個人事業の引継処理について
父が衣料品販売の個人事業主(課税事業者)で私への事業承継を検討中です。
商品の引き継ぎについて具体的な会計処理と申告が良く分からずご教示下さい。
具体的には商品が原価で5百万円程あり、その通常販売価格は約8百万円です。
父から私への贈与でと考えているのですが、少し調べると贈与であっても原価と通常販売価格7割の大きい金額で父の廃業時の売上に計上しなければならないとありました(ということは5.6百万円)。
(1)その分の会計処理は、
父:(事業主貸)/(売上)5.6百万円(+期末商品を0円にする)
私:(仕入)/(事業主借?元入金?)5.6百万円
という認識で合っていますでしょうか。
(2)①私が商品の贈与を受け、基礎控除110万円を超えるので贈与税の申告が必要だということでしょうか。
(2)②その時の贈与額は先述の5.6百万円(父の原価5百万円でなく)で考えるということでしょうか。
何卒お力添えくださいませ。
税理士の回答

竹中公剛
贈与・譲渡などを考えることが嫌なので、
お父さんの下で、私が働き、給料をもらうと考えたらどうでしょうか?
利益は、ほぼ、全額を給料にする。
お父さんがなくなった時に、資産を引き継ぐ。
どうでしょうか?
竹中先生、ありがとうございます。
単純に事業主を変更すればよいのではなく、確かに考えたりしなければいけないのは確かに嫌です。
ただし、父が亡くなった際に引き継ぐことや他に法人を設立して引き継ぐ方法などとも比較検討したく、質問をさせていただきました。
贈与以外の方法による処理が理解できている訳ではないのですが、ひとまず贈与の場合の具体的な処理を把握しておきたいと思っています。また既に私は父のもとで働いております。
その上で、質問の処理自体について認識が正しいかご教授頂ければ幸いです。

竹中公剛
贈与の場合には、すべての資産負債を出します。
その差額が、贈与税の対象です。
「棚卸資産について、販売価格との差額を考えるというのは、どなたが行っていますか?
竹中は、在庫の価格と思いますが、 」
金額もありますので、相続時精算課税をとるのも手です。
暦年贈与の場合には、500万の場合には、贈与税は700,000円です。・・・下記参照。
子供、期首商品500万元入れ金500万
お父さんから、子供へ、売却する場合には、
通常価格で販売
父
売掛金5.6売上5.6
子
仕入れ5.6買掛金5.6
になると思われます。
在庫だけを贈与する場合には、500万円が贈与だと思います。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。
基礎控除後の課税価格
200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
超
税 率
10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額
‐ 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円
【特例贈与財産用】(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
※ 「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)
基礎控除後の課税価格
200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
超
税 率
10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額
‐ 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円
棚卸資産について、販売価格との差額を考えるというのは、どなたが行っていますか?
竹中は、在庫の価格と思いますが、
竹中先生、再度また詳細なご回答ありがとうございます。
棚卸資産の価格の件ですが、どなたかかが行っているということではなく、分からないなりに調べている中でたまたま所得税の通達というのでしょうか「39-1家事消費又は贈与等をした棚卸資産の価額」「39-2家事消費等の総収入金額算入の特例」というものを見つけました。
39-2の70%云々、とあるものですからそれに伴うご教授のお願いということになりました。
今でも良く分かってはおりませんが、39-2を見つける前には引き継ぐ棚卸資産について父の廃業時の売上に計上しなければならないとは全く思っておりませんでしたし、竹中先生のおっしゃるように贈与の金額は原価5百万円なのかなという程度のイメージでした。
繰り返しになりますが39-2によって
父の売上が5.6百万円
➡私の仕入も5.6百万円
➡有償ではなく贈与であるものの私の仕入が5.6百万円で将来の売上原価になるなら贈与額も5.6百万円
というような思考になった次第です。
そもそも39-1、39-2の捉え方が違うということなのでしょうか(金額や売上に計上する必要はない等)。
また、所得税と贈与税で認識する金額は異なっても構わないということなのでしょうか。
この辺りにあると頭の整理がつかなくなりまして当初の質問ようなご質問となりました。
ちなみに父は店舗土地建物を所有しておりますがこちらは相続時まで使用貸借?で良いのかなと考え、父の債権債務もありますが少額なので引き継がない方向で考えているのが現状です。
もちろん、竹中先生のご助言のように父が亡くなってからの承継や相続時精算課税制度(全く不勉強です)の検討もしていきたいと考えており、まず贈与の処理について頭の整理をして一つ一つ考えていきたいと思っています。
度々で恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。

