非居住者の源泉徴収について
現在カナダに在住で、日本の仕事をリモートで時々受けているのですが、租税条約の届出をしておらず、日本での源泉徴収20%と、カナダでの税金で日本とカナダ両方に納税している状況なのですが、日本に帰国した際に税務署で相談すると日本での源泉徴収分は返金されるのでしょうか。
税理士の回答

回答します
税務署に相談をされてもすぐに還付(返金)を受けることはできず、報酬の支払者などを通じてなどの手続きが必要になると考えられます。
また、二重課税解消の「外国税額控除」はカナダで行う手続きになります。
なお、日本で課税された「所得(国内源泉所得)」の内容が不明なので概要を説明します。
1 日本で源泉徴収された税金の還付を受けられるか
貴方が得る所得が「租税条約」で軽減されている所得の場合は、日本の報酬の支払者を通じて「租税条約の届出書」と「還付請求書」を提出することにより、差額の還付を受けることができます。
例えば著作権の使用料などは、国内法では20.42%の税率ですが、日加租税条約では10%に軽減されていますので、差額の10.42%分が還付の対象となります。
ただし、著作権の使用料などは「源泉分離課税の所得」となりますので、10%分にかかる税額については、日本での還付はありません。
所得の種類によっては「源泉徴収の上、総合課税(不動産所得など)」となっている所得がありますが、この場合は日本で確定申告書を提出することにより日本での課税の精算を受けられます。(結果として還付になるかは分かりません)
2 二重課税の解消
同じ所得に対し、日本とカナダで課税を受けている所得は、居住国(カナダ)において日本の税金は「外国税額控除」の対象となり、二重課税の解消を図ることになっています。
なお、この時の「外国税額控除」の対象となる税額は、条約の適用を受けた場合の税率などで計算されたものとなると考えられます。
仮に著作権の使用料の場合、日本での還付を受けていなくとも10%で計算された税額が対象となります。
また、外国税額控除を受けるには、「証明書」が必要となります。詳細は、カナダの税務当局にご確認ください。
※ 源泉分離課税で課税を受けた所得に関しては、報酬の支払者を通じて「源泉徴収に係る納税証明願」を提出し証明書の発行を受けることができます。
国税庁HPから「源泉徴収のあらまし」を添付します
7枚目(P274)の表が、「国内源泉所得」とその課税方法の表になっていますので、ご確認ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf
参考に、「租税条約の届出書(使用料)」「租税条約の還付請求書」「納税証明願」の説明箇所も添付します。
「租税条約の届出書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/mokuji2.htm
「租税条約の届出書(使用料)」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/1648_41.htm
「租税条約に関する源泉所得税の還付請求書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/1648_49.htm
「源泉徴収に係る所得税の納税証明願」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_31.htm
本投稿は、2023年02月15日 08時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。