確定申告ー不動産収支、駐車場工事費の原価償却について
空き地を新たに月ぎめの駐車場にするため工事をしました。工事費明細のは以下の4つに分類されています。
1)仮設・既存撤去工事
2)土工事(鋤取り、敷均し工)
3)駐車場工事(転圧工、砕石路盤工、フェンス工事)
4)その他工事・管理諸費
工事費全体が減価償却の対象とできるものか、あるいは部分的にのみ適用されるものか、また償却年はフェンス工事部分15年、その他は10年と理解しますが正しいでしょうか。ご教授のほどよろしくお願い申し上げます。
税理士の回答
結論
工事費全体が一括で減価償却資産になるわけではありません。
土地の造成・整地(10年)に該当する部分のみ償却対象
フェンス等の工作物は別個に(15年〜20年)で償却
土地そのものの価値を高めるだけの支出は“非償却(資本的支出)”で固定資産計上のみとなります。
つまり、工事項目ごとに「償却できる/できない」と耐用年数を分けて処理するのが正しい方法です。
理由
国税庁の「耐用年数表」では
土地の利用価値を高める工事 → 土地造成費として10年償却
駐車場の施設(アスファルト舗装・砕石路盤・転圧)は“工作物”(10年または15年)
フェンス等の囲いは“金属造工作物”で15年
と明確に区分されます。
また、
純粋な除草・撤去・整地だけの部分は土地に付随するため非償却(減価償却なし)という判定が必要です。
工事明細ごとの取り扱い
① 仮設・既存撤去工事
既存物の撤去、残材処理など
→ 原則:土地の造成・利用準備=非償却
→ 新たに施設を作るための前準備であれば「資本的支出」として土地に付随(償却なし)
※ただし旧舗装の撤去や旧設備解体が“新設工事の一部”なら、工事全体の取得価額に按分して償却対象に含めることも可能(税務署説明が必要なケース)
② 土工事(鋤取り・敷均し工)
土地の平準化・整地
→ 土地造成費=原則 非償却
→ ただし駐車場としての利用価値を形成するために不可欠な“路盤のための基礎整地”なら 償却対象(10年)に含める余地あります。
③ 駐車場工事(転圧・砕石路盤・フェンス工)
砕石路盤・転圧 → 駐車場舗装の工作物(耐用年数:10年)
フェンス工 → 金属製工作物(15年)
→ この部分は確実に減価償却対象です。
④ その他工事・管理諸費
現場管理・共通費などは
→ 償却対象工事への付随費として按分して加算
例:
駐車場舗装部分へ按分 → 10年償却
フェンス部分へ按分 → 15年償却
整地(非償却部分)へ按分 → 土地に加算(償却なし)
詳細のご解説ありがとうございました。たいへん参考になりました。
②の土工事は微妙なところと思われました。ただ、砂利をひき詰めた駐車場とするため、もともと平坦な地面の土を削り残土を処分した費用なので、駐車場を造る工事の一部と判断できるように思われますが、そのような理解でよろしいでしょうか?必要な砂利を入れる分だけ地面を削ったということになります。
結論
その理解で問題ありません。
今回の 「砂利敷き駐車場を造成するために必要な“基礎整地(鋤取り・残土処分)”」であれば、駐車場工作物の一部として 10年償却に含める処理が安全です。
理由
税務上、整地費の扱いは次のように分類されます
純粋な土地造成(価値を上げるだけ)→ 非償却(資産計上のみ)
駐車場舗装・路盤を作るための“直接必要な基礎工事”→ 工作物(10年)に含めて償却で大丈夫です。
今回の説明ではもともと平坦な土地、駐車場のために必要な高さに調整、砂利路盤を適切に入れるための鋤取り、残土処分も“舗装工事の一部”と、目的が 駐車場という施設を作るための前提工事 と明確です。
したがって、税務調査でも「単なる土地造成ではなく、駐車場の工作物に密接不可分の基礎工事」として説明が通ります。
本投稿は、2025年12月03日 15時59分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