竹中公剛
39-1と2は、家事消費の考え方です。
事業承継とは関係がないと考えてください。贈与にこだわると、関係があるように思いますが・・・。
家事消費の場合には、
仕入れ100(売値200)の商品を
自分で消費した場合には、200円で、処理=売上する必要はなく、140円以上での売り上げ処理でよい。という内容。
仕入れ100円(売値120円)の場合には、120*0.7=84円ですが、100円より安いので、100円以上ならばよいという内容です。
では、私に贈与する場合には、どうなるか500万円(売値800万円)なので、
父は、売上を
事業主貸560売上560で計上。
私は、商品500事業主借500
で、贈与税を70万支払う。
このようになると考えます。
よって、この70万円は、商品の価格に+され、
私の商品は、
仕訳商品570事業主借570となります。
私は、70万円を国に支払うことで、商品を手に入れられます。
面白いですね。気にしていませんでしたが・・・面白い手法です。
でも、この基本通達は、事業承継を考えたものではないので、上記は、税務署で否認される恐れがあります。
よって、
売買による方法が良いと思います。
事業承継なので、
父の売値は、在庫価格とします。500
売掛金500売上500
私
仕入れ500買掛金500
とします。
800でしないでもよいと思います。
いずれ、私の売上で、課税できますので・・・。(安易かもしれませんが・・・)
もちろん800で売り上げても構いません。
父
売掛金800売上800
私
仕入れ800買掛金800
もしよければ、記述だけでは、説明が難しいです。
ドットコムの番号に電話ください。
竹中先生、ご多忙のところ毎回迅速なご回答ありがとうございます。
父の売上560、私の仕入500(贈与税を付随費用?と考えて加算すれば570)ということで、父の売上と私の仕入の金額は一致しなくても良いということなんですね。
贈与ではなく譲渡の方のご提案も頂きありがとうございます。
この点、私の買掛金を父に弁済するだけの資力や借入が可能であれば良いのですが不透明であるので、短期間なら良くても、なかなか弁済出来ないでいると実質的に贈与とみなされたりする可能性があるのではないかと(根拠もなく勝手にですが)考えたりしていました。
最終的には税務署に確認をとってから判断しるしかないように現時点での私の知識(と予算)では思います。
私が複雑に考えすぎているのかもしれませんが、なかなか難しいものですね。わかりやすい書籍などあればよいのですが。
お電話をしても良いとのご案内まで頂戴し、感謝申し上げます。

竹中公剛
仕入れ500万買掛金500万は、
これは売れた時に返せばよいので、弁済できない金額ではありません。
売れないものなら、買わなければよいのですから・・・。
資力については、将来=売れた時に、出てくるはずです。
もし、無理と考えるなら、
事業承継はやらないで、
在庫が売れるまで、父が事業をして、
私が、今それと同じ事業を始めればよいのです。
新しい事業=父と同じ事業を開業すれば済むことです。
何も、父の棚卸資産を購入する必要はありません。
しっかりと冷静に考えてください。
良い税理士さんを見つけてください。一緒に考える。
竹中先生、ありがとうございます。
500万円が多額かどうかは判断が分かれると思っています。確かに多額とまでは言えないのかもしれませんが、地場の衣料品店としては少額ではないと考えています。
仰る通り売れないものは買わなければ良いというのはその通りですが、その見極めもなかなか難しいです。
もちろんそこは税理士先生ほかの責任ではなく自己責任だと考えてはいます。
また、私が父と並行して事業を行う方法もあるとのことも少し前に考えたのですが、新たな場所で事業を行うような余裕はないため、そのような場合には所得分散としての税務リスクがあるとネット上の意見ではありますが見たことがあります。
自分では冷静ではあると思っていますし、結論は急いではおりませんが、父も高齢であるため概略の方向性だけでも早めにイメージしておきたいと思っています。

竹中公剛
同じ場所で行うのです。
全てを、私が・・・父から委託で販売します。
父は、私が、売れた分のみを、委託売り上げをします。=持ち論その分を申告します。
仕入れ価格は、委託なので、5万円の在庫のものは、6万円です。私の売値は、8万円です。
その様にすればよいのです。
私が独立した後は、新たな仕入れは、私がします。
委託契約書は必ず、作成します。必ずです。
頭を柔軟にしてください。
私は、独立後は、給料をもらいません。
自分の利益で生活します。
屋号も同じです。
何も問題はありません。
竹中の案はどうでしょうか?
これですっきり独立ができます。
竹中先生
独立が目的ではなく、父が高齢なので承継を検討したいというのが趣旨です。
委託販売ということは父の事業も継続し、経理処理や申告が双方で必要なことも負担になると思います。ですのでスッキリという感じではないかもしれません。
しばらく続けて在庫が減ってきたところで承継すればよいのかもしれませんが、現在ある在庫は不良ではないもののかなりサイクルが長いものが多くそれなりの期間がかかってしまうように思います。
しかし全てがベストである方法は難しいのかもしれず、委託販売など考えてもいなかった方法で、また問題ない方法とのことですので一案として検討したいとは思います。
ありがとうございます。

