試作に使う電気部品の数量管理
最近、個人事業主として開業した電気技術者です。
保管している電気部品の数量管理について教えて下さい。
試作に使う電気部品は、長い物では30年以上前から保有している部品(当然単価は不明)や、開業前に購入した部品(購入価格は分かるが既にある程度使用された物もある)、ストックが減った時にこれから使用する物が混在する事になります。
例えば、抵抗だけでも100種類位の定数でそれぞれ50本位の数量を常備しています。
設計したら直ぐに試作で半田付けするので、設計後に手配していたのでは遅いからです。又、設計しないと値は決まらないし、同じ定数を多数使用する事も有るので、ある程度の数量は常備しておく必要が有ります。
当初設計した定数で試作して特性を測定し、問題が有れば定数を変更(部品交換)して再測定を繰り返します。その間、交換された元の部品はもう使えないのでその都度廃棄されます。
1. この様な場合で、保有している電気部品の在庫数量管理が必要でしょうか?
2.必要な場合は、どのような管理方法が良いでしょうか?
保有している電気部品を全てリストアップして在庫数量を管理するのは
現実的では無いと思うので、出来れば数量管理せずに消耗品的な扱いと
ならないかな?と思っております。
宜しくお願いします。
税理士の回答

1年超のサイクルで購入するもの、及び重要性の高いものは貯蔵品として在庫管理し、その他のものは消耗品として処理すれば問題ありません。必要な時に在庫切れであわてないように気を付ければいいかと思います。
ご回答ありがとうございます。
30年以上も前から持っている部品等、今は事業に使わないだろう部品(しかし、将来事業に使わないとは言い切れない)や、事業にも使うけれども事業以外(趣味の工作)にも使う物等も有ります。そのあたりの切り分けが難しいのと、在庫管理をどうしたら良いか悩んでいます。
今まで、事業で電気部品を全てストックする事を考えていましたが、良く考えると現時点では、全てのストックは事業に関係ない物を個人で所有している状態とも言えるので、これをそのまま継続し、事業の為に試作部品が必要になったらその分だけ個人でストックしている物を事業用に使い、その代金を試作時点で個人へ支払うという形にすれば、部品の購入先が自分になるだけなので、それでも良さそうに思いますが、どうでしょうか?
そうすれば、ストックを趣味で使っても事業とは切り離されているし、在庫管理も必要ないと思います。

2018年に家事用で買って2019年に事業で使った場合、2018年の領収書は2019年の費用にできませんので、事業で使うものは購入時に在庫または消耗品で処理する必要があります。
ありがとうございます。経費に出来ないという問題が有るという事ですね。
逆に言えば、2018年に家事用で買って2019年に事業で使った場合、2018年の領収書は2019年の費用にしない(=事業用から家事用に支払いしない)ならば、試作品にその部品を使う事は問題無いという事でしょうか?
問題無ければ、
・安価だけれども数量が多くて在庫管理が大変な物は経費に計上せず、家事用のストックとして在庫管理しない
・数量が多くても高価な物や安価でも在庫管理がし易い物は貯蔵品として計上して在庫管理
・1年以内のサイクルで頻繁に購入する物があれば消耗品として計上して在庫管理しない
という運用を考えてみましたが、これなら問題無いでしょうか?
上記の様な運用の場合、経費にならない家事用の部品であっても、試作品に使った場合の試作品の原価計算上は、購入時の単価(それが分からない場合は現時点で購入する場合の単価)の価格を使うという事になるでしょうか?
宜しくお願いします。

2018年に家事用で買って2019年に事業で使った場合、2019年の費用にできませんので、2019年に作った試作品の原価計算上の部品の単価はゼロです。買った年にすべて消耗品か貯蔵品で処理しておき、趣味で使った時はその分だけ自家消費として事業収入とすればよいと思います。
「買った年にすべて消耗品か貯蔵品で処理しておき、趣味で使った時はその分だけ自家消費として事業収入とすればよいと思います。」という事ですが、2018年以前から保有している部品は家事用のみに使い、試作品に使う部品用として、事業用の別ストック棚を用意して2019年に新規に購入すべきという事でしょうか?
「2018年に家事用で買って2019年に事業で使った場合、2019年の費用にできませんので、2019年に作った試作品の原価計算上の部品の単価はゼロです。」という事なので、過去から保有している部品を使う場合は、原価計算上の部品単価はゼロになるという事は分かりましたが、試作品の原価計算上、部品単価ゼロの物が混ざる事には問題が有るのでしょうか?
試作品は、設計した通りに出来ているか測定・評価を行い、出来ていないならば修正をして再度測定・評価を繰り返します。その後は、
1) 廃棄
2) デモ用途等の目的で保管
3) 顧客がほしいというので販売
等の用途が考えられます。
試作品のその後の用途によって問題が生じる可能性が有るのでしょうか?

