弊社名義で借りた賃貸物件(アパート)の経理処理について
弊社は今年の4月に下記の目的で弊社名義で賃貸物件を借りました。
・弊社の社長が上京した際に使用する
・弊社の社長の息子である執行役員や他のスタッフが普段仕事で使用し、執行役員の家族も同居する
社長の息子である執行役員は、執行役員にはなっていますが、弊社の株主ではありません。
物件は弊社名義で借りているため、弊社が家賃を支払っている状態です。
社長は弊社に650万円ほど貸し付けているため、この借入金と毎月の家賃の半分を相殺させる形で役員社宅として処理することは可能でしょうか。
なお、借りている社宅は豪華社宅ではなく、延べ床面積も70㎡ほどです。
もしも役員社宅として処理できない場合には、どのような処理にすれば問題ないでしょうか。
現状、どうすればよいか分からないため、いったん地代家賃として処理してしまっています。
ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答

以下のようなパターンで処理を検討することが可能です。
1. 役員社宅として処理する場合
会社名義で借りた物件を「役員社宅」として扱うためには、以下の条件を満たす必要があります。
①家賃の一部を役員から徴収
- 役員社宅として処理する場合、税法上「役員社宅」と認められるためには、適切な家賃負担が必要です。
- この家賃負担額は、国税庁が定める計算式に基づき計算します(一般的には賃貸借契約の家賃の一部を徴収)。
- 計算式
(建物の固定資産税評価額 × 0.2%)+(敷地の固定資産税評価額 × 0.22%)+(そのほか設備や家具等の利用料)
※この金額を役員から徴収すれば、会社が負担した家賃の残額は経費として処理可能です。
②借入金との相殺
- 会社が社長に対して負っている貸付金(650万円)と家賃の一部を相殺する形で処理することも可能です。
- この場合、以下のような仕訳を行います。
- 相殺分
借入金 XXX円(貸方)
役員借入金 XXX円(借方)
- 残額
会社負担分については、「地代家賃」として処理可能です。
③適用例
- 例えば、月額家賃が20万円で役員負担分が5万円の場合:
- 会社負担分:15万円を「地代家賃」
- 役員負担分:5万円は会社へ支払い、または借入金と相殺
- これにより「経済的利益」として課税されるリスクを回避可能。
2. 役員社宅として処理しない場合
以下のいずれかを検討します。
①全額を福利厚生費として処理
- 社員や役員が業務目的で使用する場合は、「福利厚生費」として処理することも可能です。ただし、家族の同居がある場合、全額を福利厚生費にするのは難しいケースが多いです。
②地代家賃として処理しつつ、給与課税
- 家族の同居がある場合や、役員負担がない場合、会社負担分を「給与」として処理する必要が生じる可能性があります。
- その場合、家賃相当額を給与として課税し、同時に「地代家賃」として経費処理します。
3. 税務リスクの回避
- 税務調査で問題視されるリスクがある場合は、役員から家賃を徴収する方法を選ぶことで、経済的利益の指摘を回避できます。
現状、「地代家賃」として処理している分については、適切に調整すれば問題ないケースが多いです。
本投稿は、2024年11月29日 16時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。