公益法人の講演に関する源泉徴収税の控除について
公益法人で経理として働いております。
イレギュラーなケースの源泉徴収税の控除について、お訊ねいたします。よろしくお願いいたします。
今回、どちらも謝金を講演者へ支払わないケースに該当します。
自治体から受けとる講演料、交通費、宿泊費は公益法人へ入金されるため、源泉徴収税の控除はなく、請求額の満額が入金されます。
民間企業の給与所得者の方へ講演を依頼し、旅費交通費と宿泊費のみ、実費で支払うという約束で、上の者より、交通費や宿泊費から源泉徴収税の控除はせず、さらに内規にある通り、出張手当1日分、宿泊費は上限一万円を支給し、一万円を越えた場合でも実費で精算、領収書の提出は不要と言われました。
勿論、支払調書は作成しないように言われております。
これに対し、公益法人で顧問契約を結んでいる方がおり、毎月一定の報酬を支払い、報酬、交通費、宿泊費から源泉徴収税を控除しています。
給与支給者ではないため、出張手当の支給は無し、支払調書を送付し、確定申告をしていただきます。
実は、この対応の差がいまひとつ、理解できずにおります。
というのも、国税庁のHPには、講演に関連する支払いは、こちらが宿泊費や交通費を直接支払わない限り、源泉徴収税を控除する旨、記載があり、その上、職員では無い方へ出張手当を支給する必要性があるのか、疑問を感じてしまうからです。
むしろ、顧問契約をしている方は、公益法人から報酬を支払っているため、外部の方へ出張手当の支給をするのであれば、顧問の方へ出張手当の支給をしないことが不思議です。
また、交通費は新幹線や航空券の予約の際、証憑がとれますので、領収書を提出してもらわなければ、ご自身で確定申告をする際、経費計上することも可能だと思うのです。
どちらも講演者が謝金を受け取らないのですが、毎月一定額の報酬が発生する、報酬は一切発生しないという違いがあります。
このようなケースにお詳しい方、是非、正しい対応を教えてください。
税理士の回答

給与所得者への交通費、宿泊代について、実費清算=立て替え払いであれば、御社が直接払ったと同様になり、源泉徴収は不要と考えられます。
領収書の宛名は御社(公益法人名)である必要が有ります。
しかし、出張手当は「講演料」として源泉徴収する必要が有ります。
御社の職員が支給される「出張手当」は非課税の旅費となりますが、講演を依頼した方への「出張手当」は課税対象になります。
顧問契約の方に対しての旅費、宿泊代等は、立て替え払いで無ければ、全てを源泉徴収の対象とされている処理は正しいと思われます。
米森先生、ご回答をいただきまして、有難うございました。
実は、給与所得者の方は公益法人から給与を受けている訳ではなく、別の民間企業に雇用されています。言い方は悪いのですが、講演が上手く、将来に備えて、講演料をもらわずに無償で講演をしてくださっているのです。
そのような立場の方に出張手当を支払う必要性があるかも併せてご回答をお願いできないでしょうか?

出張手当の支給基準がどのように規定されているかによります。
通常、自己の社員等が出張する際に「日当」として支払われるものではないでしょうか。(日当1万円が非課税として適当かは別です。)
そのため、外部(公益法人の職員外)の方に対し支給することは想定されていないと思われます。
ただし、講演料は無償であるから、自己の社員の規定を準用するとしていることが、公益法人内(役員会など)において認証され、支給されているのであれば、その支給についての是非・必要性についてお話しすることはできません。
しかし、「出張手当」として支出されたとしても、この場合はむしろ無償ではなく1万円の講師料を支払っているとの考え方になると思います。
所得税基本通達9-5(非常勤役員等の出勤のための旅費)においてこのように説明がされています。
『常には出勤を要しない「会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与」のような人の出勤に際し、その費用に充てるため通常の報酬と区別して支払われる旅費、手当等について、社会通念上合理的な理由あると認められる場合に支給されるものについては、非課税の「旅費」としても差し支えない。』
しかし、この通達の考え方はあくまでも、自社の非常勤役員や職員、社員に対する「旅費」の考え方です。
上司の方は「非常勤役員の旅費」と同様と考え「非課税」と誤解されているのではないでしょうか。
ご説明を聞いた限りにおいて、私は非課税の旅費には該当しないと解されます。
国税庁HPより「基本通達の箇所」を紹介します
基本通達9-5です、ご確認ください。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/02.htm#a-02
米森先生、大変、分かりやすく説明していただきまして、有難うございました。
色々なケースがあり、ネットの検索でも理解できない事象でしたが、今後、きちんとした対応ができます。お力添えをいただいて感謝いたします。

ベストアンサーをありがとうございます。
源泉所得税は「たかが源泉、されど源泉」というわれるほど、突き詰めれば深い税目になります。
また、基本通達などで「社会通念上」という文言による取扱いがあり、判断に窮することがあるかもしれません。そのようなときは、遠慮なくご質問されたほうがよろしいと思います。
本投稿は、2019年06月26日 20時59分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。