親の土地家屋を購入してリフォームを行う場合の住宅取得等資金の非課税制度について
現在私の所有している土地家屋を息子夫婦に売却して大掛かりなリフォームを行った上で住んでもらおうと考えています。まず息子に適正な価格で土地家屋を売却した上で息子がリフォーム契約を行い、土地家屋を売却したお金をそのままリフォームの資金として息子に贈与しようと思っています。
息子から親、親から息子、息子からリフォーム会社にお金が移動する形になってしまいますが、この場合住宅取得資金の非課税制度の適用を受けることは可能なのでしょうか。
また、現在息子は別な場所に住んでおりますが、リフォーム完了後ただちに新しい家に転居する予定です。しかし、現状家屋が老朽化しているため、リフォーム前から居住することは不可能です。この場合、受贈者の改築時の要件「増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもの」を満たしていないことになるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
「増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもの」を満たしていないことになるのでしょうか。
残念ながら、「所有し、居住する」に該当しません。
このため、非課税にはなりません。
早速のご回答ありがとうございました。
このケースでリフォームではなく新築の家屋に建て替える場合、非課税制度の適用を受けることはできるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
質問者の土地建物は、いくら位で誰に売却するのでしょうか?
また、立て替えの金額はいくら位でしょうか。
お金の移動が不自然に見えます。
確かに、売買と贈与は別の法律行為ですが、売買代金の授受と贈与のところを省略できそうです。
想定されている内容・金額をもう少し詳しく教えてください。
なお、住宅取得等資金の非課税は、実の親子間という条件があります。
ご返事遅れまして申し訳ありません。
私の土地建物は、実の息子が住宅ローンを組んで 2000万円で購入する予定です。住宅取得資金の非課税が適用されるのであれば、その2000万円をそのまま、息子の建て替え費用の補助として贈与したいと思っています。なお、建て替えの金額は2500万円程度になりそうです。最終的に息子の支払額はローンを含めて2500万程度になりますが、それでも土地家屋を新規に購入するよりは(私の贈与分)安くなると思います。
普通に私の土地家屋を第三者に売却し、息子が他所に不動産を購入するのであれば、贈与の非課税対象になるとは思いますが、なんとか思い入れのある土地に息子夫婦を住まわせ、かつ非課税範囲内で贈与もしてあげたいという思いです。
何か良い方法がありましたらご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
失礼な回答をご容赦願います。
質問者が60歳以上であれば、相続時精算課税制度で2,500万円まで贈与するというのが得策? でしょうか。
本件では、色々と考慮することがあります。
イ 質問のリフォームは、息子さんが住んでいないため非課税にならない。
ロ 建替えであれば、省エネ等住宅で1,200万円、一般住宅で700万円の非課税。
ただし、今年の10月以降消費税増税後で、請負契約の消費税が10%であれば、来年3月末まで、省エネ等住宅で3,000万円、一般住宅で2,500万円まで非課税。
(注)売買と贈与が変則です。
税法には、「実質課税の原則」というものがあります。
これは、形式にとらわれないということで、土地建物の贈与と認定される恐れが考えられます。
ハ 質問者から息子さんへの売買では、仮に質問者が住んでいる場合でも、居住用の3,000万円控除が使えません。
※ 親子間(直系血族)売買が除外されています。
ニ 相続時精算課税では、質問者が60歳以上という条件があります。
今年の贈与であれば、昭和34年1月2日以前の生まれ。
相続財産に加算されますから、質問者の資産状況によっては得策にはならない。
※売買と贈与を止めて、土地建物の贈与又は、取壊し後の土地の贈与という選択です。
また何か良い方策を思いつけば回答しますが、今の時点ではこんなところでしょうか?
