隣の家を親が買ったのですが、相続時に小規模宅地の特例を適用するには?
母親と二人暮らしです。
現在、母親名義の家に同居しています。同居はしていますが別世帯となっています。
2年ほど前に母親が隣の家を買いました。現在は物置として使っています。また、多分何も行動をしなければ、このまま物置のままです。もともとは隣人の家なので、電気やガスのメーターも別ですし、物置なので、一回も電気、ガス、水道を稼働させたことはありません。
将来親が亡くなった時に、隣の家は、今住んでいる家に含めて、小規模宅地の特例をつかって、評価額を80%引きにできるでしょうか。
それとも、何らかの措置をしないと、小規模宅地の特例を適用できないでしょうか。
現在は、購入した隣の家と、もともとの実家は、
玄関は別
建物の中は、壁で区切られている。
裏の内庭には、塀で仕切られている。
内庭の向こうの扉(鍵付き)をあけると、
土地内を通って、行き来はできる。
という状態です。
例えば、うちの実家と隣の家の両方を小規模宅地の特例に適用させるためには、
いまのままでよい。
裏の扉の鍵をとるだけでよい。
間の塀を壊すだけでよい。
建物の中のかべを壊さなくてはならない。
壊した上で電気が使えるようにしなければならない。
合筆しなければならない。
など、考えられますが、いかがでしょうか。
税理士の回答

川村真吾
一体として居住の用に供している場合に適用があるので質問文の状況では無理でしょう。
ですから、一体として居住のように供していると認められるためには、どこまで、家を改造しなければならないかという質問です。
物置として利用するのは、一体として居住の用に供していないという回答ですよね。
他にも、
例えば隣の家との庭の間の壁を撤去して、庭を共通化すればいいだけなのか。
となりの部屋との居室と、私の部屋の居室の間の壁を撤去して、寝室をひろくして運用すればよいのか。
それとも、私の部屋ではなく、親の部屋の間の壁を撤去すればよいのか。
リビングの間の壁を撤去すればよいのか。
電気の配線まで、一体として張り巡らさなければならないのか。
ということであり、「無理でしょう。」という回答を求めてはいません。
下記回答いたします。
確かに現状のままでは、ご実家は小規模宅地等の特例は適用できても、隣の家については適用できないと考えられます。
ご質問文の、「隣の家」は元々隣人の方が住んでいたとのことで、恐らく建物の登記は別々に登記されているが、物理的にくっついているパターンだと推察します。(詳細は登記簿をご確認ください)
(マンションや一部の二世帯住宅のような、区分所有登記がされている建物は小規模宅地等の特例は適用できません)
この場合、区分所有登記ではないため、原則として小規模宅地等の特例が適用できます。
「同居親族」として特例適用するためには「同居」と認められる必要があります。
この場合、例えば現在物置として使用されている隣の家にご相談様が居住し、元々のご実家にはお母様が居住することが必要になります。
この点、判例では「社会通念に照らし、構造上外観上および機能上の各面を総合的に判断して一体性が認められる建築物であれば全体で1つの建物とみなされる」とされていますので、もし一体性が認められない場合には同居ではないため、特例の適用対象外になります。
なお、上記について具体的にどこまでの対処を行えば一体性が認められるかどうかについては税法上定義がなく、建築基準法の趣旨を汲んでいるとされています。
裁判でもしばしば争われていますのでこの場でご回答はできません。申し訳ありません。
ただし参考として、建物合体登記を行う際の要件に「構造上一個の建物となったとき」とされているため、土地家屋調査士がこの点についての専門分野であると理解しております。
「生計一親族」として特例適用するためには、上記ご回答の「この点、判例では~」の内容が不要になります。
つまり、お母様と同一生計で、隣の家にご相談様が居住されていれば、元々の実家と合わせて330㎡まで特例適用が可能と考えられます。
以前は建物内部で行き来が可能かどうかで適用対象の可否が分かれていましたが、現在は区分所有登記がされているかどうかで適用対象の可否が分かれています。
ご参考に宜しくお願い致します。
本投稿は、2023年10月24日 15時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。