法人申告と決算書について
一般的な質問で恐縮ですが
法人税申告では経費にならないと考えられるものを事前除外できると聞きましたが、決算書をベースに経費にならないものを除外していくのでしょうか?
また決算書と法人税申告書の内容は異なるのでしょうか?
税理士の回答

山本健治
法人税申告書上での別表加算のことでしょうか。
決算書上経費になるものでも税務上は控除できないものは(損金にならないものは)税務調整により加算されます。

決算書(会計)と法人税申告書(税務)は、作成目的や作成ルールのよりどころなどが異なるため、経費(会計)と損金(税務)でそれぞれ共通するものもあれば相違する点もございます。
下記に簡単ですが、決算書と法人税申告書の違いを回答します。
◆目的
決算書:企業の経営成績や財務状態を把握し、株主・従業員・金融機関などの利害関係者に報告するためのものです。
法人税申告書:税務署に対し、企業が納めるべき法人税の額を正確に申告するためのものです。
◆作成ルールのよりどころ
決算書:会計基準
法人税申告書:法人税法
少しでもお役立ちとなれば幸いです。

経費にならないと考えられるものは、決算書ベースで除外するかについて、
基本的には「税務申告書作成時に別表で調整」します。
1. 法人の決算書は会計基準に基づいて作成される(=会計上の利益)。
2. その決算書を基にして、法人税申告書(別表四・別表五など)で税務調整を行い、課税所得(税務上の利益)を算出します。
3. 税務上の経費とならないもの(損金不算入)は、決算書に含まれていても、申告書上で加算調整して除外します。
よくある「経費にならない」項目は以下の通りです。
• 代表者の私的な飲食・旅行費:経費否認
• 高額な接待交際費:限度額超過分は損金不算入
• 法人契約でない生命保険料:経費にならない
• 法人税・住民税などの税金:経費にならない(租税公課のうち一部)
• 認定外団体への寄附金:損金不算入(一部例外あり)
また、決算書と法人税申告書の内容は異なるのかについて、
結論から申し上げると異なります。税務申告書では、決算書の会計上の数値に対して、税法上のルールに従って加減算調整を行います。
• 決算書:会計基準による財務成績の表示(損益計算書・貸借対照表)
• 法人税申告書:税法に基づく課税所得・納税額を計算する書類(別表四・五などで調整)
例:決算書に「交際費500万円」と記載されていても、税務上の限度額が300万円であれば、残りの200万円は別表四で加算され、税務上は損金にならない。
補足として、「事前に除外する」とは、以下2つの意味で使われます。
1. 会計処理の段階で経費計上せず、資産・負債処理などに振り替え
2. 決算書には一旦経費として計上し、申告書作成時に税務調整で損金不算入
本投稿は、2025年06月17日 21時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。