法人化への不動産移転に伴う税務相談
経営している、法人(不動産賃貸/管理)に個人で所有している賃貸物件の移転を検討しています。(主な主旨は個人の相続資産から賃貸物件を切り離し、分けやすい資産に変える為)
この移そうとしている賃貸物件のエレベーターが入替が必要となり、①現状の個人で所有しているタイミングでエレベーターを入れ替えた方が良いのか②賃貸物件を法人へ売買した後に、法人がエレベーターを入れ替えた方が税務的に良いのか相談出来たら思います。
知り合いの不動産鑑定士に不動産の売買価格について相談したら、現状での売買でも個人でエレベーターの入替を行なった後での売買でも賃貸物件の売買価格は然程変わらないと言われました。(賃料が上がるわけでは無い為)
その為、賃貸物件を移転後(売買)に法人が資金を拠出し、エレベーターを入れ替えた方が良いのかと思っているのですが、税務的にもアドバイスやご指摘頂けたらと思います。
どうぞよろしくお願いします。
エレベーター本体価格は1000万円
エレベーター入替工事費200万円程の予定です。
税理士の回答

畑中達司
断定はできませんが、次に掲げる理由から法人移転後にエレベーターの入替工事をした方が賢明だと思います。
減価償却費の計算では、個人でも法人でも金額は変わりません。問題は「譲渡」に対する課税です。例えば、
譲渡価格 3,000万円 として
建物等の未償却残高 2,000万円 あり
譲渡費用 100万円 かかる場合、
個人の譲渡所得の計算は、3,000万円-2,000万円-100万円=900万円 となります。
ここで、まず問題となるのは、「譲渡価格」は3,000万円で良いか? です。その時の物差しは「時価」です。例えば不動産鑑定士の鑑定もその一つです。税法上、個人から法人へ建物の譲渡があったとき、その譲渡価格と「時価」と比べて、譲渡価格(3,000万円)が時価(例えば7,000万円)の1/2未満の場合なら、時価の7,000万円で譲渡されたものとして譲渡所得4,900万円(7,000万円-2,000万円-100万円)で税金を計算することになっています。法人も受贈益として収入を加算することになります。
逆に、譲渡価格が時価(例えば6,000万円)の1/2以上の場合、その譲渡価格のまま譲渡所得(900万円)で税金を計算することができます。
次に、未償却残高との兼ね合いです。
このケースで個人がエレベーター入替工事をした場合、新規のエレベーター(取得価格1,200万円)は耐用年数17年で償却しますから、1年間の減価償却費は約70万円になります。ということは1年後の建物等の未償却残高は3,130万円(2,000万円+(1,200万円‐70万円))となります。
この場合、上記の例で計算をし直すと、個人の譲渡所得は、3,000万円-3,130万円-100万円=▲230万円 となってしまいます。
仮に、このとき時価が6,000万円で1/2以上の3,000万円の譲渡価格であったとしても、個人と法人(自分の会社)間の取引で赤字を出すと、そもそもの譲渡価格3,000万円が低すぎると問題視される可能性が高いと思います。つまり、エレベーターの価値が税金の計算上でてくるからです。
長文になりましたが、詳しくはお近くの税理士にご相談ください。
分かりやすいご説明ありがとうございます。
大変助かりました。
法人への移転を先に検討して行こうとおもいます。
本投稿は、2023年01月05日 20時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。