法人化のメリットがあるかどうか知りたい
法人化をするべきかで悩んでいます。
飲食店を2店舗経営しています。近いうち、このうちの1店舗をある人物に任せ、売上の一部を毎月もらう契約をしようと考えております。
現在2店舗合わせて15人ほどの従業員がいますが、社会保険は雇用、労災のみです。
社員の希望は早めに厚生年金や健康保険もつけてほしいと言われていますので、つける予定でいますが、法人にした方が、税金など色々な面でメリットがあり、社保も義務化されるのでそのほうがいいのかと考えています。消費税の問題もあります。
ただ、もう1店舗は利益が少ないので個人事業主で申告したとしても大きな税金はかかってこないと思われます。
また、今年不動産を購入したので住宅ローン減税も利用できる予定です。
法人設立にかかる30万程度の費用や、帳簿の煩雑さなどの労力と、今のままの個人事業でなんとか乗り切るのはどちらがメリットが大きいと考えられますか?
売上は1店舗目が月商250万前後、2店舗目が200万前後です。
2店舗目は家賃などの諸経費が高額なので儲かってはいません。
いい方法があればぜひご教授いただきたいです!よろしくお願いいたします。
税理士の回答

森田有為
こんにちは。
まず始めにお断りになります。
本件は税理士によって様々な見解になるため、現時点の情報に基づいてあくまでも私ならこう考えるとご理解ください。
結論から申し上げますと次のどちらかと考えます。
なお、店舗をお任せするということは、その店舗をある人物に売却されることであるという前提になります。
【お任せ対象の店舗が儲かっている店舗である場合】:このまま個人事業主
【お任せ対象の店舗が儲かっていない店舗である場合】:法人化
【お任せ対象の店舗が儲かっている店舗である場合】
この場合、ご相談者様に残る店舗は儲かっていない店舗になるため、住宅ローン減税の利用などにより所得税額はそれほど大きくならないと予想します。
法人化を検討する場合の論点の一つが税金対策ですが、対策の対象になる税金があまり無い予想のため、現状の個人事業主で差し支えないと考えました。
後述するように、法人化を検討する場合の別論点として従業員のモチベーション向上などがあるため、最終的には総合判断になります。
【お任せ対象の店舗が儲かっていない店舗である場合】
この場合、ご相談者様に残る店舗は儲かっている店舗になるため、所得税額はそれなりになると予想します。
一概には難しいですが、一般的には個人事業としての利益が年500万円以上であれば、法人化の検討が視野に入ります。法人化すると個人事業主と比べて節税対策の幅が広がるため、税金対策の観点から法人化が有効な選択肢になります。
また、儲かっている状況を維持、継続するためには従業員のモチベーション向上が必要であることから、社会保険を義務化の流れで整備されるのも必要であると考えます。
職場が会社(法人)であると心理的にポジティブ視する人もいます。
さらに儲かるようになると事業拡大のため融資を受ける場面が想定されますが、そのようなときに法人だと対外的にもより良く機能することがあります。
これらを踏まえて法人化にメリットがあるであろうと考えました。
お役に立つことができれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご回答ありがとうございます。大変参考になります。
任せようとしているのは、儲かっている方の店舗です。
この店舗での借り入れの返済が終わるまでは、契約は私のまま、実質運営はある方にお任せし、将来的に譲る形を検討しています。
おっしゃる通り、残るのは儲かっていない方の店舗になりますので税金は多くかからないかと思います。
従業員のモチベーション面という意味で、保険を整備することが一番の法人化の目的でしたので、それだけの為に今法人化はしないほうが良いのかという考えに至りました。
ただ、社会保険のみを導入するとしたら任意加入の手続きをすることになるようですが、それも割と難しいことなのでしょうか。好んでやる事業者はあまりいないと、ネットの情報ですが書かれていたのできになるところです。
重ねての質問、申し訳ございませんが、お時間が許せば教えていただけますと幸いです。

森田有為
こんにちは。
ご返信いただきましてありがとうございます。
ご状況は承知いたしました。
社会保険の加入手続き自体は難しいことではありません。年金事務所の窓口で担当職員に聞きながら進めれば問題ございません。
好んでやる事業者があまりいない点につきましては、恐らく次のような理由によるものと考えます。
・社会保険料の負担が従業員と事業主の折半になることから、事業主負担を嫌気する。
・給与計算が煩雑になる。
・従業員が退職した場合にも手続きが必要であるため、事務コスト増を嫌気する。
・強制適用事業所であった場合は過去に遡って社会保険料を追徴される可能性を嫌気する。(ご相談者様には該当しないと思われます)
お役に立つことができれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速のご丁寧なお返事ありがとうございます。
任意で加入するのと義務で加入する場合の手間が同じなので、義務でない限りはやりたがらない、ということなんですね。
正直なところ私もやらないで済むのならやりたくない、というのが本音ではあります。
ただ、昨今の人手不足で人員を確保するため、止むを得ずといったところです。
その他の懸念点は消費税です。次回申告時は免税ですが、その次には課税となります。それまでに新たに法人を作りまた2年の猶予期間をもらったところで、2年後には課税となるので、あまり意味はないでしょうか?私のような小さい個人店の方々は消費税はどうされているのでしょうか?1年で結構な額になりますよね。何度も申し訳ありません。

森田有為
こんにちは。
ご返信いただきましてありがとうございます。
社会保険料は思った以上に事業主負担を重く感じるはずです。お気持ちはとてもよく分かります。
さて、消費税ですが、新たに法人を作ることで2年の猶予期間を得ることは全く無駄ではありません。
ただし、法人を作ると、設立費用発生、社会保険強制適用、赤字でも納税額が発生、経理・決算の複雑化、会社清算の場合も費用発生など、様々なコストが発生します。消費税の2年猶予によるメリットと比較したうえでご決断されることをおすすめいたします。
小規模な個人店の方々に係る消費税は大別すると次の2通りです。
・そもそも売上が年1千万円に達していないので免税。
・原則的な計算と簡易的な計算(簡易課税制度)の有利判定を行って、有利な計算方法を採用。
消費税を節税するためには、理想的にはシミュレーション計算が必要です。事業者ごとに正解は異なります。
お役に立つことができれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
本投稿は、2019年10月09日 09時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。