パートから業務委託に変更になった場合の事業開始時の帳簿のつけ方と確定申告について
自宅でPC業務をしています。11月から契約が会社都合によりパートから業務委託に変更になりました。
業務委託(個人事業主)として働くことが初めてです。簿記の知識もなく、帳簿のつけ方など不明な点が多いため、今後もご相談させていただくことが多くなるかと思います。よろしくお願いいたします。
〇帳簿のつけ方について
11月初日付けで青色申告とともに開業届を提出しています。
①最初の帳簿のつけ方ですが、事業用とプライベート用の口座も分けておりません。11月1日時点での口座の残金を開始時の金額として表記したらよいのでしょうか?
②自宅の一部屋を利用して事業を行った場合、光熱費やPC(インターネット代)、携帯など主人から支払われているお金も経費として請求できるのでしょうか?
③光熱費は家事按分として経費で請求できると聞きましたが、どのくらい使用しているかの割合で大体で自身で決めてよいのでしょうか?
④今年中古住宅を主人がローンで購入したのですが、自宅で作業していることは経費にできるのでしょうか?
〇確定申告について
2024年は10月末までの給与は70万円ほど、11月以降の事業所得は48万円以下になる予定です。2024年の確定申告はパート先から源泉徴収票をもらい、個人事業主として確定申告を行うのでしょうか?
税理士の回答

奈須大貴
まず、パートから業務委託に変更というものが怪しい気がします。
仮に会社に税務調査が来た場合、外注費(業務委託)ではなく給与であるという判断がなされた場合、質問者様にも不利益が生じる可能性があります。
国税庁のWebサイトにも記載がありますので、ご確認ください。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/73/03/index.htm
①→事業用とプライベート用の口座が分けられていない場合、11月1日時点の口座残高をそのまま事業開始時の「事業主貸」として記録します。
ただし、この場合、事業用の取引とプライベート用の取引をきちんと区分して管理することが重要です。具体的には以下の手順をお勧めします。
事業専用の口座を開設する(可能であれば早めに)。
開設後は、事業の収入や支出は全てその口座を通じて行う。
開業時に事業用として使える資金を、プライベート口座から事業専用口座に移した場合は「事業主貸」として帳簿に記載。
②→これらの費用は、事業で使用している部分についてのみ経費として計上できます。具体的には以下の方法で処理します。
光熱費やインターネット代などは、家事按分を行い、事業に使った割合分だけを経費として計上する。
支払人(ご主人)から事業主(あなた)への負担金として記録。
事業主借として帳簿に記載(例:ご主人が支払ったインターネット代の事業分相当を「通信費」に計上)。
③→家事按分は、合理的な基準で決定します。具体的には:
面積基準:事業で使う部屋の面積が全体の何割か。
例:自宅の面積が50㎡で事業用に使用している部屋が10㎡なら、10/50=20%。
時間基準:1日のうち、その部屋を事業で何時間使っているか。
例:1日24時間中8時間使用なら8/24=33%。
上記のように面積と時間の基準を組み合わせて割合を決定し、明確な理由付けができるようにしておくことが大切です。
④→住宅を事業用に利用している場合、住宅の経費として以下を計上することが可能です。
減価償却費
建物の事業部分について、減価償却費を経費として計上可能です。
自宅全体のうち、事業に使用している面積割合を按分します。
注意:購入者がご主人名義の場合でも、事業に使用している割合を根拠に計算できますが、税務署に合理的な説明が必要です。
住宅ローンの利息部分
住宅ローンのうち、事業使用割合に応じた利息部分を経費計上できます(元本部分は対象外)。
固定資産税や火災保険料
同様に、事業部分に該当する割合を経費にできます。
注意点:これらを経費に計上する場合、ご主人が支払っている部分を「事業主借」として処理する必要があります。適切な家事按分の割合を設定し、証拠資料を保存しておくことをお勧めします。

奈須大貴
2024年の確定申告では、給与所得と事業所得の両方を含めた申告を行う必要があります。以下に具体的な手順とポイントを説明します。
確定申告の概要
給与所得と事業所得がある場合、それぞれを合算して総所得を計算し、必要な控除を適用して税額を計算します。給与所得に対してすでに源泉徴収された税額があるため、最終的に納税額が調整される(還付や追加納税が発生する)形となります。
申告の手順
源泉徴収票を受け取る
パート先から2024年分の源泉徴収票を1月末までに受け取りましょう。これには給与所得や源泉徴収税額が記載されています。
事業所得の計算
11月以降の業務委託(個人事業主)としての収入と経費を計算し、事業所得を算出します。
事業所得 = 収入 - 必要経費
必要経費には、家事按分した光熱費や通信費、仕事に関連する出費が含まれます。
確定申告書の作成
確定申告書には以下を記載します。
給与所得:源泉徴収票を基に申告。
事業所得:事業収入から経費を差し引いた金額を記載。
控除の適用:基礎控除(48万円)や該当するその他の控除(例えば扶養控除、寡婦控除など)。
所得税額の計算
給与所得と事業所得を合算した総所得に基づき、所得税額を計算します。
給与からすでに天引きされている源泉徴収税額がある場合、その分を差し引いて納税額が決まります。
税務署への提出
必要書類を揃え、期限内(2025年3月15日まで)に税務署へ提出します。
電子申告(e-Tax)や郵送、または窓口での提出が可能です。
本投稿は、2024年12月06日 12時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。