございません。
貸付金額が相当なものになってきておりますので、どうしようか悩んでおりました。
一応利息の計上はしていますが、今後がどうなるか不安です。
解消していけるように努めてまいります。
ご回答ありがとうございました。

いえいえ、ご参考になりましたようで何よりです。
本投稿は、2021年09月14日 13時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。