使途不明金
①使途不明金、②経費として落とせない費用、③領収書のない費用
①、②.③は同じですか?
またいずれの場合も、支出があったことがわかっていることが前提だと思いますが、支出があったことの確認方法、確認資料は何になりますか?
税理士の回答

長谷川文男
① 法人税法上、使途不明金とは、税務署等に対し支出先等を明らかにできない支出をいっています。払っているのですから、企業としては分かっているはずですが、相手先等の関係で明らかにできないものです。
※ 所得税は必要経費か、それ以外かですから、明らかにできないなら、必要経費にしないだけです。使途不明金の概念はありません。
② 費用ということですから、基本的に経費に落とせないということはないように感じます。費用でなければ経費にならないですが、費用なのに経費に落とせないというのは矛盾していると思います。①の使途不明金だって、支出先内容を明らかにできれば経費になったはずです。
③は、支出が証明でき、その内容が経費ということなら、経費にできます。
所得税又は法人税は、経費になる費用に、領収書が必要と法令に記載はありません。支出が明らかで経費であれば経費にできます。
判例としては、ディスカウントストアで、この売上があるには、仕入が必要だからと領収書がなくても経費として認めた例もあります。
支出の証明資料としては領収書が簡単ですが、なくても色々な資料を総合して支出が分かれば良いのです。資料はケースバイケースです。
また、領収書があっても、その領収書が虚偽だって考えられますから、完全な証明にはなりません。

三嶋政美
①使途不明金、②経費として落とせない費用、③領収書のない費用は似て非なるものです。
まず①使途不明金とは、「支出の事実はあるが、その内容や目的が判然としない金銭」を指します。経費であるか否かの判断以前に、用途が不明なため原則として損金算入できません。次に②経費として落とせない費用は、使途が明確でも「事業と直接関係がない支出(私的支出や交際費の過大部分など)」を意味します。③領収書のない費用は、使途や金額を裏づける証憑が欠けているため、税務上の立証が難しくなる支出です。したがって、①は内容不明、②は性質不適格、③は証拠不十分――という整理になります。
いずれの場合も、支出があったことの確認には、銀行の出金記録、クレジット明細、請求書、契約書、業務日報、メモや社内承認記録などが有効です。税務上は「経済的実態と合理的説明」が鍵であり、領収書がなくとも客観的な証跡で補える場合には経費として認められる余地があります。結局、信頼できる証拠の積み重ねこそが、帳簿の説得力を支えるのです。
本投稿は、2025年10月14日 22時51分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。