貸倒処理に伴う死亡者への債権放棄通知書の発送について
当社はある中小企業の不動産部で、約2年前、駐車場として貸し付け、その後解約した土地がありました。その際、13,000円の滞納があったXさん(女性)に対し、約1年前に3,000円を回収し、残額が8,000円となった以降、支払いがありません。
その後、転居先を訪問するなどしましたが会えないため(表札は姓が同じ男性名;Y)で、先般本人の住民票を取ったところ、死亡の記載がありました。
このような経緯があり、当社の経理担当と協議したところ次のような見解でした。
・真にやむを得ない場合でないと、損金による貸倒れはできない。
相続人がいれば、相続人に請求する必要がある。
それでも支払いを受けられず貸倒れする場合は、損金処理できず有税処理。
・本件の場合、本人が死亡しているが、相続人調査(約3万円)をすると赤字
になるので相続人への請求は不要とするが、転居先に姓が同じ男性(Y)がいる ので、「Yさま方X」として内容証明郵便(普通郵便の場合、写しをとる)によ る「債権放棄通知書」の送付で、損金による貸倒処理を認める。
一方、HPである税理士さんのHPに次ぎような記載がありました。
〇 取引先が倒産などで債権の回収が不能となった場合でも、帳簿上はその債権は資産として計上 されているので課税の対象になり税金が科せられます。こういう 場合、その債権を放棄するとに より税務上損金として処理できます。
〇 ところが税務署は債権の放棄の証拠 がないと損金処理を認めてくれません。
そこで、債務者に債権放棄の事実を内容証明郵便で通知をすることにより証拠 として提出できます。
わたくしは、死亡した者に通知書を出す意味がないと思いますが、経理担当の見解は、ある税理士HPにあるような考え方にもとづくものと思います。
そうであるならば、債務者に債権放棄の事実を内容証明郵便で通知をすることができない証拠、つまり「死亡」が記載された住民票そのものが、税務署が損金処理を認める場合の「債権放棄の証拠」になると思いますがいかがでしょうか?
税務署は「本人への通知」がないと損金処理を認めないのでしょうか?
その場合、恰好だけでも、本人宛(あくまでXあて、Yは記載しない)の配達証明郵便を出し、未着の証拠を残すなどが対案にあると思いますがどうでしょうか?
税理士の回答

Xさんの死亡が住民票で確認され、未回収残高が相続人調査費用を下回っているので、下記の通達により、債権放棄通知をするまでもなくXさんの死亡がわかった事業年度で貸倒損失に計上できると思います。
法人税法基本通達9-6-2(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
本投稿は、2014年11月15日 05時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。