会計には制度会計と管理会計の2つがあります。制度会計とは決算書作りに使うルールで、期初(例えば2019年初)に在庫(貯蔵品)として計上していない限り当期(2019年)の費用にはできません。一方管理会計は顧客への原価見積りなどを目的としており、どのように計算しても自由です。
ご回答ありがとうございます。
今回のご回答を踏まえると、
1) 安価だけれども数量が多くて在庫管理が大変な物は経費に計上せず、家事用のストックとして在庫管理しない
2) 数量が多くても高価な物や安価でも在庫管理がし易い物は貯蔵品として計上して在庫管理
3) 1年以内のサイクルで頻繁に購入する物があれば消耗品として計上して在庫管理しない
という運用をした場合でも、管理会計は企業の内部で原価見積に使う物で、企業がどの様に計算しても良いのだから、1)の部品原価が制度会計上の価格0であっても現在購入価格等で見積もっても良く、制度会計でも1)の部品が当期費用に出来ないだけで特に問題無いと理解しましたが、この理解で正しいでしょうか?
宜しくお願いします。

そのようにご理解いただいて結構です。1)は経費(消耗品費)に計上して在庫管理しないという方法もあります。
ありがとうございます。認識に問題無かった様で安心しました。
1)は1年を超えて保管する物がほとんどになりますが、金額が安ければ消耗品として経費に計上しても良いという事でしょうか?
その安いというのは単価が10円以下とか、1回の購入金額が1000円以内とか、何か目安が有るのでしょうか?
宜しくお願いします。

金額にかかわらず事業で使うものは買った時に経費または貯蔵品にしないとその後の事業年度で経費計上する機会を失います。重要性の判定に金額基準はありません。ご自身で重要性を判断することになります。
既に保有している多数有る部品が不足した場合、当年度購入して補充した場合、補充分が当年度使われるとは言えないので、安価ならば経費計上しなくても在庫管理しなくて済むならばその方が良いかなと思ったのを1)に分類しました。
先回のご回答では
1)は経費(消耗品費)に計上して在庫管理しない
と有ったのは、1年を超えて保存する場合でも安価なら消耗品として扱えるという意味と理解したのですが、これは認識が間違っている様ですね。
改めて確認させて下さい。以下の認識で正しいでしょうか?
「当年度購入して補充した場合、補充分が当年度使われるとは言えない部品」は、
1) 安価だけれども数量が多くて在庫管理が大変な物は経費に計上せず、家事用のストックとして在庫管理しない
とするのは問題無い。
経費として処理したいならば、2)と同様に貯蔵品にして在庫管理が必要。
宜しくお願いします。

貯蔵品とすべきものは「1年超のサイクルで購入するもの」で「1年を超えて保存するもの」ではありません。
そうしますと、何時試作に使うか分からないストック部品は、1年以内に使うと言い切れないので消耗品で計上出来ず、1年超のサイクルで購入するとも言い切れないのでも貯蔵品でも計上出来ないという事でしょうか?
貯蔵品について調べていて
「試作部品のストックは文房具のストックと同じ扱い」で良い様に思えて来ました。
文房具も、1年以内に使うとは言い切れず、1年超のサイクルで購入するとも言い切れないという点と、必要な時に使える様にストックしているという点も、試作部品と同じです。
ですので、単に消耗品として計上では駄目なのでしょうか?
宜しくお願いします。

貯蔵品は資産負債表科目でストックなので「文房具」と同じ扱いです。消耗品は正確に言うと「消耗品費」で損益計算書科目なので「文房具費」と同じ扱いです。1年以上に使うかどうかは関係なく1年超のサイクルで購入するかどうかで判断されればいいと思います。
「資産負債表科目」「損益計算書科目」というのが分からなかったので、調べてみましたら、参考になるページを見つけました。
貯蔵品は資産負債表科目でストックなので「文房具」と同じ扱いです。
貯蔵品とは、燃料、油、釘、包装材料その他事務用品等の消耗品、耐用年数1年未満又は耐用年数1年以上で相当額未満の工具、器具及び備品のうち、取得のときに経費又は材料費として処理されなかったもので貯蔵中のものをいう。なお、燃料油等で製品の生産のため補助的に使用むされるもの(補助材料をいう。)は、貯蔵品に属せさせることができるものとする。
消耗品は正確に言うと「消耗品費」で損益計算書科目なので「文房具費」と同じ扱いです。
事務用品費 消耗品費とは、鉛筆、コピー用紙、伝票類の作成費など事務処理にまつわる費用で、取得のときに費用として処理されるものをいいます。
事務用品費 消耗品費について期末に未使用のものは、貯蔵品に計上するが、重要性の乏しいものは取得時に費用処理することも認められています。
貯蔵品に関して「1年超のサイクルで購入」というのが理解出来ていないのと、上記ページでは貯蔵品の要件としてそのような表現は見当たらない事から、ご説明内容を理解出来ません。
「1年超のサイクルで購入」とは、2年毎とか3年毎とか少なくとも1年以内では購入しないという意味と理解していましたが、そこの理解が正しくないのかもしれません。
すみませんが、貯蔵品の要件の「1年超のサイクルで購入」についてもう少しご説明いただけないでしょうか?
宜しくお願いします。

