配偶者の名義で副業を行いたいが可能ですか?また事業とすることは可能ですか?
初めての質問です。よろしくお願いします。
私は会社員で年収が900万円ほどあります。一方、妻の年収は会社員で300万円ほどです。
2014年より、インターネットでの文章執筆により、広告収入を得ています。
(ネット上では本名は公開していませんが、男性が書いていることは明らかな内容です)
作業は私(夫)がしておりますが、妻名義で広告会社に登録し、広告料の支払いは妻の口座に入金されています。
(税金の面で有利と考えました)
2014年の副業収入は、合わせて60万円ほどで、現在は毎月8万円くらいの収入があり、今後もひと月に5万円は下らない見込みです。
実態は夫の副業ですが、これを妻の名義で確定申告しても大丈夫でしょうか?
また、今回の確定申告では雑所得として確定申告しますが、この程度の収入で今年度から個人事業主になることは可能でしょうか?
(他のサイトで、月に安定して5万円以上稼げるなら、事業主になるよう勧めていましたが、また他のサイトでは、事業とするには食べていけるくらいの収入が必要と書いていました)
妻の収入からすると、年間100万円ほどの収入は事業と見なせるのでしょうか?
また、サイトの運営において、利用者に書籍のプレゼントを行っていますが、これは経費になりますか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答のほど、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
1.妻の名義で確定申告しても大丈夫でしょうか?
インターネットでの広告収入が誰の所得であるかという「所得の帰属」についての問題と考えます。
所得税法第12条では、所得の帰属について「実質所得者課税の原則」を明示しており、所得税法基本通達12-2では、事業から生ずる収益にあっては、その事業を経営していると認められる者が誰であるかによって判定することとしております。
インターネットでの文章執筆に関して、その仕事の意思決定は誰にあったのか、支配的影響力を持っていたのは誰なのか、法的な問題が発生した時の責任者は誰なのか、といった点がポイントとなります。
これらがすべて奥様にあるということであれば、上記の実質所得者課税の原則から、ご相談のネット収入は奥様に帰属すると考えることが可能と思われます。
2.個人事業になることは可能でしょうか?
「事業所得」とは、所得税法では『対価を得て継続的に行う事業』となっており、また、最高裁では、『自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう』と判示しています。上記の「事業所得」に該当しない場合には、「雑所得」となります。
事業所得か雑所得かの判断は収入金額だけでは判断できない、非常に難しい面があります。
奥様の場合には会社員という「常勤の業務」がありますので、単発で副業程度の内容ですと「雑所得」と判断されるのではないかと思われます。
宜しくお願いします。
丁寧にお返事いただき、ありがとうございました。
ネットでの執筆業は妻の監督、指揮の元で行っているという形にしようと思います。
また、事業所得にするのは難しいという点も納得しました。
副業に関しては、ほぼ毎日、3~4時間程度の作業をしておりますが、それでも難しいでしょうか?
何度も申し訳ありませんが、ご回答のほどよろしくお願いします。
事業所得の判定に関しては明確な判断基準はなく、社会通念上事業として認められる場合が事業になるとされています。判例や裁決では「事業」について以下の項目が判断要素とされており、これらを総合的に勘案して事業所得になるか雑所得になるかを判断することになっております。
①営利性、有償性の有無
②継続性、反復性の有無
③自己の危険と計算における企画遂行性の有無
④精神的、肉体的労力の程度
⑤職業、社会的地位
⑥人的、物的設備の有無
⑦生活状況
⑧相当程度、継続して安定した収益が得られているか
奥様の場合には⑦と⑧が不安要素と考えられます。過去の裁決事例で「主として給与収入により生活を維持していることからすると、いまだ事業規模に達していないとするのが相当である。」と事業所得が棄却された事案があります。
奥様のケースも必ずこれに該当するというものではありませんが、ご判断の参考にして頂ければと思います。
宜しくお願いします。
丁寧に説明いただき、よく理解できました。
今後、事業レベルになれるよう、副業の方も力を入れていこうと思います。
確定申告前に相談させていただけ、大変助かりました。
ありがとうございました。
本投稿は、2015年01月25日 17時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。