日本非居住者同士の海外資産共有:日本の贈与税と名義預金について教えてください
日本国籍あり、日本に住所なし、過去10年以内に日本に住所あり、の夫婦です。
居住国では、銀行口座や不動産を夫婦共有名義にしておかないと不利益が生じることが多いため、私達も共有名義の銀行口座を複数持っています。
(口座A) 夫が主たる名義人の共有名義口座。夫が得た収入のみが入っており夫のみが運用、
(口座B) 妻が主たる名義人の共有名義口座。妻が得た収入のみが入っており妻のみが運用
居住国では持分は一律50%と定められていて、持分を記載した書面が発行されることはなく、持分登記のような制度もありません。
Q1. 日本では「名義預金」の概念があり、例えば妻名義の口座でも、入金元が夫のお金で夫が運用していると、夫の口座とみなされると聞きました。
この場合、私達の共有名義口座は、どちらも「実質的には」個人のものなので、贈与税の申告は不要でしょうか?
Q2. 居住国では持分が一律50%なので、実際の出資額と50%の差分を贈与として日本に申告する必要があるのでしょうか?その場合、居住国での持分の定めに関する証拠がない(書面等の発行や持分登記が一切ない)ため、持分に差分があることをどのように証明したら良いのでしょうか?
Q3. 居住国の法律では、夫婦の共有財産は名義人の一方が死亡すると自動的に残された名義人個人のものになります。日本に住所がないまま夫が死亡した場合、口座Aは実質的に夫の口座のため100%相続税対象であり、口座Bは実質的に妻の口座であるため課税対象ではない、という解釈で合っておりますでしょうか。
Q4. 居住国の法律は一切関係なく日本では日本の法律のみを見るのでしたら、ただ「共有名義だが出資額に応じた持分だ」と説明するだけで良いのでは?と思っていますが、この解釈で正しいでしょうか。入出金履歴や過去の源泉徴収表などは全てとってあるのでそれぞれ出資者のお金である証拠にできると思っています。
Q5. 今後、日本に住所がないまま10年が経過後に、共有名義口座で発生した入出金などの取引は贈与として申告必要でしょうか?また、日本に住所がないまま10年以上が経過した後にこの口座で発生した相続はどうなるのでしょうか?
口座開設の時から遡ると10年以内に日本に住所があるので、課税対象なのか?疑問に思ています。
宜しくお願いいたします。
税理士の回答
ご質問では、過去10年以内に日本国内に住所(生活の本拠地として)があったという事ですので、日本の税法では無制限納税義務者となり、相続・贈与については、国外・国内財産共に課税の対象となります。(相続税基本通達1の3・1の4共-3)。次に、預金の帰属についてですが、原則預金の所有者はその預金の出損者(その預金の原資の所有者)に帰属します。ただ、例外として、その預金等について、贈与があった場合については除かれます。(贈与があった場合とは、贈与契約があり、かつ、その履行が終了している場合で、預金の維持管理者が移っていない場合は贈与から除かれる場合があります。)このことを前提として、質疑について考えると問1及び問2
については、それぞれの名義に帰属することで問題はないでしょう。問2の挙証については収入がA口座B口座それぞれ入っているので問題はないと思います。問3についても、アメリカのアリゾナ・カリフォルニア州では合有所有者の一方が死ぬと他方へ移るという日本にはない法律がありますけど、はっきり区分けされているのでこの場合問題ないでしょう。問4も考え方として誤りはありません。問5について、10年経過後で共に過去10年間日本に住所(生活の本拠として)がない場合については、相続・贈与とも制限納税義務者となるので、日本の税法では日本国内の財産にのみ課税されます。その時点で贈与を清算することはありません、贈与はあくまで贈与があった時点で考えます。なお、日本の相続・贈与について回答しましたが在住する国によってその国に相続税等がある場合についてはそれによって下さい。
武田先生、お忙しいなか丁寧に教えて下さり、ありがとうございます。
日本の相続・贈与について、申告・納税対象が明確になり、大変助かりました。
将来、国外・国内財産の贈与や相続が発生し手続きが必要となった際には、武田眞一税理士事務所 様に相談させていただきたいと思います。
その際にはどうぞ宜しくお願いいたします。
本投稿は、2018年10月07日 17時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。