ご丁寧なご回答誠にありがとうございます。
このような変則的な売買では贈与とみなされるリスクもあるということなのですね。
相続税精算課税については私は60歳以上ですので利用可能だと思いますが、いろいろとデメリットもあるということで躊躇してしまいます。
いずれ将来相続するものと割り切って、今回は土地は私所有のままで家屋(古いものなので固定資産税評価額170万)のみ息子あるいは息子夫婦に贈与した上で息子がリフォームを行うという方法をとった場合、何か問題はありますでしょうか。家屋自体は価値があまりないものですので贈与税や不動産取得税はさほど大きな額にならないと思うのですが、この認識で正しいでしょうか。
また、家屋が一度息子名義にしておかないとリフォームを行っても新居が息子名義にならないという認識でこの質問をいたしておりますが、その理解も正しいでしょうか。
度重なる質問誠に申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
家屋の贈与について
贈与税は、110万円まではかかりません。
そこで、息子さん夫婦2人に贈与すると贈与税はかかりません。
しかし、その家屋を息子さん1人の負担でリフォームすると、工事代金の1/2が息子さんから息子さんの奥様に贈与になります。
息子さん夫婦の婚姻期間が20年以上であれば、贈与税の配偶者控除(2,000万円)で問題なさそうです。
不動産取得税は、3%で51,000円。
息子さん1人に家屋を贈与すると、贈与税は60,000円です。
※リフォームの場合の不動産取得税については、リフォームに伴う増築等の登記を行えば、リフォーム後の評価額で課税されます。
家屋の名義を息子さんに変更する前に、息子さんが資金を負担してリフォームすると、息子さんから質問者へリフォーム代金の贈与が発生します。
その後に名義変更すると、リフォーム後の価格で息子さんに贈与税がかかります。
※贈与税がダブルでかかります。
※相続時精算課税のデメリットは、改めて書きます。
相続時精算課税のデメリットと注意点
最大の注意点は、申告手続を期限内にすることです。
期限を守ることは当たり前といえますが、何らかの事情等で期限に遅れると、精算課税を使えなくなります。
遅れた事情の何たるかを問わずにです。
2,500万円の贈与税は、何と8,105,000円と莫大です。
(申告手続)
申告期間は、贈与の翌年2月1日から3月15日まで、期限は3月15日です。
申告は、贈与を受けた子供さんが、自身の住所を管轄する税務署に行います。
その他のポイント
イ 相続時の精算は、贈与時点の金額で計算します。
したがって、建物など値下がりする財産では、値下がり分だけ割高になります。
逆に、値上がりする財産であれば、割安になります。
※割高を承知の上で贈与することがあります。
それは、収益物件のケースなどです。
例えば、アパートを贈与すると、建物自体は値下がりします。
しかし、以後の家賃収入を息子さんに移転できます。
その結果、贈与者の財産増加を抑制できます。
ロ 他の相続人がいる場合
例えば、子供さんが2人以上のケースでは、公平を考慮しましょう。
不要な揉め事の原因になります。
ハ 贈与者の配偶者の生活は最優先でしょう。
近頃、相続法が改正施行され、配偶者の居住権などの確保が話題です。
加えて、資金面の配慮は優先事項でしょう。
ニ 精算課税以後は、110万円に戻れません。
例えば、父親から長男への贈与で精算課税を適用すると、父親から長男への贈与に関しては、110万円控除がありません。
もちろん、長男以外への贈与では110万円を適用できますから、そこで節税策を講じることはできます。
ご丁寧な回答ありがとうございます。感謝しております。
家屋のみ贈与してリフォームの方向で検討いたします。この場合、家屋を息子夫婦に50%ずつ贈与、リフォーム資金(ローン)も息子夫婦で50%ずつ負担であれば夫婦間の贈与は発生しないのでしょうか。
また「家屋の名義を息子さんに変更する前に、息子さんが資金を負担してリフォームすると、息子さんから質問者へリフォーム代金の贈与が発生します。」ということですが、この贈与が発生してしまうタイミングはリフォーム契約の締結時でしょうか、それともリフォーム代金の支払い時でしょうか。
家屋を共有にして、リフォーム資金を持分に応じて負担するのであれば、贈与はありません。
名義変更は、リフォーム代金の支払い前であれば問題ないと考えます。
リフォームの契約者(発注者)名義は、息子さんに夫婦にしてください。
度重なる質問にも関わらず、ご丁寧な回答をいただき心より感謝しております。先生のアドバイスのおかげで正しい形で先に進めることができそうです。本当にありがとうございました。
本投稿は、2019年06月01日 23時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。