親族間の不動産賃貸について
たびたび帰省するのでその時に滞在するためと定年後に住む予定で実家の近くにマンションを購入予定です。
実際に居住するまでに実家近くにすむ妹に賃貸しようと思っています。
年間経費は固定資産税15万+管理費等45万=60万で、妹には3万/月×12=36万/年で貸す予定ですが、年間24万マイナスです。住んでもらうだけでありがたいと思っているのでこの値段ですが相場よりだいぶ安いので税務上何か問題がありますでしょうか。(お咎めはありますか?)また、問題ない場合このマイナスを不動産所得のマイナスとして確定申告できますでしょうか?
現金一括で購入予定ですがローンを組む場合の税制上のメリット?等ありますでしょうか?
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

土師弘之
民法595条第1項に「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」と規定しています。民法595条は「使用貸借」に関する規定です。
このことから、最高裁では、固定資産税等相当額以下の賃料については借り主が必要費を負担していると考えており、「使用貸借」(「賃貸借」ではない)と認定しています。
つまり、相場よりかなり安い家賃は、不動産賃借料(家賃)として認められる特別な事情がない限り、家賃ではなく費用の負担であると最高裁は認定しています。
このことから、不動産収入(所得)とするためには、家賃は少なくとも「借用物の通常の必要費」(固定資産税+管理費)以上である必要があるということになります。
また、一般的に、相場よりはるかに安い家賃は親族間でなければ起こらないケースだと思われます。
したがって、今回の場合は「不動産所得」としては申告できないという結果になります。
なお、
・ローンを組んでも「住宅ローン控除」の対象とならない
・支払利息は「借用物の通常の必要費」に該当する
ため、税制上のメリットは考えられません。
ご丁寧にお返事いただき、ありがとうございました。
重ねての質問で恐縮ですが、家賃を「借用物の通常の必要費」を超えるように設定して、なおかつ相場より少しだけ安めにする、とすれば親族間でも不動産所得とできるのでしょうか。
また相場よりはるかに安いというのは目安として相場のなん割程度でしょうか?
そもそも、不動産所得でマイナスが出たとしても僅かであれば不動産所得として申告しない方がよろしいでしょうか?
よろしくお願いいたします。

土師弘之
そもそも相場で賃貸すべき問題ですので相場の何割程度という基準はありません。相場より少しだけ安めにする程度であれば問題にはならないと思われますが、月額3万円にする必然性がなければ、損益通算を意図して家賃を下げて赤字を出している、つまり、課税所得を下げているという租税回避行為と見られてしまう可能性が大いにあります。
第三者に賃貸している家賃でも赤字になる場合とは別のものだと考える必要があります。
ご丁寧なありがとうございました。大変参考になりました。
本投稿は、2025年04月10日 14時01分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。