仕掛品等に振替られた損金不算入項目について
例えば、販売活動に使用している固定資産の減価償却費の繰入限度額以上の金額や、費用として認められない見積計上、引当計上の金額は、申告調整で損金不算入として所得に加算されると思います。
一方で、工場で使用している固定資産の繰入限度額以上の減価償却費の金額や、見積計上した工場の関連費は、どのような申告調整になりますか?
会計上、製品や仕掛品に振り替わっているため、PLには費用として認識されておりません。
会計上費用として発生していないのにもかかわらず、損金不算入というアベコベな処理となってしまう恐れがあると思ったのです。
税理士の回答

ご相談者の疑問はもっともです。
実務上は製品や仕掛品に振り替わっている(PLには費用として認識)ものも含めて別表調整しております。なぜなら減価償却超過額などは原価計算においてそれだけを抜き出して別表調整することが煩雑なためです。もしその部分だけを抜き出して計算できるのであればPLを通した分だけを別表調整しても良いですが、減価償却超過額であれば固定資産システムからでてきた資料+原価計算への振り替えの資料から手計算でその金額を算出しないと計算できないと思うので、時間がかかり間違えやすくなります。
そのためPLを通していない分も含めて別表で調整するのが一般的です。
どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは
製造原価は、期首仕掛品+材料費+労務費+製造経費(減価償却費はこの科目)-期末仕掛品で構成され、売上原価は期首製品棚卸高+当期製造原価-期末製品棚卸高で構成されます。
ご相談者様がご記載の製品や仕掛品に振り替わりPLには費用として認識されていないというのは、おそらく製造原価の期末仕掛品への振替と売上原価の期末製品棚卸高に振り替わることで疑問をお持ちだからだと思います。
上記、製造原価の算式で記載の通り工場などで製造に係る減価償却費は一旦、製造経費でPL計上されており、期末時点で仕掛品として残ったものや売れていない製品在庫が単にPLからBSに振り替わっているに過ぎません。
従いまして、製造原価における減価償却費はPL上計上されており、税務上は法定償却額を超える金額は、販売管理費に計上された減価償却費と同様に別表調整する必要があります。
なお、期末時点でBSに計上された仕掛品や製品は、翌期の製造原価や売上原価に計上され費用化されますので、前期で会計上繰り越された製造原価中の減価償却費は会計上翌期以降に費用計上される訳ですが、税務上はあくまでその期に一旦費用計上した減価償却費を法定償却限度によって計上することを求めています。
なかなか上手く説明が出来ず申し訳ありませんが、ご参考になればと思います。
補足となります。
上記で記載した製造原価中の製造経費に計上した減価償却費が150で法定償却限度額が100であるとした場合、単に別表4で減価償却超過額50を加算するだけですので、会計上の売上総利益等の各段階の利益にはまったく影響しないことになります。
南先生
ありがとうございました。バランス上残っているものだけ抜き出すのは、かなりの工数であり、税法上もそこまで求められていないということですね
前田先生
ありがとうございました。会計上の期末在庫にかかる部分ついては、税務上の費用按分が求められていないということですね。

またお困りの際はご相談ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
本投稿は、2018年04月20日 09時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。