税理士ドットコム - [年末調整]扶養控除申告書出してないのに、勝手に障害者控除 - 年末調整時に提出するのは翌年分の扶養控除等申告...
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扶養控除申告書出してないのに、勝手に障害者控除

一般枠で入社して、障害者であることを会社に提示しました。(その際に、障害者手帳の写しも提出しました。)

そして、入社後、転職する際に障害者であることを伝えたくなく、年末調整の際に扶養控除申告書などを提出しなかったです。(そうすれば、障害者控除されないと思っていました。)

しかし、転職の際に源泉徴収票を確認したら、障害者欄に◯がついているのがわかりました。
なお、すでに納税済みなので、訂正もできないと言われました。

申告書を出さなくても社員が障害者であることがわかったら勝手に年末調整で控除をさせてもいいものですか?



税理士の回答

年末調整時に提出するのは翌年分の扶養控除等申告書です。
当年分の扶養控除等申告書は前年の年末調整時または当年が入社年であれば入社時に提出を求められるはずです。

よって、年末調整時に翌年分の扶養控除等申告書は提出していなくても、以前に当年分の扶養控除等申告書を提出しており、障害者欄にチェックしていれば、それを元に年末調整が行われ、障害者控除が適用されます。

また、そもそも当年分の扶養控除等申告書の提出がなければ年末調整は行えず、障害者控除も当然に適用されないはずです。

佐藤和樹

会社は、障害者であることが「明確に分かっている」場合、本人の申告がなくても年末調整で障害者控除を適用できます。



【理由と根拠】

● 所得税法施行令 第185条

「居住者が障害者であると会社が知っている場合には、扶養控除等申告書の記載がなくても障害者控除を適用することができる」

つまり、扶養控除等申告書に障害者欄の記載がなかったとしても、会社側が「障害者であることを知っている」状態(=手帳の写しを提出済み等)であれば、年末調整時に自動的に障害者控除を適用することは合法であり、適切な処理です。



【実務上の背景】
• 会社には源泉徴収義務があるため、「分かっている控除は適用する義務」があります。
• 特に障害者手帳の写しなど公的証明を本人から受領している場合は、記載がなくても控除対象として処理することが一般的です。
• 年末調整で障害者控除を適用すると、会社の源泉徴収票には「障害者」欄に◯が付きます(これは制度上、自動的に表示されるため削除できません)。



【あなたの意図と現実のギャップ】

あなた:

控除申請書を出さなければ、障害者控除は適用されず、転職先にも知られないだろう。

実際:

会社は障害者であることを知っており、適法に控除を適用 → 源泉徴収票に反映 → 転職先で閲覧可能



【転職先に知られたくない場合の対策】
1. 源泉徴収票を提出しない(確定申告する)
• 自身で確定申告を行い、新しい職場には源泉徴収票を出さない選択も可能です。
• ただし年末調整が受けられないため、自分で納税・控除申告を行う必要があります。
2. 転職先には「前職の事情で提出できない」などと説明する
• 現行制度上、源泉徴収票の提出は強制ではないため、提出義務があるとまでは言えません。
• ただし、会社によっては給与計算に必要とされる場合もあるため、対話は必要です。

明確な理由と根拠そして対策までありがとうございます。
理解することができました。

所得税法施行令 第185条 相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算になっているのですが、「居住者が障害者であると会社が知っている場合には、扶養控除等申告書の記載がなくても障害者控除を適用することができる」の内容はどちらにあるのでしょうか。

佐藤和樹

根拠となる通達・取扱いは以下のとおりです。

【1】国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(各年度分)
例えば、国税庁が発行する「令和4年分 源泉所得税の改正のあらまし」には次のような記述があります:

「扶養控除等申告書に障害者控除の記載がない場合であっても、会社が当該居住者が障害者であることを明らかに知っている場合には、障害者控除を適用して差し支えありません。」

【2】国税庁タックスアンサー・FAQ(参考)
タックスアンサーでは、次のように述べられることがあります(年度により表現に若干差異あり):

「控除対象配偶者や扶養親族について、扶養控除等申告書に障害者控除の記載がなくても、会社が障害者であることを明らかに知っていれば、障害者控除を適用することができます。」

■ 法令上の条文ではなく、実務上の運用
したがって、この取り扱いは「所得税法」や「施行令」に明文の条文があるわけではなく、実務的な取り扱い・通達ベースで認められているものです。

補足:適用にあたっての留意点
会社が「障害者であることを明らかに知っている」ことが必要です。

障害者手帳の写しを提出しているなど

ただし、年末調整の誤りを防ぐためにも、原則は扶養控除等申告書に記載してもらうのが望ましいです。

本投稿は、2025年05月29日 22時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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