フリーランス(免税事業者)の消費税について
会社で事務をしています。
外注先にフリーランスの方がいますが、インボイス開始時にその方から「インボイス登録はしないので、その代わり消費税はいただきません」と連絡がありました。特に交渉したわけでもないのですが、そのときはそれで話がおわりました。源泉徴収は行っています。
年に2〜3回ほど仕事を依頼し、その都度金額を提示してもらっていますが、つい先日、そのフリーランスの方が仕事金額+10%(消費税分)を上乗せしていることが分かりました。
実際の金額交渉は別の者がしていたので初めて知ったのですが、これならそもそも消費税を請求書に印字して下手に上乗せしないでもらったほうが良いな。と感じているのですが、どの方法がベストなのでしょうか。
インボイス導入時はとにかく間に合わせることに必死で考えが足りませんでした。
フリーランス側としては手取りを減らしたくないのでしょうが…。
税理士の回答

米森まつ美
免税事業者が「消費税相当額」を記載することは認められています。
ただし、発行する請求書が「インボイス」と誤認されるような書式でないことが重要となっています。
なお、免税事業者からの仕入であっても、経過措置で消費税額相当額の一定割合(80%、50%)が仕入れ税額控除の対象とすることが認められています。
因みに、消費税導入時にも免税事業者が消費税を請求することについて、問題となりましたが、「免税事業者であっても仕入等に消費税が課税されているため、消費税率相当額の請求(※)は、便乗値上げに該当しない」とされています。
※ 税込・税抜等は特に問われていませんでした
国税庁HPから「インボイスに関するQ&A」を参考に添付します。
蛇足とはなりますが、当初その方とは「請求書に消費税を記載しない(消費税額分をいただかない)」と約束されたのであれば、せめて「税込み」での記載にするなど請求書の記載方法の変更を交渉されてはいかがでしょうか。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/26-2.pdf

米森まつ美
蛇足で申し訳ございません。
当初、その方とは「請求書に消費税を記載しない(消費税額分をいただかない)」と約束されたのであれば、せめて「税込み」での記載にするなど請求書の記載方法の変更を交渉されてはいかがでしょうか。

西野和志
税込みとして、あなたの方は、処理するしかないでしょう。
経過措置の特例(80%,50%)を仕入税額控除するしかないでしょう。

増井誠剛
インボイス非登録のフリーランスに対し、消費税相当額を上乗せして支払うか否かは契約条件次第です。登録事業者でなければ、受領した「消費税分」も本来は課税売上に係る対価ではなく、発注側は仕入税額控除を受けられません。従って、価格提示時点で税込・税抜の区別を明確化し、非登録者には「税込=総額」での契約とする方法が実務的に妥当です。既存取引では、今後の契約書や見積書に「本契約金額は消費税相当額を含む」と明記し、不要な上乗せ請求を避ける運用が望ましいでしょう。価格交渉は双方の合意を前提に、透明性を確保することが重要です。
結論としては
免税事業者であるフリーランスに「消費税分を上乗せして請求される」形は、発注側である貴社にとって仕入税額控除ができず実質的なコスト増となるため、契約金額の設定方法を見直すのが望ましいです。具体的には「税込金額で報酬を合意する」形に整理するのが実務的には分かりやすい方法です。
詳細
免税事業者が消費税を請求することについて
・免税事業者でも「報酬+消費税相当額」という形で請求書を発行することは可能です。
・ただし、適格請求書発行事業者ではないため、貴社側はその消費税額について仕入税額控除を受けることはできません。
インボイス制度の経過措置
・2023年10月~2026年9月までは、免税事業者からの仕入でも「仕入税額相当額の80%」を控除可能です。
・2026年10月~2029年9月までは「仕入税額相当額の50%」が控除可能です。
・この間は、請求書に消費税が明示されていれば一定の控除が受けられます。
実務的な対応方法
① 契約金額を税込で合意する
例:「11,000円(税込)」と明示することで、請求書に消費税を分けて印字しなくても済み、貴社側の違和感もなくなります。
② インボイス登録を打診する
フリーランス側にインボイス発行事業者として登録してもらえれば、貴社は仕入税額控除を100%受けられます。ただし、フリーランス側に消費税の納税義務が発生するため、報酬の見直しなどの交渉が必要です。
③ 経過措置を利用して当面対応する
フリーランス側が免税事業者のままでも、2029年9月までは一定割合の仕入税額控除が可能です。
源泉徴収の取扱い
・源泉徴収の対象となる報酬(原稿料・講演料など)は「消費税を含めた金額」が対象です。
・ただし、請求書で報酬と消費税が明確に区分されている場合には、報酬部分のみを源泉徴収の対象とすることができます。
まとめ
(1) 消費税相当額を含めた「税込金額」で契約する形に整理するのが実務的にシンプル
(2) インボイス登録を依頼できれば、仕入税額控除のメリットが大きい
(3) 経過措置により当面は一部控除も可能なので、急いで交渉しなくても対応は可能
本投稿は、2025年08月08日 11時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。