しんきん経営者年金の会計処理についての質問です
しんきん経営者年金というものがあるのを知り、加入を検討しております。
現在役員報酬として600,000円をもらっています。
掛け金30,000円で加入した場合、給与計算と経理処理はどのようになるのでしょうか?
私の考えとしては下記の2つのどちらかだと思っております。
①役員報酬が630,000円となり、630,000円をもとに税金と社会保険料計算をする
②役員報酬600,000円から30,000円を除いた570,000円をもとに税金と社会保険料を計算する
また、どちらの場合でも毎月の金額が変更となるため、毎年の決算後の役員報酬が変更できるタイミングで加入しないと、経費にならないということでしょうか?
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
相談者様のご状況、とても丁寧に整理されていて素晴らしいです。
まず結論からお伝えします。
① 経営者年金の掛金は「給与計算に入れません」
しんきん経営者年金は、制度上“給与扱いではなく、会社が負担する福利厚生費(役員退職金の準備金)”という性格になります。
したがって、
役員報酬 600,000円 → そのまま
掛金 30,000円 → 会社負担の経費(福利厚生費)
となり、相談者様が挙げた ①② どちらにも該当しません。
② 税金・社会保険料の計算は「600,000円のまま」
しんきん経営者年金の掛金は、給与とは別枠で処理するため、
給与所得税 → 600,000円ベース
社会保険料 → 600,000円ベース
で変わりません。
相談者様の負担が増えたり減ったりすることもありません。
③ 会計処理(仕訳イメージ)
毎月30,000円の掛金を会社が負担する場合:
(借方)福利厚生費 30,000/(貸方)現預金 30,000
※「生命保険料」や「退職金積立金」ではなく、福利厚生費で問題ございません。
④ 役員報酬改定のタイミングを気にする必要は?
役員報酬をいじる必要はありません。
掛金は「給与」ではないので、役員報酬改定の時期とは完全に切り離して加入できます。
⑤ 注意点
掛金は「会社の経費」ですが、将来受け取るときは 退職所得(1/2課税) になります。
中途解約すると戻り率が低くなる制度もあるので、加入前に返戻率・解約条件は必ず確認してください。
良波様
早速ご回答いただきありがとうございます。
また、仕訳イメージや注意点までお教えいただき大変助かります。
まずは給与計算に入れないとのことで少し安心しております。
先ほどの私の質問の仕方が悪かった場合、前提条件が変わる可能性があり
念のため再度お聞きさせていただければと思います。
東京都信用金庫協会のしんきん経営者年金の詳細という情報をネットで見ることができたのですが、
掛金の払込方法という欄があり、その中に「役員給与扱いで経理処理していただきます。」との記載がありました。
この役員給与扱いというのは、福利厚生の側面も含めた広い意味での記載なのでしょうか?
お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ご確認いただいた「役員給与扱い」との表記、確かに誤解しやすい部分です。結論からお伝えしますね。
① 「役員給与扱い」は“税務上の給与”という意味ではありません
しんきん経営者年金のパンフレット等にある「役員給与扱いで経理処理」
という文言は、“役員個人に帰属する福利制度の掛金” であるため、税務上の役員給与に近い性質の費用ですよ、という一般的な表現であって、
役員報酬に加算する(課税給与として扱う)
社会保険料の標準報酬に反映させる
という意味ではありません。
② 税務上の区分は「役員給与」ではなく “福利厚生費(または退職金準備のための保険料)”
税務処理はあくまで 会社負担の保険料 として経費化します。
③ なぜ「役員給与扱い」と書かれるのか?
理由は 2 つあります。
① “加入者=会社の役員に限定される”制度だから
加入対象者が役員個人であり、「従業員向け福利厚生とは別枠で設計されている」ため、一般的なパンフレットでは “役員給与の一部のような扱い” と表現されることがあります。
② ただし税務上は「給与ではない」
ここが大事です。
税法上、課税給与ではない
社会保険の標準報酬にも含めない
年末調整にも反映しない
掛金は会社の経費であり、役員報酬とは完全に切り離して扱います。
よって、ネット上の表記はあくまで “制度の役員向け特性”を示すだけの表現ですので、ご安心ください。
本投稿は、2025年11月24日 14時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







