クラウドソーシングにおける源泉徴収の責任について
お世話になります。某クラウドソーシングサービスを、発注側で利用している法人ですが、源泉徴収に関して質問です。
国税庁のHPによると、「居住者に対し、国内において源泉徴収の対象となる報酬・料金等の支払をする者は、その報酬・料金等を支払う際に所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要があります」とあるので、源泉徴収の責任はクラウドソーシング運営側にあると思うのですが、現在利用している所では、利用者(発注側)にその責任があるとしています。どちらが正しいのでしょうか?
税理士の回答
会計士・税理士の高橋です。よろしくお願いいたします。
最近は個人の方に対するクラウドソーシングによる仕事の発注が増えていますね。この時に問題になるのが源泉徴収の問題です。ご相談者様が仰るように、居住者に対し、国内において源泉徴収の対象となる報酬・料金等の支払いをする場合、源泉徴収義務者に該当しない場合を除き、源泉徴収を行う必要が生じます。ここでの「報酬・料金等の支払い」には、支払債務を負う者が自ら支払う場合だけでなく、他の者に委託して支払う場合も含まれると考えられていますが、その場合は、どこまで委託するかが問題です。
クラウドソーシングの場合、必ず利用規約上では、発注者と受託者で直接仕事に関する契約が成立し、クラウドソーシング運営会社は、そのマッチングの場を提供しているに過ぎないという趣旨の記載があります。さらに、クラウドソーシングの利用規約上は、源泉徴収は発注者側で行うもので、クラウドソーシング運営側は源泉徴収義務を負わない旨が記載されています。
以上の利用規約から、クラウドソーシング運営業者が仕事の受託者である個人事業主に報酬を支払うにしても、本来の報酬の支払債務者である発注者側からの委託に基づき源泉徴収義務まで負っているとはいえず、あくまでも源泉徴収義務者は発注者であるということになります。クラウドソーシング運営側は、源泉徴収後の報酬を発注者から一時的に預かっているに過ぎないということになります。
本投稿は、2015年12月18日 11時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。