譲渡損を繰り越ししたら翌年は扶養に影響があるのでしょうか
私の所得は毎年40万円ほどで、サラリーマンの夫の扶養に入っております。
源泉徴収ありの特定口座ですので、これまでは損失が出ても出なくても申告しないままにしておりましたが、2021年度は譲渡損の10万円を初めて繰越控除してみようかと考えております。
この損失額は2022年の取引で、仮に60万円利益が出た場合、
60-10=50万円に対して課税される、という事になると理解しております。
そこで質問なのですが、
1)この60万円の譲渡所得は確定申告書の第一表12番の「所得金額等」の合計額に入るのでしょうか?
入ってしまうと扶養に入れないという事になりますか。
2)来年度も申告分離制度を選択すれば、この60万円の所得は12番の金額に含まれないので、扶養の要件に影響することは無いのでしょうか。この点がよくわかっておりません。
その為、扶養のままにしておきたい場合(これが一番の希望となります)は、損失繰越せずに源泉徴収済のままで何も申告しない方が良いのでしょうか。
そろそろ申告の期限が近づいてきましたので焦っております。
アドバイスを頂けましたら助かります。
税理士の回答

お答えいたします。
1)この60万円の譲渡所得は確定申告書の第一表12番の「所得金額等」の合計額に入るのでしょうか?
>→ 株式の譲渡所得は、分離課税ですのでここには含まれません。
2)来年度も申告分離制度を選択すれば、この60万円の所得は12番の金額に含まれないので、扶養の要件に影響することは無いのでしょうか。この点がよくわかっておりません。
→ 分離課税の譲渡所得(繰り越し損の控除前)は、合計所得金額に含まれますので、本年の譲渡所得が48万円以上ある場合は、扶養控除の対象からはずれます。
その為、扶養のままにしておきたい場合(これが一番の希望となります)は、損失繰越せずに源泉徴収済のままで何も申告しない方が良いのでしょうか。
→ 本年の所得がどれくらいあるかで判断するしかありませんので、現在の段階ではなんともいえません。
早々のご返答ありがとうございます!
そうなのですか!もし今年度株の売却益が出たら株以外の私の所得が年間40万ほどはあると思いますので、それに上乗せとなると、48万円を超える可能性は非常に高いです。しかも売却損分の控除前の数字を入れる事になるわけですね。
驚きました。
申告の入力が済んだ状態だったのですが、念の為お聞きしておいて良かったです。
繰越控除は使わない方向で打ち直そうと思いますl
お忙しいところ申し訳ありませんが、最後に確認させて下さい。
株式の売却益にかかる譲渡課税は、申告分離課税を選択すれば年間所得にかかわらず20%ほどに統一された税額である。
源泉徴収済のままにせず申告分離を選択すると税率は前者と同じく約20%となるものの、その申告者の年間の所得金額には譲渡所得額が加えられる、という理解で合っておりますでしょうか?

お答えいたします。
理解していただいた内容で結構だと思いますが、以下のとおりです
① 株式の売却益にかかる譲渡課税は、分離課税であり、その他の年間所得にかかわらず、住民税を含めその税率は約20%です。
② 株式譲渡について申告分離を選択すると、その申告者の年間の合計所得金額には株式譲渡所得金額の金額が加算される。
なお、源泉徴収ありの特定口座の株式譲渡所得は、譲渡損が生じた場合、確定申告をすることにより、譲渡損を翌年分の株式譲渡所得から控除することができますが、譲渡損を確定申告しない場合は翌年に繰り越しすることができません。
お忙しい時期に丁寧なご返答をありがとうございます。
最後の質問と書いていたのにすみません。
「譲渡損を確定申告しない場合は翌年に繰り越しすることができません。」
という事は、念の為令和3年度の確定申告書では損益通算を申告しておくけれども
令和4年度の株式売却利益が多く(扶養要件に引っかからない程度の利益なら損益通算を利用しますが)
これを申告すると扶養から外れる、となった場合は確定申告で入力しない、但しその場合は以後の繰越はできなくなる。
つまり、私は毎年確定申告するのですが、場合によっては前年度に繰越控除しておいた額を使わない(確定申告の内容から外し、売却益は源泉徴収済のままで置いておく)、と選択することもできるということでしょうか。
それならば、令和3年はひとまず繰越控除申告はしておいて、その控除額を使うかどうかは
令和4年度の所得と売却益を見て考えようかと思います。
上記のような考え方は不可なのでしょうか。

お答えいたします。
翌年の確定申告をする際、前年分の譲渡損を使わずに、さらに次年度へ繰り越すということはできます。その際は、翌年の確定申告において、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」を添付する必要があります。
伊香先生、
控除を使わない選択もできますし(特定口座源泉徴収済のままにしておく)、その場合は確定申告の際に
「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」を作成しておいて確定申告時に一緒に提出して、さらに次年度に使えるようにしておくということですね。
細かい点まで大変丁寧にご説明、ご回答いただきまして大変助かりました。
これで令和3年の確定申告を完成することができそうです。
色々と有難う御座いました。
感謝しております。
本投稿は、2022年03月01日 18時25分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。