建設仮勘定の仕入れ控除について
前期に設計料を建設仮勘定で計上し、仕入れ控除しました。今期まだ建物の完成引き渡しを受けていないため、今期も建設仮勘定て計上します。今期の建設仮勘定について仕入れ控除しなくても良いでしょうか?引き渡し時に仕入れ控除ということで良いでしょうか?
税理士の回答

建設仮勘定のうち、
設計料・資材購入費のように、引き渡しが完了しているものについては、支払った時点で仕入税額控除が可能です。
一方で、前払金、手付金、中間金については、支払った時点では仕入税額控除はできず、目的物の完成引渡しがあった時点で仕入税額控除を行います。
これらを区別するのが煩雑な場合、通達で、建設仮勘定として経理したものは全て、目的物の完成引き渡しの時点で仕入税額控除を受けることができる規定も定められています。
◆ご参考(建設仮勘定の仕入税額控除の時期)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6483.htm

【結論】
引き渡し(完成)前でも、請求書等に基づいて支払いが行われ、適格請求書等が保存されていれば、原則として仕入税額控除は可能です。
ただし、ご質問のように「まだ完成していない」「建物全体としては未引渡し」という場合、一括控除を完成時に行うという処理も実務上一定の整合性を持ちます。
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【ポイント整理】
1. 【原則】消費税の仕入税額控除の要件
消費税法第30条より、仕入控除には以下2つが必要:
1. 課税仕入れがあること(=課税取引に係る支出)
2. 帳簿・適格請求書の保存があること
→ よって、設計料・建設費等の支出について、請求書があり支払済であれば、引き渡し前でも仕入税額控除は可能。
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2. 【建設仮勘定の実務上の扱い】
• 「建設仮勘定」はあくまで会計上の資産計上処理であり、消費税法上の控除タイミングとは直接連動しない。
• 一方、未完成部分に係る支出の控除を、完成引き渡し時にまとめて行う処理も、会計税務の整合を重視する企業では採用されています(特に請負契約ベースで処理している場合)。
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【今回のケースへの対応】
• 前期に設計料について仕入控除済 → OK(帳簿・請求書保存があるため)
• 今期分も支払済・請求書保存あり → 控除しても問題なし
• ただし、引き渡し時にまとめて控除する処理方針でも否認されるリスクは低い(特に建物全体の取得を一体として見る場合)
わかりやすいご説明、ありがとうございました。
本投稿は、2025年05月27日 00時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。