海外在住だが日本国内で法人を設立した場合の役員報酬について
夫の海外駐在に伴い、帯同予定です。
その国ではリモート業務に関して就労ピザの整備が進んでおらず、就労ビザがでません。そのため、リモートワークをしても駐在先の国で納税することが難しい状況です。
しかし日本国内法人からの役員報酬という形であれば、日本国内源泉なので滞在の国では納税しなくてよく、日本で納税すればいいのではと思い始めました。その理解であっているでしょうか。
しかし一カ月の売り上げが40〜50万ほどで法人設立は無謀でしょうか。結局働いても、個人として所得税で2割とられ、法人税等払うとトータルで利益はあまり望めないのでしょうか。
基本的には個人事業主として軌道に乗ってからだとは理解しているのですが、個人事業主だと滞在国での給与扱いになり難しい状況です。
税理士の回答

米森まつ美
しかし日本国内法人からの役員報酬という形であれば、日本国内源泉なので滞在の国では納税しなくてよく、日本で納税すればいいのではと思い始めました。その理解であっているでしょうか。
⇒日本の「国内源泉となる」とした考えは正しいです。
しかし、居住地国側の課税の有無は、その国の税制によりますので、居住地国の課税当局にご確認ください。
なお、逆の場合(相手国非居住者、日本の居住者)ですと、仮に相手側で役員報酬が課税されていたとしても、日本でも課税対象となります。
一カ月の売り上げが40〜50万ほどで法人設立は無謀でしょうか。結局働いても、個人として所得税で2割とられ、法人税等払うとトータルで利益はあまり望めないのでしょうか。
⇒ 一概には判断できませんが、居住地国と日本国との間に租税条約が締結されていないと税額控除などの調整がないため、役員報酬は二重課税となる可能性は高くなると思います。
法人税に関しても、個人の場合は所得が少なければ住民税が非課税になりますが法人の場合は、たとえ赤字であっても、住民税(市区町村)に5万、都道府県民税に2万、合計7万円の納税額が発生いたします。
なお、法人税(国税)は赤字の場合は課税されません。
「手取り」という面では厳しくなるかもしれません。
しかし、「個人事業主だと滞在国での給与扱いになり難しい状況」であれば、法人化も一つの選択肢であることは否めません。
先生お答えいただきありがとうございます。
帯同する国との租税条約を確認したところ、役員報酬については法人の所在地で課税と記載されておりました。この場合ですと日本でのみ課税されるという理解でよろしいでしょうか。
またいろいろ調べてみました。仕事としては記事の編集を考えております。著作権を譲渡する?使用料をいただく?と言う形であれば、その譲渡した会社からいただく報酬は日本国内の報酬となる理解であっておりますでしょうか。
重ね重ね恐縮ですが、ご教示いただけると幸いです。

米森まつ美
>日本でのみ課税されるという理解でよろしいでしょうか。
⇒ 居住地国が課税を放棄することはないと思います。
通常は、法人の所在地で課税された給与等の所得税(源泉所得税)を、居住地国の申告時に「外国税額控除」により精算することになると考えられます。
居住地国の課税関係は課税当局にお尋ねください。
>著作権を譲渡する?使用料をいただく?と言う形であれば、その譲渡した会社からいただく報酬は日本国内の報酬となる理解であっておりますでしょうか。
⇒ 国内法人としての取引は、法人税法上の課税の対象となります。(源泉は関係ありません)
個人としての場合は、著作権の譲渡であっても使用料であっても「国内源泉所得」に該当するため、20.42%の源泉徴収により所得税が課税となります。
ただし、租税条約によっては、譲渡は課税対象とならないケース、使用料も軽減や免税になるケースがあります。
軽減や免税は「租税条約の届出書」の提出が必要となり、特に免税の場合は居住者証明書が必要になるケースがあります。
なお、日本の「国内源泉所得」となり源泉徴収された所得税は、給与と同じように居住地国の申告の際「外国税額控除」の対象となると考えられます。
国税庁HPから参考に「源泉徴収のあらまし」を添付します。
7枚目(p274)に一覧表があります。
39枚目(p306)に使用料等の説明と、国毎の租税条約の取り扱いなどの記載があります。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf
先生何度もありがとうございました。
本投稿は、2023年09月13日 09時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。