親族に家を貸した場合の減価償却
義両親に所有するマンションの一つに入居してもらう予定です。賃料は受け取りますが、固定資産税と借入金の金利負担程度にする予定です。相場の家賃よりは低くなりますが、その場合でも他の賃貸マンションと同様に減価償却などの費用を計上する事は可能でしょうか?
このマンション単体でみた場合は躯体割合が高く減価償却額が大きいため収支は赤字となります。仮に赤字が大きすぎると判断された場合、適正家賃というものはどの様に計算するべきでしょうか?周辺も含めて分譲マンションの為、賃貸物件がなく比較するものがございません。
税理士の回答

親族に賃貸した場合でも相当の対価を得ていれば減価償却費等の必要経費を算入することは可能ですが、相場よりも安価で賃貸した場合に生じる不動産所得の損失は、他の所得との損益通算が否認される可能性がありますのでご注意ください。
適正家賃の算定方法としては、賃貸の仲介を扱う不動産会社に賃貸した場合の家賃を査定していただくのが宜しいと思います。あるいは賃貸住宅情報などから類似した物件を探して、賃料を推定計算することになります。
以上、ご参考になれば幸いです。
国税庁のホームページには、役員に社宅を貸与する場合の「賃料相当額」として以下の計算式が示されていますが、この式を用いて家賃を計算すれば、適正とみなされるでしょうか?
次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm

国税庁HP記載の社宅家賃の計算式は、会社が所有する住宅又は大家さんから借り上げた住宅を役員等に社宅として賃貸する場合に、「社宅に入る役員又は従業員」が「会社」へ支払う社宅家賃の金額の計算方法を示しています。
ご相談のケースとは状況が異なりますので、上記の社宅家賃の金額を適正額とすることは残念ながらできません。
宜しくお願いします。
借りる人によって税務会計上の適正家賃は変わるという事でしょうか?
例えば、管理費や固定資産税などの合計費用が10万円弱だとして、周辺の家賃相場が15万円~20万円だった場合、家賃10万円では損益通算は認められないのでしょうか?

社宅家賃の取扱いは従業員等の福利厚生を目的として「入居する人(家賃を支払う人)」の家賃負担額を定めたものになります。
損益通算の問題は家賃を受け取る人の税の考えになりますので、社宅家賃の取扱いとは次元の違う話しになります。
相場が15~20万円のところを10万円で貸与してその損失を損益通算することは、私は問題なしとは言えないと思います。親族等に安価で賃貸する場合、安価でも黒字であれば税務署はその取引を不問としてますが、赤字で損益通算する場合には調査の対象になる可能性が高まると思われます。
素人の理解不足に対して丁寧に回答いただき有難うございます。
整理しますと、
相場が15万円のところを3万円で従業員に貸す場合に会社は減価償却を計上できるが、
相場が15万円のところを10万円で親族に貸す場合に貸主は減価償却を計上できない、
という事ですね?
合理的に理解するのは難しいですが税務署の方針がそうだいう事はとても参考になりました。

ご連絡ありがとうございます。
>相場が15万円のところを3万円で従業員に貸す場合に会社は減価償却を計上できるが、
>相場が15万円のところを10万円で親族に貸す場合に貸主は減価償却を計上できない、
>という事ですね?
減価償却ができないということではありません。相場よりも明らかに低い金額で貸して、その結果不動産所得が赤字となった場合には、「損益通算をする場合には注意が必要」ということです。
親族等であれば恣意的に家賃を低額にして意図的に赤字をつくることができてしまいます。そのような赤字を使って損益通算することをすべて認めてしまいますと課税の公平が保たれませんので、極端な低額家賃での賃貸に関しては税務上の歯止めがかかるものと思われます。
相場が15万円のこところを3万円や5万円で貸すというのは明らかに低額といえますので、このような低額家賃で赤字を作って損益通算を行うのはリスキーと思われます。なお、いくらなら良いかという基準は明らかにされておりませんので、具体的な割合等につきましてはご容赦ください。
以上、ご参考になれば幸いです。
お陰様で税務署の方針が理解できました。有難うございます。
相場15万円のところを3万円で税務署の職員などの官舎として貸しているため、
同様に会社が従業員に対して格安の社宅を用意しても減価償却を認めているが、
一般国民が同じように減価償却費を計上する事は許さない。
という事は理解できました。
論理的に考えるだけでは出てこない結論ですので、専門家のアドバイスは大変参考になりました。
税会計が恣意的なさじ加減で決まっているというのも驚きとともに新しい発見で大変参考になりました。
専門家のアドバイスが必ず必要だと痛感いたしました。
有難うございました。
本投稿は、2017年05月10日 09時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。