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自身が代表を務める会社から自分への業務委託。

今年モデル事務所(合同会社)を開業しました。
私自身もモデルとして自社に所属し活動しています。
事務所と各モデルは業務委託という形で仕事が決まれば会社がマネージメント料を引いて、モデル達に報酬を支払います。
私がモデルとして得た仕事の報酬を自身の会社から受け取ることは法的に何か問題があるでしょうか?

税理士の回答

 役員(代表者)に業務委託をして役員に支払った費用を外注費にできるのかについては、私見ですが結論として「役員に支払った報酬を外注費にするのは極めて難しい」と思われます。理由としては、会社が業務を役員に委託しても、外注ではなく役員の地位で業務をしただけと解釈されます。役員報酬を外注費にできない理由として①役員に支払った外注費は事業所得に相当しない②役員報酬を増減させることで会社の利益を操作する可能性などがあげられます。
 まず、役員に支払った報酬が外注費として認められるためには、役員が得た収入が給与ではなく、事業所得であると認められる必要があります。最高裁判決によれば、事業所得の定義は自己の計算と危険において独立して営まれていることです。役員は一般的に独立した業務を行っているわけではありません。加えて役員に外注した業務が会社の定款に定められている内容であれば、外注とは認められません(競業忌避義務にも抵触します)。むしろ会社からの役員という地位に沿って、業務の範囲内で仕事をしたと考えられます。したがって、役員に業務委託で外注をしていたとしても、外注費として認めさせるのは困難です。
 さらに、基本的に経営者が自分の一存で役員報酬の金額を増減させることはできません。役員報酬として認められるためには、「定期同額給与」の要件を満たす必要があります。役員に外注する際は業務委託契約を結びますが、依頼内容や依頼量によって報酬が変わるのが一般的ですので、毎月支払う報酬が変わったり、報酬を支払う月と支払わない月があったりすれば、定期同額給与の条件にはあてはまりません。役員報酬の増減がかんたんにできれば、会社の利益を自由に操作して税金の負担を軽くすることができることになります。
 外注費として認められる可能性はありますが、税務署は株主総会の議事録、取引が必要な証拠や取引が妥当な理由、依頼した成果物などといったエビデンスの提出や説明を求めてくることになります。契約書や業務日報など業務をしたことがわかる書類も用意する必要があります。もちろん外注費用も経営者として任意に金額を決められるわけではありません。客観的に見て妥当な金額でなければ指摘されます。外注費ではなく役員賞与と認定されれば法人税の追加課税のみならず、業務委託費用として控除されていた消費税や徴収をしていない源泉所得税も徴収されます。税務調査が入った場合には否認の可能性が極めて高いと思われます。
 こうしたリスクを避けるためには「私がモデルとして得た仕事の報酬」はあくまでも役員報酬に含まれる範囲内で受給されるものと定義しておくのが無難と考えます

本投稿は、2024年11月27日 21時35分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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