任意団体のインボイス
当会は会員から年会費を頂いて学会を開催している地方学会です。
当会主催学会は年間複数回開催され、そのたびにゲスト講師を呼んでいます。
ゲスト講師には小額ですが御礼を渡していますが、御礼にかかる税金については今まで何もしてきておりません。
当会が消費税に課税される取引に該当しない団体であるというのは誰が判断するのでしょうか。
インボイス制度導入後、インボイス発行を求められた場合、発行できないと言えるのでしょうか。ご教示をお願い致します。
税理士の回答

小川真文
ご相談の内容から、一部仮定の部分があるうえで回答させていただきます。消費税は、事業者が事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について対象となります。 この事業者には、任意団体(人格のない社団等)も含まれます。ですから任意団体であっても収益事業をおこなっている場合は、普通の法人と同じように消費税を納付する必要があります。この収益事業は法令上限定されており、貴会の「会員から年会費を頂いて学会を開催」の条件では収益事業には該当せず、当然消費税は課税されません。
「インボイス制度導入後、インボイス発行を求められた場合」について、貴会が請求書を交付する取引先が消費税の仕入税額控除の必要のない一般個人(会員)ですので、適格請求書発行事業者である(登録の)必要はないものと考えます。
小川先生、丁寧な回答ありがとうございました。
当会は前述のとおり会員の年会費で会場を借りたり御礼をしたりすべてをまかなっている為、非会員の方より参加申し出があった場合は参加費を頂いています。1回の参加費は年会費を年間の学会数で割った程度です。
それでも参加費という名目では、非会員の支払いに対する対価が学会参加となり「消費税が課税される取り引き」に該当すると判断されることはないでしょうか。
もし参加費ではなく、会場費として受け取った場合はどうなるでしょうか。

小川真文
こちらの相談については以下の資料を参考にさせて頂きます。
会費や入会金の仕入税額控除(国税庁ホームページより抜粋)
対象税目 消費税
概要 会費や入会金の消費税法上の取扱いは次のとおりです。
会費、組合費等
同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。対価性があるかどうかの判定が困難なものについては、その会費などを支払う事業者とその会費などを受ける同業者団体や組合などの双方が、その会費などを役務の提供や資産の譲渡等の対価に当たらないものとして継続して処理している場合はその処理が認められます。なお、この場合には、同業者団体や組合などは、その旨をその構成員に通知するものとされています。また、その団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がありませんので、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合には、その構成員においてはその通常会費は課税仕入れとならず、仕入税額控除の対象になりません。
(注)名目が会費等とされている場合であっても、それが出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員の研修費、受講料、施設利用料または情報等の提供料など、実質的に役務の提供などの対価と認められるときは、その会費等は資産の譲渡等に係る対価に該当するものとして仕入税額控除の対象となります。
ですから、原則消費税の課税対象となる取引には該当しません。また注書き部分の解釈についてですが、こちらも国税庁の資料を引用させて頂きます。
定例総会等の費用を賄うために徴収する特別参加費(国税庁ホームページより抜粋)
【照会要旨】
団体、組合等が定例総会又は地区別ブロック大会(大会後懇親会を催すこともあります。)を開催するに当たり、当該総会等に参加する会員から特別に参加費を徴収することとしている場合、この参加費は課税の対象となるのでしょうか。また、宿泊を希望する参加会員から別途徴収する宿泊費の実費相当額は課税の対象となるのでしょうか。
【回答要旨】
団体、組合等が、自己の組織的活動の一環として催す総会又はブロック大会に際して、その費用を参加者に負担させているものであり、明白な対価関係があるとは認められないことから、不課税として取り扱います(基通5-5-3)。宿泊費として別途受領している場合には原則として課税の対象となりますが、当該宿泊費を預り金経理しているときは、その処理は認めるものとします。なお、宿泊費が参加費の中に含まれている場合には、上記と同様に取り扱います。
【関係法令通達】
消費税法第2条第1項第8号、第60条第4項、消費税法施行令第75条、消費税法基本通達5-5-3
このように貴会が、「自己の組織的活動の一環として催す『学会』に際して、その費用を参加者に負担させているものであり、明白な対価関係があるとは認められないことから、不課税(消費税の課税対象外)として取り扱います」として差し支えないと考えます。
御忙しい中、ご教示いただきまして本当に有難うございました。
当会の立場が明確になって、個人的にも安心いたしました。
国税庁のホームページも参考にさせて頂きます。
本投稿は、2022年12月07日 16時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。