固定資産計上済が返金になった場合
前期に建物附属設備で計上したものが、翌期になり工事をしなくなったんので
全額返金となりました。
前期に減価償却をしております。
このような場合の仕訳はどのようになるのでしょうか。
ご教授お願いいたします。
税理士の回答
【結論】
工事が完成しておらず、引渡しも使用開始もしていなかったのであれば、建物附属設備として減価償却する段階ではありません。前期に計上した固定資産と減価償却を訂正し、翌期の返金を処理します。
【翌期の仕訳例】
取得価額をA円、前期に計上した減価償却費をB円とすると、例えば次の形です。
(借)普通預金 A円
(借)減価償却累計額 B円
(貸)建物附属設備 A円
(貸)前期損益修正益等 B円
【前期の法人税申告の訂正】
前期決算が確定済みで、B円を減価償却費として損金算入していた場合は、前期の法人税申告を次のように修正します。
1. 前期の減価償却明細と総勘定元帳から、誤って損金算入した減価償却費B円を確定します。
2. 前期の法人税修正申告書で、原則として別表四にB円を「減価償却超過額」などとして加算し、前期所得を増額します。帳簿価額と税務上の金額との差額として管理する場合は、別表五(一)にも反映します。
3. 修正後の所得に基づき、法人税・地方法人税を再計算して追加納付します。法人住民税・法人事業税についても、修正後の法人税額や所得金額に基づく修正申告が必要になることがあります。
4. 翌期に前期損益修正益B円を計上した場合は、前期ですでに課税所得へ加算した金額と二重に課税されないよう、翌期の別表四で減算し、別表五(一)の差額を取り崩します。
前期申告ですでに減価償却費B円を加算していた場合は、前期法人税の修正申告は不要です。また、金額や経理方法によって別表上の表示が変わるため、前期申告書、固定資産台帳、別表十六を照合して処理します。
【消費税】
消費税は、前期末までに課税仕入れが成立していたかで処理が分かれます。
1. 工事・引渡し・役務提供がなく、支払額が実質的に前払金だった場合
前期に仕入税額控除をしていれば、前期の消費税修正申告書で、その工事代に係る仕入控除税額を減額します。修正後の控除対象仕入税額、納付税額および地方消費税額を再計算し、増加した税額を納付します。翌期の返金時に、重ねて「仕入れに係る対価の返還等」の調整はしません。
2. 前期に工事の完成・引渡しなどにより課税仕入れが成立し、その後に契約解除・返金となった場合
前期の仕入税額控除は訂正せず、翌期の消費税申告で「仕入れに係る対価の返還等」として仕入控除税額を調整します。
契約書、請求書、工事の進捗・引渡し状況、固定資産台帳、減価償却明細、前期申告書、返金通知をそろえ、前期末時点で建物附属設備の取得と課税仕入れが成立していたかを確認してください。一部工事代や解約金が含まれる場合は、その内訳に応じて処理します。
久保田潤
【状況の整理】
前期:建物附属設備として資産計上 → 減価償却も実施済み
当期:工事中止が確定 → 全額返金を受けた
つまり「そもそも資産として存在すべきでなかったもの」が判明したケースなので、
単純な除却(通常の使用中止)ではなく、前期の会計処理の誤りを当期で訂正するという性質の取引になります。
【仕訳の考え方】
① 資産の取消しと返金の受取り
現金預金 ×××円/建物附属設備 ×××円(取得価額)
② 前期に計上した減価償却費の取消し
前期の減価償却費は「本来計上すべきでなかった費用」なので、減価償却累計額を取り崩し、当期の損益(前期損益修正益)として戻し入れます。
減価償却累計額 ×××円/前期損益修正益 ×××円
まとめた仕訳例
現金預金×××円/建物附属設備×××円
減価償却累計額×××円/前期損益修正益×××円
【注意点】
1.法人税の取扱い
前期の減価償却費が損金算入されている場合、
その訂正が前期の修正申告につながる可能性があります。
2.消費税の取扱い
前期に仕入税額控除を受けている場合、返金は「仕入対価の返還等」に該当し、
当期の消費税申告で調整(仕入税額控除の減算)が必要になる可能性があります。
本投稿は、2026年08月06日 09時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







