個人事業主所有の自動車を廃車する際の仕訳について
私は個人事業主で事業をしながら、別途、法人の代表者も務めています。個人・法人の両事業者とも営業車を1台ずつ所有しています。
この度個人事業主の自動車(A)を大きく破損させてしまい、修理が困難なので、廃車(車屋さんに無料で引き取ってもらう)することにしました。
この自動車Aは個人事業主の事業用割合が7分の5で、残存価額約10万円です。
廃車する自動車Aの代わりに、現在法人が所有している自動車Bを個人で買い取って、個人の事業に用いたいと考えています。自動車Bは法人の帳簿上、2022年1月末時点での残存価額が約80万円になる計算であり、個人ではこの簿価で買い取る予定です。また、法人にも営業車が必要なので、自動車Bを私個人に売却して、同時に新たに自動車Cを購入予定です。
以上の状況で、下記①②について教えていただけないでしょうか。
①廃車する自動車Aに関する個人事業主の会計処理(仕訳)はどうすれば良いでしょうか?
②法人と個人事業主を合わせて考えると、個人事業主所有の自動車Aがなくなり、自動車Bが法人から法人代表者である個人に払い下げられ、法人が新たに自動車Cを購入する、という構図になります。法人でも個人事業主でも、それぞれ営業車が必要なため、法人・個人を合わせて合理性を考えてこうした取引をしたいのですが、このような取引自体に何か税務上の問題はないでしょうか?注意点があれば教えてください。なお、法人は家族経営の零細企業で消費税の課税事業者、個人事業主は従業員ゼロの独り身経営で免税事業者です。
税理士の回答

新木淳彦
こんにちは。
①の質問に対する回答ですが、事業用割合が7分の5との事ですから、100,000円に7分の5を乗じた金額を除却損という科目で損失処理して下さい。また、7分の2に相当する金額は事業主貸又は事業主勘定に仕分けして下さい。
②の質問に対する回答ですが、そもそも個人事業主として使用する自動車を必要としているわけですから、あくまでも個人で自動車を購入すればそれで良いことではないでしょうか?
例えば、個人ではなく法人で購入する場合には安く購入できるとかの相当の理由があるのであれば宜しいですが、そのようなことはないですよね。
何れにしましても、法人が法人の役員に対して、法人の財産を売却する場合、利益相反関係に該当いたします。
つまり、簡単に価格を決めることは出来ません。
確かに、法人の直前簿価であればいいのではないかとの考えだと思われますが、あくまでも時価による売買価格が問題になります。
先ほども書きましたように、利益相反関係に該当いたしますので、本来からすれば、株主総会による決議が必要とされます。
中古の自動車だからという考えもあるかもしれませんが、厳密に言うとそうではありません。
また、法人が個人に売却する相当な理由が存在しないと、時価との差額が生じた場合に、法人と個人双方に課税される可能性もあるかもしれません。
ちなみに、法人と個人は別人格ですから、合理性について説明はつかないかもしれません。
ただし、質問者様の記載では、法人所有の自動車の年式や走行距離、維持費関係の内容が不明ですので、あくまでも一般的な考えを記載したにすぎません。
ご検討をお願いいたします。
大変わかりやすいご回答ありがとうございます。①についてはよくわかりました。②については、利益相反関係に該当するということで、株主総会決議と、それ以前に売買価格について時価ベースでの妥当性を考えなければならないということですね。単純に、会社と個人で売買する方が、法人で自動車Bを売却し個人で別の自動車Cを購入するよりも、中古車屋さんの商売分が安く済むと考えたのですが、よく考えなければならないということがわかりました。

新木淳彦
こんにちは。
相談者様のお考えのとおり、利益相反関係に該当するので、株主総会決議と売買価格について精査する必要があります。
では実際に、売買価格をどの様に見積もるかですが、車のディラーに持ち込んで査定依頼をすることですかね。たぶん、この場合には、無償で証明書を発行してくれると思います。
ただし、税務署からすると一か所のディラーでの査定ではと言われるかもしれません。
もう一つの方法としまして、相談者様がお住いになっている地域の、県自動車査定協会を調べて、そこで査定してもらうというものです。
こちらは数千円程度の費用が発生します。
ご検討ください。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。県自動車査定協会で査定という方法があるのですね。同じ自動車を買うのでも法人の方が安く買えるので、ご教示いただいた方法を探って対応検討したいと思います。
本投稿は、2022年01月12日 01時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。