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国内取引、輸入取引、免税取引について

電子書籍の取次(国内・海外出版社➡弊社➡国内・海外電子書籍書店)を行っている会社の経理で働いています。消費税が理解できていないため「消費税申告書の作成手順」などを読んでいるのですが、実務上どう考えていいか分からず教えていただけると助かります。

<国内取引、輸入取引、免税取引について>
① 消費税の課税対処となる取引の条件である「国内取引」に該当するかは、仕入と売上はそれぞれ別々に考えればいいのでしょうか?
(つまりたとえば「国内出版社➡弊社➡海外電子書籍書店」といった商流では仕入と売上を別々に判断する。国内出版社➡弊社は、弊社にとって仕入は「国内取引」)。弊社➡海外電子書籍書店は、弊社にとって売上は「海外取引」)と考える。)

② 「輸入取引に係る非課税取引」について、ここでいう輸入取引とは保税地域から引き取られる外国貨物のことだと思いますが、弊社の海外出版社からインターネット上でコンテンツを仕入れる取引は輸入取引には該当しないという理解で正しいでしょうか?

③同じく輸出取引は免税取引となりますが、弊社がインターネットで海外電子書籍書店にコンテンツを販売する取引は輸出取引に該当するのでしょうか?

④上記を踏まえて、以下の取引の課税区分を教えてください。
 国内出版社➡弊社➡海外電子書籍書店
 海外出版社➡弊社➡国内電子書籍書

<その他>
⑤非課税取引の具体例(土地、利子等)は理解できるのですが、不課税取引の具体例を教えていただけますでしょうか。


税理士の回答

・消費税の課否判定は、売り手の取引をベースに考えます。
・電子書籍の取次というものが、デジタルコンテンツの販売権の購入・販売という認識でよろしければ、消費税法上の著作権の譲渡又は貸付けという取引に該当すると考えられます。
(※エンドユーザーへの電子書籍の配信は、電気通信利用役務の提供と言って、また別の取引となり、消費税の考え方も変わりますので要注意です。)
著作権は形のないものですので、国内取引の判定は、著作権の譲渡又は貸付けを行う者のその譲渡に係る事務所等の所在地で判定するとされています。
・消費税取引は、下記の3段階で判定します。
 ①課税の対象か不課税取引か
 ②課税取引か非課税取引か
 ③10%課税取引か免税取引(0%課税取引)か

①仕入と売上は別取引として、それぞれ課否判定を行います。
②輸入取引は保税地域を経由する取引ですので、本件は該当しません。
③免税取引となる輸出取引等には、「非居住者に対する著作権の譲渡又は貸付け」が含まれます。


・国内出版社⇒貴社
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(国内出版社)の所在地が国内⇒国内取引
 ②非課税取引ではない
 ③免税取引ではない
 ∴10%課税仕入れ

・貴社⇒海外電子書籍書店
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(貴社)の所在地が国内⇒国内取引
 ②非課税取引ではない
 ③非居住者(海外電子書籍書店)に対する著作権の譲渡又は貸付け⇒免税取引
 ∴免税売上

・海外出版社⇒貴社
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(海外出版社)の所在地が国外⇒国外取引
 ∴不課税仕入れ

・貴社⇒国内電子書籍書店
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(貴社)の所在地が国内⇒国内取引
 ②非課税取引ではない
 ③免税取引ではない
 ∴10%課税売上

⑤課税の対象の4要件を満たさない取引が不課税取引です。
 1.国内において
 2.事業として
 3.対価を得て行われる
 4.資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供

具体例は、国外取引、無償の取引、保険金、損害賠償金、寄附金などがあります。
より詳細は、下記国税庁HPをご参照ください。

◆ご参考
・輸出取引の免税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm

・課税の対象とならないもの(不課税)の具体例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6157.htm

丸尾様

早速のご返答誠にありがとうございます。
本を何度も読んでも分からなからず、なかなか会社の周りの方にも聞くことができなかったのですが、おかげさまでかなりクリアになりました。
本当にありがとうございます。

・電子書籍の取次というものが、デジタルコンテンツの販売権の購入・販売という認識でよろしければ、消費税法上の著作権の譲渡又は貸付けという取引に該当すると考えられます。
(※エンドユーザーへの電子書籍の配信は、電気通信利用役務の提供と言って、また別の取引となり、消費税の考え方も変わりますので要注意です。)

➡弊社の商流としては以下となりますがどのように考えたらいいかご教授いただけると助かります。
 国内出版社➡弊社➡国内電子書籍書店➡エンドユーザー
 国内出版社➡弊社➡海外電子書籍書店➡エンドユーザー
 海外出版社➡弊社➡国内電子書籍書店➡エンドユーザー
 ※「国内・海外出版社⇔弊社」「弊社⇔国内・海外電子書籍書店」間で契約を締結するため弊社はエンドユーザーとは契約しません。

お手数をおかけしますが何卒宜しくお願い致します。

貴社はエンドユーザーと取引はないとのことなので、貴社が電子書籍の配信サービスを受けたり配信したりしているわけでなく、電子書籍の販売権を購入・譲渡している取引と捉えました。
その認識が正しければ、上記で回答した考え方での整理になります。

