親に言わずに新たにバイトを始めたい際の注意点について
はじめまして。
現在大学1回生で、5月より単発バイトの斡旋会社に所属しつつ働いています。
月12万円の第二種奨学金を受けており、多子世帯として授業料免除の対象にもなっています。
今後、親に知られない形で別の仕事を始め、そちらで約90万円、単発バイトで約10万円の収入を得る予定で考えています。
ただ、税や扶養、確定申告の制度が複雑で、また親に知られたくない事情があるため、下記の点についてお伺いしたく、ご相談させていただきました。
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1. 年間の所得が103万円を超えなければ、確定申告や親の扶養の問題は発生しないのでしょうか?
2. 「副業の収入が20万円以下なら確定申告は不要」と聞いたのですが、「本業・副業」の区分はどう定義されるのでしょうか?
3. 複数の仕事でそれぞれ源泉徴収されている場合、自分で確定申告する必要がありますか? その際、申告によって親に収入が知られる可能性はありますか?
4. 多子世帯の授業料免除や奨学金継続の資格が、収入によって外れる可能性はありますか?
5. 「年収103万円を超えても、2年間は扶養から外れなくてよい」とされる制度があると聞いたのですが、その制度の名前や条件、手続き方法を教えていただけますでしょうか?
6. 確定申告や収入の処理を親に知られずに行うために、注意すべき点・おすすめの方法などがあれば教えてください。
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お忙しいところ恐れ入りますが、ご教示いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答
豊嶋彩子
1. 年間の所得が103万円を超えなければ、確定申告や親の扶養の問題は発生しないのでしょうか?
103万円は、所得ではなく給与収入です。所得は、給与収入-給与所得控除の金額となります。税制改正で現在、給与所得者の方は年収が160万円以下であれば所得税がかかりませんので、確定申告も必要ありません。
ただ、扶養の条件は異なり、通常の扶養控除は給与年収が123万円以下であれば受けられます。また、19歳以上23未満の方については、給与の年収150万円以下であれば「特定親族特別控除」が満額受けられます。
一方で、社会保険の扶養に入るためには、年収が130万円以下である必要があります。
2. 「副業の収入が20万円以下なら確定申告は不要」と聞いたのですが、「本業・副業」の区分はどう定義されるのでしょうか?
本業と副業の区別の前に、この規定は、その「本業」で年末調整がされていることが前提となります。
3. 複数の仕事でそれぞれ源泉徴収されている場合、自分で確定申告する必要がありますか? その際、申告によって親に収入が知られる可能性はありますか?
1つの勤務先で年末調整がされていて、かつその他の所得の合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要です。お子さんの確定申告を親御さんが直接知ることはまずないと思いますが、どこから知られることになるかはわかりません。全く知られなないようにすることは難しいと思います。
4. 多子世帯の授業料免除や奨学金継続の資格が、収入によって外れる可能性はありますか?
これについては、学校や自治体、奨学金の運営先に問い合わせてください。
5. 「年収103万円を超えても、2年間は扶養から外れなくてよい」とされる制度があると聞いたのですが、その制度の名前や条件、手続き方法を教えていただけますでしょうか?
こちらは、社会保険の規定になります。現在年収130万円以下で働いていて、社会保険の扶養に入っている方が、一時的に残業などで収入が増えた場合も、短い間であれば扶養から外れない、というものです。詳しくは、社会保険労務士などの専門家にお問い合わせください。
6. 確定申告や収入の処理を親に知られずに行うために、注意すべき点・おすすめの方法などがあれば教えてください。
前述したように、基本的に子供の確定申告や収入をわざわざ親に知らせることはありませんが、絶対にわからないようにすることは難しいと思います。
松田光弘
1. 103万円の壁は給与所得だけ存在する場合の話であることにご注意ください。給与収入以外の収入がある場合には壁はもっと低くなります。
2. 20万円は雑所得の免税点です。よく言われる「本業・副業」の本業は給与をもらっている仕事で、副業は給与のかたちでなく収入を得る仕事と考えてください。
3. 確定申告をする必要があります。確定申告の結果、所得が生じるならば親の扶養から外れることになり、税務署から親の会社経由で親に連絡がいく可能性があります。
4. これは制度を扱っている機関に聞いてください。
5. それは健康保険・厚生年金の制度である「年収の壁強化パッケージ」であり、103万でなく130万です。所得税に関しては壁は変わっておらず、そのような制度はありません。
6. 給与収入以外の収入がある場合には確定申告をしないと税務署は正確に所得を把握できません。一方で税務署は大抵、個人の収入総額を把握しているので、所得が103万円を超えていると判断すれば親の会社に連絡を入れることがありえます。したがって給与収入以外の収入があるなら、確定申告は必ずしましょう。
松田光弘
すみません、所得税の壁が変わっていないというのは語弊がありました。2025年から基礎控除が48万円から年収に応じて58万円~95万円に増えますので、所得税の壁は引き上げられます。
ただし社会保険に関する130万円の年収の壁は変わっていないので、所得が免税点以下でも、年収が130万円以上であれば社会保険の扶養が外れて、自治体や年金事務所から会社経由で親へ連絡がいくことはありえますのでご注意ください。
本投稿は、2025年06月09日 17時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






