個人名義賃貸の法人貸付について
個人事業主(仕事は1人)の時に借りていた居宅兼事務所がありました。
先日、事業を法人化したため、
その事務所部分を法人が使用する、ということにしようと思っております。
この時、個人と法人は別であるから
個人と法人間の賃貸契約書が必要で、
さらに個人でも役員報酬の他に収入が発生することから個人の確定申告が必要になる、
と聞き、困惑している状況です。
そこで初歩的な質問で恐縮ですが、以下教えていただけますでしょうか。
①契約書が必要なのは、なぜなのでしょうか。
当然ですが、法人の代表者と個人は同一です。
自分の中で比率が明確になっていれば当然に合意しているものと思うのですが、
文書で明らかになっていなければ、経費として認められないのでしょうか。
②個人名義の賃貸契約書に又貸し禁止条項がある場合(通常あると思いますが)、
個人と法人間の契約書を作ったとしても、又貸し禁止として
法人の経費は、税務調査で否認されてしまいますでしょうか。
③個人の確定申告は本当に必要になるのでしょうか。
法人の経費とする以上、個人に収入が発生する、というのは理解できますが、
当然、個人でその部分を大家に支払っているため、利益は0です。
役員報酬(給与所得)以外の所得が20万円を超えなければ、
確定申告の対象ではないと理解しているのですが、
理解が誤っておりますでしょうか。
どうかよろしくお願い致します。
税理士の回答
東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
①契約書が必要なのは、法人の損益を、家賃の増減で調整していないという証拠になるためです。経費として全く認められないことは無いと思われますが、証拠固めという意味合いです。
②大家さんとの間に、又貸し禁止、という条項があった場合でも、実態に応じて課税することが原則ですので、法人の実態があり、実際に活動している場合、家賃は経費として認められると思われます。
③同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・ 工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた方については、確定申告が必要です。所得が年20万円以下の場合でも申告が必要とされています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1901.htm
これを避けるためには、賃貸借契約を法人契約とし、社宅の形式にして、家賃を法人から大家さんに支払い、一定金額を個人が法人に支払う形にすることが考えられます。
以上よろしくお願い致します。
小林税理士事務所 小林拓未様
早速のご回答、誠にありがとうございます。
非常に勉強になり、大変助かりました。
大変恐れ入りますが、追加で以下の点について教えていただけないでしょうか。
①確定申告をする場合、家賃の他にも
水道光熱費や新聞代、インターネット利用料、携帯電話、車
についても個人名義のままになっているのですが、
これらも法人の経費に入れる場合には、確定申告の中に含めなければならない
と理解してよろしいでしょうか。
②仮に税務調査の際に、
個人の確定申告をしていない(年末調整のみ)ことが発覚した場合、
利益が0円だとしても、追徴課税を受ける可能性があるのでしょうか。
③私のようなケースは、
法人化する方であれば、ほとんどの方に当てはまると思うのですが、
一般的には、法人化と同時にすべてを名義変更するものなのでしょうか。
それとも、しばらくは個人で確定申告をしておき、徐々に法人名義に書き換えていくものなのでしょうか。
よろしくお願い致します。
ご連絡ありがとうございます。
①個人事業者から法人になった場合、ただちに名義変更するのは難しいですが、基本的には、法人の経費と主張するには、名義変更をしないわけにはいかないと思われます。
②所得ゼロの場合は、追徴課税を受ける税額がありませんので、ペナルティそのものは無いと思われます。したがって、確定申告をしない実害はなさそうです。
③税務署は、実態に応じて課税しますので、経費は、本来、名義にかかわらず認められるべきなのですが、法人の経費とするのであれば、法人の名義に早急に変えるべきと考えます。基本的には、なるべく早く名義変更をするようにされた方がよろしいかと存じます。
本投稿は、2017年01月05日 20時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。