生計を一にしない個人事業主の親からもらう月給
今回、母が高齢になってきたこともあり
個人事業(青色申告)をしている母の手伝いをすることになりました。給与額の設定の件で伺いたいです。
決まり事は以下のとおりです。
①月から木曜日の週4日
②1日4時間半
仕事量は駐車場経営なのでそこまでなく、
料金交渉や、領収書制作、チラシ作成、入金確認、帳簿作成等です。
できれば時給とかではなく月給で
毎月決まった金額でということにしたいのですが、月給で60,000円か70,000円等で設定することは問題ありませんか?
10月中旬より最低賃金が上がるので、時給計算してしまうと最低賃金を割ってしまうのですが、
親の手伝いとしてなので私は問題ないのですが、税務調査で引っかかってしまうなどリスクはありますか?
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
荒川直宙
お母様の手伝い(週4日・1日4.5時間)における月給6万〜7万円の設定について、税務上の「生計を一にしているか(家計が一緒か)」と労働法上の「同居しているか」という2つの異なる基準で整理して回答いたします。
【1】税務上の整理:「生計を一にするか」で手続きが変わる
所得税法上、親族への給料は「生計を一にしているかどうか」で扱いが大きく分かれます。
◆ (1) 生計を別にしている場合(最も手続きがシンプル)
お母様と生計を別にされている(家計が独立している)場合、所得税法第56条・57条(専従者給与の特例)の対象外となります。
そのため「青色事業専従者給与の届出書」の提出や「専ら従事する」などの制約は一切不要で、通常の従業員(赤の他人)を雇うのと同様に、全額をお母様の必要経費(給料手当)に計上できます。
◆ (2) 生計を一にしている場合
仕送りや同居等で家計が一体である場合は、青色事業専従者給与の特例(第57条)が適用されます。この場合は事前届出が必要となりますが、月額6万〜7万円という金額は高すぎる給与(過大給与)ではないため、税務調査で否認されるリスクはありません。
【2】労働法上の整理:「同居しているか」で最低賃金が決まる
最低賃金法(労働基準法)の適用可否は、生計ではなく「物理的に同居しているか」で決まります。
◆ (1) お母様と同居している場合
労働基準法第116条2項により適用除外となるため、時給換算で最低賃金を下回っていても法律上の問題はありません。
◆ (2) お母様と別居している場合
労働基準法・最低賃金法が通常通り適用されるため、時給換算した金額が地域の最低賃金を下回らないよう設定する必要があります。
【3】状況別のまとめ
・【パターンA】同居・生計一:専従者給与の届出が必要/最低賃金は適用除外
・【パターンB】別居・生計別:専従者給与の届出は不要(一般給与)/最低賃金が適用されるため時給計算に注意
・【パターンC】同居・生計別:専従者給与の届出は不要(一般給与)/最低賃金は適用除外
・【パターンD】別居・生計一:専従者給与の届出が必要/最低賃金が適用されるため時給計算に注意
【4】まとめ
まずは「生計を一にしているか(家計が同じか)」と「同居しているか」の組み合わせをご確認ください。生計が別であれば税務上の専従者手続きは不要となり、同居であれば最低賃金の制約もなくなります。
ご参考にしていただけましたら幸いです。
内容がお役に立ちましたら、ぜひベストアンサーに選んでいただけますと大変励みになります!
10月中旬より最低賃金が上がるので、時給計算してしまうと最低賃金を割ってしまうのですが、
家族なので割ってもよい。
親の手伝いとしてなので私は問題ないのですが、税務調査で引っかかってしまうなどリスクはありますか?
何もないと考えます。
出澤信男
生計を一にしない個人事業主の親からの月給は経費(給与)にできます。問題は何もないです。
いずれは私が引き継いでいくことになるかと思いますが、現在は、個人事業主の母とは生計は別で別居です。
母の負担の無いように月額を定めて、毎月同額を支給してもらう形にすれば良いと思っていました。
(私自身は5万程度でも良いと思っていました。)
①月額で毎月決まった額を支給(時給を割っても)親子なので問題ない。
②生計が別で別居だと最低賃金が適応される為、
時給計算が必要。
ご意見をそれぞれありがとうございます。
意見が分かれてしまって悩まところではありますが、税法上、決定的な決まりはないということなのでしょうか。
荒川直宙
ご質問ありがとうございます。複数の回答で混乱させてしまい大変申し訳ありません。
結論から申し上げますと、「税法上(税金・確定申告)」のルールについては、諸先生方と一致しております。
意見が割れているように見えたのは、「税金(税務署)の話」と「労働基準法(労働基準監督署)の話」という、性質の異なる2つの法律が混ざっていたためです。整理して解説いたします。
【1】税法上(税務署)のルール:諸先生方の意見と一致
「生計別・別居」でお母様の手伝いをする場合、税法上のルールは明確に決まっています。
◆ 税務上の結論
・お母様の事業の「通常の給料手当(経費)」として全額計上できます。
・月額5万円でも7万円でも、時給換算で最低賃金を下回っていても、税務署から否認されたりペナルティを受けたりすることは特にありません。
税務署がチェックするのは「高すぎる給料を出して税金を不当に減らしていないか(過大給与)」だけであり、低い給与については一切問題にしないためです。税務申告(お母様の節税・経費化)においては、月額固定で支給して何ら問題ありません。
【2】労働法(労働基準監督署)のルール:法律上、別居の場合は遵守が義務とはなっています
一方で、労働基準法(最低賃金法を含む)においては、生計ではなく「物理的に同居しているか」で法律の適用が決まります。
◆ 労働法上の結論
お母様と別居されている場合、法律上は原則通り労働基準法・最低賃金法が適用されます。ただし実務上は、家族間の小規模な手伝いに対して労働基準監督署が直ちに調査に入り取り締まるケースは聞いたことがありません。これは運用上の実態ということになります。
【3】まとめ
税法上の決定的なルールとして「お母様の経費として認められる」ことは確定しております。あとは同居の有無や最低賃金ルールを踏まえ、ご家族で支給額を最終決定していただければと存じます。
みなさま、先生方、ありがとうございます。
とても分かりやすく、
理解することができました。
荒川先生、2回のご回答ありがとうございます。
回答が最もわかりやすく、ご丁寧に
対応いただき感謝いたします。
ベストアンサーにさせていただきました。
またわからないことがありましたら
よろしくお願いいたします。
荒川直宙
ありがとうございました。またご利用ください。
本投稿は、2026年09月30日 13時49分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