丸尾様

早速のご返答ありがとうございます。
エンドユーザーとの取引はないのですが、「リバースチャージ方式」の①国外取引:不課税、②国内取引:課税については、社内でも議論になるのですが、いただいた上記内容との関係はどのように考えたらよろしいでしょうか?
お手数をおかけしますが何卒宜しくお願い致します。

すいません、資料添付し忘れました。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/cross/01.htm

リバースチャージ方式は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」という消費税取引に適用されます。
事業者向け電気通信利用役務の提供というのは、
「国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、その役務の性質又は取引条件等からその役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの」
となります。

よって、
海外電子書籍書店➡エンドユーザー(事業者)の取引で、電子書籍の内容が専ら事業者を対象としたもの

こんな取引があれば、リバースチャージ方式が適用されます。
この場合、電子書籍の利用者(エンドユーザー(事業者))の住所等が国内であれば、国内取引となります。

ありがとうございます。

弊社の取引が事業者向け電気通信利用役務の提供にあたる場合、「海外出版社➡弊社」は「国内取引」にあたると理解しました。
その場合、前述の下記では「国外取引」「不課税仕入れ」でしたが、リバースチャージ方式では「国内取引」「10%課税仕入れ」になるという理解で正しいでしょうか?
> ・海外出版社⇒貴社
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(海外出版社)の所在地が国外⇒国外取引
 ∴不課税仕入れ


・同じく弊社の取引が事業者向け電気通信利用の提供にあたる場合、「弊社➡海外電子書籍書店」は「国外取引」にあたると理解しました。
その場合、前述の下記では「国内取引」「免税取引」でしたが、リバースチャージ方式では「国外取引」「不課税」になるという理解で正しいでしょうか?
・貴社⇒海外電子書籍書店
 ①著作権の譲渡又は貸付けを行う者(貴社)の所在地が国内⇒国内取引
 ②非課税取引ではない
 ③非居住者(海外電子書籍書店)に対する著作権の譲渡又は貸付け⇒免税取引
 ∴免税売上


・↑お送りした国税庁の資料では「消費者」が登場していますが、丸尾様のおっしゃる「エンドユーザー(事業者)」と消費者の違いを教えていただけますでしょうか。

お手数をおかけしますが何卒宜しくお願い致します。

リバースチャージ方式の場合、特定課税仕入れという特殊な取扱いになります。
リバースチャージ方式は、本来売手にある消費税の納税義務を買手に転換(リバース)する取引です。
つまり、仮払消費税と仮受消費税が両建てされます。
サービス料が10,000の場合
サービス料 10,000 / 未払金 10,000
仮払消費税  1,000 / 仮受消費税 1,000
(本来、国外事業者が立てるべき仮受消費税を仕入側で立てる形となります。)
ただし、課税売上割合が95%以上の場合は、当面の間、消費税は認識しなくてよいことされ、結果
サービス料 10,000 / 未払金 10,000
と、不課税取引として処理します。

・「海外出版社➡弊社」
役務の提供を受ける側(貴社)の所在地が国内であるため、国内取引です。
そして特定課税仕入れとなります。

・「弊社➡海外電子書籍書店」
事業者向け電気通信利用役務の提供は、提供側が国外事業者である場合の取り扱いのため、貴社が国内事業者である以上は、ただの電気通信利用役務の提供となります。
そして役務の提供を受ける側(海外電子書籍書店)の所在地が国外であるため、不課税取引です。

・「エンドユーザー(事業者)」と消費者の違い
どちらもエンドユーザー(電子書籍の配信サービスを実際に受けているユーザー)であることを前提として、
消費者は事業をしていない人、エンドユーザー(事業者)は、事業をしている人・法人です。

お送りいただいた資料の、
リバースチャージ方式 > 左記以外の電気通信利用役務の提供
(国外事業者申告納税方式)
の図をご覧ください。
役務の提供を受ける側に、消費者・国内事業者が出てきます。
電子書籍は基本的に消費者も事業者も利用すると考えられますので、
事業者向け電気通信利用役務の提供でなく、左記以外(消費者向け電気通信利用役務の提供)に該当するのではないかと思います。
詳しくは、下記資料をご参照ください。添付頂いたものより詳しいかと思います。

電気通信利用役務の提供の取り扱いはややこしく、みんなの税務相談の場で細かい説明をするのは限界がありますので、私のこれまでの回答と国税庁の資料で理解できないようであれば、貴社の顧問税理士か、お近くの税理士事務所で税務相談されることをお勧めします。

◆ご参考
国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024003-087_01.pdf

丸尾様

ご丁寧にありがとうございます。
いただいた内容を何度も読み返していますが、確かに非常に難しいですね。
実務でどのように処理しているか確認し、分からなければ顧問税理士に聞いてみようと思います。
色々整理することができました。
大変ありがとうございました。
宜しくお願い致します。

本投稿は、2025年06月21日 16時11分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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