竹中公剛
申し訳ありませんが・・・事業の継承は、独立です。
柔軟に物事を考えられないようです。
時間はないかもしれませんが・・・時間をおいて、考えてください。
申し訳ありませんが・・・ここで、竹中の回答は終わります。
ほぼお話の中での、状況はつかんだうえで、すべて回答していますので・・・。
竹中先生
おっしゃっる通りかもしれません。
お時間をお取りいただきありがとうございました。
本日入手した書籍(素人の私には著名な方の著作と思っていますが具体名は控えさせていただきます)によれば、
私が棚卸資産の贈与を父から受けるに際しての会計処理は、
当初(良く分かってはおりませんでしたが)このように仕訳するのであろうか、かというのと同じく
父の売上:5.6百万円
私の仕入:5.6百万円
として処理するとの記載がありました(贈与額をいくらにすべきなのかは記載がありませんでした)。
可能であれば他の先生からのコメントを頂ければ幸いです。
ここ数日、ある先生のご意見を賜ったのですが、税理士先生によって見解(以前回答をいただいた先生によれば、私の仕入は5百万円で良い、贈与額も5百万円で良い)がこのようにあるのでしょうか。
おそらく一生に一度の事業承継を受ける身である一方で税理士の先生は多くの実務を経てきていると思いますので、
私の仕入額が5百万円にすべきなのか(先述の先生)、5.6百万円(書籍の先生)なのかについては差異がおこることは通常はないのではないかと思いますが今回の見解は違いがあります。
書籍には贈与額までの記載は見当たらないのですが、少なくとも所得税の点での処理についてだけでも違う先生の見解を頂ければお願い申し上げます。
(以前、回答頂いた先生にも感謝しております。今回はご回答頂くなくて結構する。良く分かっていなくて申し訳ないのですが、一度の質問で複数の先生からの回答が出来ないシステムであるならあらためて質問をアップさせていただきます。)
お手数をおかけいたします。

竹中公剛
この先生の見解もあっています。
家事消費とは、違いますが、売値の70%を拝借しての見解と思われます。
なかなか良い見解でしょう。
家事消費でないので、贈与はないと思ってください。
拝借しての見解、なかなか良い見解、というのが私のレベルでは理解できませんが、税務署にも見解を聞く機会を持てればと思っています。
いずれにしても現状では贈与時の会計処理にしてもいろいろ考え方があるのですね。
個別のケースによってということになると思いますが、質問させて頂いた内容からの処理方法として別途の機会で質問の経緯や税務署の見解結果などお知らせ出来ればと思います。
ありがとうございます。
貴重な時間、前回の先生のお考えの通り回答は不要です。

竹中公剛
税務署に質問主意書を出すことも、良いことです。
贈与が認められれば、一番良いですね。
① 贈与した時に、家事消費のじょうな、父が売上を立てない。それが一番です。私が、贈与税のみ支払う。
②贈与したとき、父が売上を立てる。私が、贈与税を支払う。
勇気を持てば、一で、問題はなさそうですが・・・。
家事消費ではありません。・・・その通達は、無視できると思います。あえてその見解は出さないほうが良いように思います。
竹中先生、お付き合い頂き本当に申し訳ありません。
私が柔軟に考えられないというのは先生の仰る通りで、ただ、色々な処理方法について頭が整理できておらず申し訳なく思います。
家事消費ではなく贈与である、というのはとりあえず理解しているつもりです。
家事消費ではなく贈与であるため通達は無視できると思う、とのことなのですが、この点は見解とか家事消費の考え方を借用したというつもりはないのです。
所得税法の39条は家事消費について記載されていますが、続く40条に贈与や低額譲渡の場合が記載されています。この2つの条文を受けての、通達39-1と39-2の位置づけと思いましたので、家事消費でなく贈与であっても父は売上計上しなければならない、と条文・通達を読んだものです。
ですので先生のコメントが理解できていないのかと思います。
40条(贈与の場合)で事業所得の総収入金額に算入が必要、となっていて通達39-1、39-2の中でも家事消費だけでなく贈与も記載されているのに、という点です。
その他の条文や通達は確認できていないため他の取り扱いがあれば見落としがあったり、今回の通達に限っても単なる理解不足は否めないのかもしれません。
いずれにしましても、ご親切な返信に感謝しております。
ご多忙かと思いますので、回答終了ということで結構です。

竹中公剛
贈与の問題については、家事消費ではなく
農家が、生産物をお客さんや、友達に、贈与した場合にも、
売上を立てます。
税務署に質問状を出す場合には、できれば、国側の良い回答を導くような質問状は、返って損をするので、と、言う意味です。
なので、
①をと思ったのです。
②が、無難な処理のように思います。
著作物の先生のように考えると、5.6の支払が、私に、出てきます。贈与は、支払わないでよいことになります。・・・でも、贈与前の金額は原価になります。
一番良いように思います。
税務は、勇気が必要であるという、話を、今もはっきりと思い出します。
相続の時の話です。勇気がないと、税額が多くなり・・・勇気があると少なくなると、言うのです。30年前の相続でも勉強会での話です。
本投稿は、2020年09月05日 12時59分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。