ドイツ在住のフリーランスです。日本から受けた仕事の税金につきまして
はじめまして。
3か月ほど前からドイツに住んでいるフリーランスの映像クリエイターです。
日本の住民票は外しており、現地で住民登録済みです。
日本のクライアントとの仕事を請け負う際の税金に関して分からないことが複数ありましたのでご相談させてください。
●日本のクライアントから在宅ワークとして映像編集の仕事を請け負った場合、源泉徴収をされる必要はないのでしょうか。
●日本のクライアントから依頼されて、日本に一時帰国し撮影を行った場合は源泉徴収の必要が生じるでしょうか。
●源泉徴収をされた場合、日本で確定申告を行う必要があるでしょうか。
以上、三点です。ご多忙の折とは存じますが、ご回答いただければ幸いです。
何卒、よろしくお願い致します。
税理士の回答

貴方が、ドイツの居住者であり、日本の非居住者であり、かつ、日本国内に「支店等の恒久的施設」を有していないとしての前提で説明します。
また、クライアントと貴方との間には雇用契約がなく、今回の仕事が請負によるものであるとの前提です。
ドイツでの映像編集・・・映像編集が創作性を有する場合、当該編集されたものは「編集著作物」となり、あなたは編集著作物の著作権者になります。
その権利(使用等)すべてを、クライアントに「譲渡」する契約となっている場合であっても、日独租税条約において日本で課税(源泉徴取)されます。
日本に一時帰国しての写真撮影も、撮影者である貴方に写真の「著作権」が生じますので、先の回答と同じこととなります。
そして著作権の譲渡の場合、国内法では所得税法161⑪の使用料等として20.42%の源泉徴収を要しますが、報酬が支払われる前に支払者(クライアント)を通じて「租税条約の届出書」を提出することにより、税率が10%に軽減されます。
なお、日独租税条約§12では著作権の「譲渡」は免税ではなく、10%の課税となります。(日伊租税条約では免税となっています。)
日本での確定申告は不要となります。(日本に恒久的施設があり、当該著作権がその恒久的施設に帰属する場合は、20.42%の源泉のうえ確定申告が必要)
※ 源泉徴収された日本の「所得税」は、ドイツの申告時に「外国税額控除」の対象となりますので、「源泉徴取にかかる所得税の納税証明」を、支払者から税務署に発行を依頼して交付を受けることをお勧めします
早速のご返信ありがとうございます。
映像編集についての、「創作性を有する」とは何らかの基準があるのでしょうか。それとも、どんな内容でもそう判断されるものなのでしょうか。
私が編集しているのはアート性が全く無い物なのですが、内容は問われないのでしょうか。

大変申し訳ございませんが、この話は「著作権法」の範疇となるため、明確な回答は致しかねます。
著作権は著作物を創作した者に与えられた権利です。
そして、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをゆう。」と定義されています。(著作権法§2一)
このことから、一見「アート性が全く無い物」は含まれないように誤解されますが、「新聞記事」はもちろんのこと「子供が描いた絵」であっても、著作物になりえます。
また、「アート」の概念が人によって異なるため、ご質問の「アート性の有無」は考えられない方がよろしいのではないでしょうか。
その上で、その映像編集が、クライアントから指示されたとおりに映像をつなぎ合わせるなどの単純作業による行為であれば、新たに「著作物」が作成されていないとして、貴方に「著作権」は発生せず、支払われる対価は「著作権の譲渡」に該当しないと考えられます。
しかし、貴方が「クリエイター」として、映像編集の仕事をされているということですから、支払われる対価(報酬)が「作業」としての対価とはみられない可能性が高いと思います。
「著作権」関係の事案は奥が深く、安易な回答ができかねる状況です。このような回答となり申し訳ございません。
貴方の質問とは異なりますが、国内法人からの委託で、ゲーム制作を請け負った外国法人への対価が「著作権の譲渡」とされた裁決がありました。
このケースでは、国内法人から責任者を派遣して制作したものであってもそのような裁決になっておりました。 参考までに。
最後に、回答内容は限られた前提と事実関係に基づいての私見となりますので、実際の課否判定等において責任は負いかねます。
また、事実関係などが異なる場合は、回答が異なる場合があります。最終的な課否判定等は事実関係に照らしてご判断いただけますようお願いいたします。
本投稿は、2019年03月29日 01時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。