日本法人と米国法人を1社にまとめて運営するための留意点について
現在、当方とビジネスパートナー(2名とも日本の非居住者)の2名で日本法人と米国法人を設立しネットビジネスを運営しております。
物流・カスタマーサービスなどネットビジネスに必要な業務は全て、日本国内でアウトソーシングしております。
当方ども2名は米国在住のため、最初は米国法人を立ち上げましたが、楽天など国内企業は海外法人と契約をしないため、追って日本法人を設立しました。
米国法人は当方が代表、日本法人はビジネスパートナーを代表として登記しております。
米国内での業務は買い付けてきた商品の発送とネットショップのメンテナンスのみとなります。
この度、現行の2社(日本・米国)を1社にまとめて経営する方針を固め、上記条件より日本法人を残し、米国法人を閉鎖する予定となりました。
ここで質問なのですが、①日本法人が海外在住者に給与を支払う場合は源泉所得税は控除するべきなのでしょうか。
支払方法は日本法人の銀行口座から、海外送金で個々の米国銀行口座に給与を支払う予定です。
②現在日本法人は親戚の空きスペースを間借りしており、帰国出張時に使用する程度で、実質の活動拠点はありません。活動拠点である米国のオフィス家賃やその他米国内で発生した経費を日本法人の経費として計上する際の留意点をご教示お願いいたします。
③上記の条件を踏まえ、法務・税務・経理上でその他の留意点や注意事項などございましたらアドバイスお願いいたします。
以上となります。長文になり大変申し訳ございませんが、ご教示のほど何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答
こんにちは、
組織のリストラの件については、特にご相談ではないので省略します。
日本法人から、非居住者である役員報酬については、原則として日本の所得税の源泉徴収が必要、20.42%の税率です。その上で、米国、居住地国において、所得税の申告納税にあたり、外国税額控除をすることになるというのが、基本的な考え方です。米国での個人の所得税の税務については、現地の弁護士、会計士に、きちんとご相談ください。日本の税理士は、日本の税法、手続きについてのみ業務をするものですので。
次に、米国に何らかの拠点がある、ということですが、具体的な商取引をしない前提であれば、駐在事務所、的な位置づけになるでしょうか。個人の住所の家賃と言うものでなく、事業の、駐在の場所ということであれば、特段、経費に計上できないものではありません。支払日の為替レートで換算して、経理すればよいと思います。
米国の場所、については、米国からすれば、事業上の拠点ではないか、と、米国の税務当局から、検討される場合がありますので、支店などであれば米国での申告納税が必要になります。単なる駐在の場合には、米国への申告は原則いらないということになるかとは思います。
取り急ぎ回答とさせていただきます。
久川様
迅速にご回答いただき誠にありがとうございます。非居住者の役員報酬について理解致しました。
ご回答の中で幾つか確認させていただきたい事項がございます。
①米国内拠点での具体的な商取引とは、どのようなことになりますでしょうか。米国内で売上が発生するビジネスや行為をするということでしょうか。
②米国内事務所は当方の自宅となります。自宅の面積比率で作業場とプライベートを完全に分割しております。当方ども2名は米国に移住しておりますが、それでも駐在所としての経費計上は可能なのでしょうか。
③別件なのですがアルバイトを雇用する場合、アルバイトの人件費も計上できるという認識で宜しいでしょうか。
そもそも会社を1社にまとめるという動きは、当方どもが米国内に滞在しているのがイレギュラーだけで、日本国内のオンラインビジネスをするために日米の2社は不要ではないかと思いました。米国内会計・経理の費用も莫大なため、コンパクトに経営できないものかというのが根本にございます。
お忙しいところ誠に申し訳ございませんが、アドバイスのほど何卒よろしくお願いいたします。
こんにちは。
1につきましては、典型的な商行為で言えば、仕入れて再販売(または卸)、部材を調達して製造して販売(または卸)、そういった商行為を、自己の名において(会社の名前で)、その米国内の場所で行う、というような行為を申し上げております。駐在事務所ということであれば、そういった商取引はせずに、親会社と客との連絡補助などの補助的な業務を行うということになるでしょう。そのあたりは税務判断も伴いますので、詳細に検討したほうがよいと思います。
2につきましては、自宅ということであれば、個人の自宅から、会社が駐在事務所として場所を借りる、ということで、賃料などを計上することは可能だと思います。水道光熱費など、個人生活との兼用になっているものについては、全額が会社経費にはなりませんので、会社としての使用に関連する按分数字をもって会社の経費に計上することになると思います。その清算の計算を書いた資料、領収書のオリジナル、は整理保存する必要があります。
3については、会社として仕事をするにあたり、アルバイトを雇用してアルバイト賃金を払う、そういうことは、日本法人、外国法人、ともに、普通にあることでしょうね。日本と米国では雇用法規など異なりますので、米国の駐在事務所においてアルバイトを雇用するのであれば、米国の法令を遵守した形で行うということになると思います。
統合の経緯、よくわかります。米国での会計税務コストは高いですからね。
また、必要であればお尋ね下さい。
取り急ぎ回答とさせていただきます。
久川様
お世話になります。分かりやすいアドバイスをいただき誠にありがとうございました。
アドバイスを基に可能な限りシンプルかつコンパクトに経営できる方法を検討したいと思います。
また、質問がでましたら相談させてください。何卒よろしくお願いいたします。
本投稿は、2017年05月07日 06時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。