任意団体での購入型クラウドファンディングについて課税に関する質問
この度、任意団体として2023年10月下旬に舞台を公演しようとしております。
そこで、資金である60万円ほどを購入型クラウドファンディングサービスを利用して得ようと思っています。
そしてそこで得た収益は全て公演のために使用し、使い切る予定でおります。
この場合団体・もしくは団体の代表者に課税はございますでしょうか?
クラウドファンディングページには、寄付型のクラウドファンディングは法人格がないと利用できないことになっており、どうしても購入型で進めることが前提となってきます。
また、本公演自体もチケット料金は取らず、無料での公演を行いますので団体として利益が上がることはございません。
回答のほど、よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答

土師弘之
任意団体は、通常法人税法上の「法人」とみなされ、「収益事業」に該当する事業のみ課税対象となります。
「購入型クラウドファンディング」とは、リターンがあるクラウドファンディングをいいますので、税務上「事業収入」とされます。
そこで、このリターンが何かによって、どの収益事業に当たるのかを判断する必要があります。リターンが何かを記載されていないので、判断は出来ませんが、
リターンが「舞台公演」のチケットであれば、「興行業」という収益事業の一つに該当します。
リターンがグッズであれば、「物品販売業」に該当します。
この収益事業に該当すれば、法人税等の申告・納税義務が生じますので、たとえ利益が生じなくても確定申告する義務はあります。なお、法人住民税は利益がなくても「均等割額」という税金が生じます。

小川真文
クラウドファンディングの資金提供者に対する出資の対価として、プロジェクトの目的である舞台公演のチケットの提供をリターンとする(「チケット料金は取らず、無料での公演」という内容の認識として公演の招待者が資金提供者である)いう条件で検討させていただきます。
購入型クラウドファンディングとは、資金提供者に対して商品やサービスが提供されるクラウドファンディングのことですが、これは資金を出資して商品などを受け取るため、実質的に商品やサービスを購入したのと変わりありません。ですから購入型クラウドファンディングは税法では商品の販売やサービスの提供などと同様の扱いになります。
したがって資金調達者はクラウドファンディングによって集まった資金を全て売上として計上します。その売上から、プロジェクトの実施に要した原価や人件費などの経費を除いた利益が課税の対象となります。
資金調達者が個人事業主なら事業所得の収入になり、個人事業主でないなら雑所得の収入になり、税金が課され確定申告が必要となります。
任意団体は税法上の「人格のない社団等」に区分されると考えられます。この取扱いは非営利型の一般法人とほぼ同じく、税法上定められた事業に課税される収益事業課税であり、収益事業を行っている場合は申告義務があります。クラウドファンディングの目的が舞台公演であれば、興行業に該当しますので課税対象になる事業ということになります。
資金調達者が団体・もしくは団体の代表者個人いずれかにしても、プロジェクトの収支の結果として利益(余剰金等)が生じない場合には課税の問題はありません。(出資金の受取口座が代表者個人名義の場合でも、実態や管理について任意団体の収入であることが明確であれば代表者個人は課税対象となりません)
なおクラウドファンディングは説明義務はないとされていますが、出資によって集めた金銭がプロジェクト終了後に余剰金となっていないか(また任意団体構成員等に配当されていないか)、プロジェクト目的外に使われていないか、資金提供者への信頼を確保するエビデンスとして収入及び支出を計算した収支報告を備え付けておくべきと考えます。
本投稿は、2022年10月05日 11時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。