不正行為をした従業員に対する損害賠償請求と会計処理
当法人が運営している介護保険の居宅介護支援事業所の管理者(ケアマネージャー)がその権限を使って、介護報酬を粉飾して、市町村に水増し請求を繰り返していたことが監督官庁の検査で判明しました。指導を受けて、水増しの介護報酬を市町村に返納しました。業務遂行中の事故やミスによる損失ではなく、当該事業所の管理者が故意に介護報酬の実績を粉飾したことで生じた損害と考えています。管理者はケアマネージャーの法定業務の多くを放置していました。しかし、管理者は正常に遂行したと偽って、本来であれば減額した介護報酬を請求すべきところ、保険者に対して満額の介護報酬を請求していました。
会計処理では管理者個人に対する損害賠償額を確定させて、損失と収入の仕訳(債務不履行による損失/介護報酬・未収入金/損害賠償金収入)を同時に計上(同時両建説)するべきなのでしょうか?
管理者個人に対する損害賠償請求権はできないと考えて(権利を放棄して)、当期決算で事業費用や雑損失等の科目として処理しても良いのでしょうか?
税理士の回答
不法行為の内容によっては、請求権は存在します。
慎重にご判断ください。
請求権が存在すれば、
(貸付金)/(売上高)
この様に、仕訳します。
請求権が、回収できないと税務上判断できれば、
(貸倒損失)/(貸付金)
この様に、仕訳します。
先程の回答ですが。
(貸付金)/(売上高) この仕訳は、経理処理によって、勘定科目が変わります。
(貸付金)/( )

不法行為による損害賠償請求権については、不法行為による損失の発生と損害賠償請求権の発生、確定はいわば表裏の関係にあり、通常、損失が発生したときには、損害賠償請求権も発生確定しているから、原則として、これを同時に損金と益金とに計上すべきというべきである。
http://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/backnumber/journal/22/pdf/10.pdf
同時両建説の考え方でよいと思います。
回収不能の状況を明らかにしないと、安易な債権放棄は、費用にならず、給与認定のケースも考えられます。
的確なご回答をいただき、ありがとうございました。慎重に対応していきたいと思います。
本投稿は、2018年07月15日 23時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。