国税庁法令解釈通達2-2-15「事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産で各年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ経常的に消費するもので、取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合は、これを認める」となっていますので、これに該当するものは期末に在庫があっても消耗品費とし、該当しないものは期末在庫を貯蔵品として資産に計上します。
「1年超のサイクルで購入」は、貯蔵品の要件という訳では無いのでしょうか?
経費として参入する物は、単に、消耗品費として購入しておき、期末に在庫が残った場合、
・国税庁法令解釈通達2-2-15に該当するならば、全て消費したと同様に扱い在庫管理しない
・国税庁法令解釈通達2-2-15に該当しないならば、本来消費したはずの物が残ってしまったので、残ってしまった期末在庫量を確認して金額に換算して貯蔵品に計上し、来期に入ってすぐに消耗品費に振り替えて消費開始する、来期末に残れば同様に処理する
という運用で良いと理解しましたが如何でしょうか?
宜しくお願いします。

ご理解の通りです。なお1年超のサイクルで購入するものは貯蔵品という科目でなくても材料その他適切な資産科目で計上していただければ結構です。
ご回答ありがとうございます。
「1年超のサイクルで購入」する場合は貯蔵品の要件ではなく、消耗品費に出来ないという意味だと理解しました。
又、消耗品に該当する物で有れば貯蔵品とするのが一般的だけれども、他に適切な資産項目が有ればその科目で計上という事ですね?
抵抗やコンデンサ等の電気部品の場合、単価がとても安い(1ヶ1円とか)ですし、購入時点では消耗品費が適切だろうと思っています。購入後は、「国税庁法令解釈通達2-2-15」に該当するかどうかが問題となります。
抵抗の定数違いが100種類位常時保管していて、設計して定数が決まったらその定数ですぐに試作します。簡単な回路ならば設計・試作・評価は1日の中で終わります。評価で問題が見つかれば定数違いの抵抗に交換します。このような使い方になりますので、この抵抗の定数違いの100種類位の中で、たまたま今回沢山使ってストックが減った物は補充しますし、何年も補充せずにいても大丈夫な物も有ります。
これは、例えば、色違いの色鉛筆を24色保管していて、良く使う色は頻繁に補充するけれど、たまにしか使わない色は何年も補充されないのと同じ事だと思います。
こういう場合、抵抗の定数毎に「国税庁法令解釈通達2-2-15」に該当するかを判断するのではなく、100種類位の抵抗全体をセットにして、「国税庁法令解釈通達2-2-15」に該当するかを判断すると考えて良いでしょうか?
良いのであれば、抵抗は該当すると判断出来、抵抗の在庫管理が不要になると考えます。

お考えの通りで問題ないと思います。
ご回答ありがとうございました。
これで、下記の最初の質問内容に対して、対処方法が明確になりました。
1. この様な場合で、保有している電気部品の在庫数量管理が必要でしょうか?
2.必要な場合は、どのような管理方法が良いでしょうか?
保有している電気部品を全てリストアップして在庫数量を管理するのは
現実的では無いと思うので、出来れば数量管理せずに消耗品的な扱いと
ならないかな?と思っております。

管理の要否、範囲は経営者の判断事項になります。
誤解させてしまった様で申し訳ございません。
1、2は一番最初に書いた質問内容その物です。
ベストアンサーをつけさせていただいた所までのやり取りで、この質問に対する当方の対処方針が決まったという事で本件をクローズさせたつもりでした。
管理が大変な抵抗やコンデンサ等が管理対象としなくても良いと判断出来る等、判断する為の基本的な考え方が分かり、今後に生かしてゆきたいと思います。
長い間お付き合いいただき、まことにありがとうございました。
本投稿は、2019年11月27日 10時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。