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賃貸経営の決算における建物減価償却費の算定方法

税理士は、「建物価格は、物件購入の契約書中の物件価格に併記された消費税から算出される値を基準にすべし」と主張しています。この値は固定資産税の評価額基準からの算出額で、売主もこの建物価格で税務処理しているので、整合性を取るため、この方法以外は認めないと言っています。この計算方法では、土地価格が過大となり、建物価格が安くなるため、減価償却上、極めて不利となります。私は、土地の時価から求められる建物価格を基準にすべきと要求しましたが、聞き入れません。また、土地の時価は路線価/0.8で提示しましたが、その場合でも、不動産鑑定士による土地の時価評価でないとダメだと言います。そこまで厳しいものでしょうか。
私は、税理士の言う整合性とか評価基準は、一つの方法であって、唯一ではないと思っています。土地の時価基準でも十分説得力があり、認められると思っています。また、土地の時価評価も路線価基準で十分であると思っています。本当に税理士が主張する方法が唯一であり、私の要求するような方法は認められないものでしょうか。

税理士の回答

買主側は建物の価額が、売主側は土地の価額が高いほうが税務的に有利になるので、どちらかに価額が偏るのはトラブルの要因になります。
ただ、本件は契約書に消費税額が記載されており、固定資産税評価額をベースに算定しているとのことなので、現状の方法が妥当かと存じます。
下記、国税庁HPでも、時価の次に固定資産税評価額を推奨しています。
路線価を用いる方法は、土地の価額を先に計算し、残りを建物の価額とするので、建物の価額に疑義が生じやすく、消費税、時価、固定資産税評価額がわからない時に使う按分方法です。

◆ご参考
・建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6301_qa.htm

ご回答頂き、ありがとうございます。
現状の方法が妥当ということは、原則としては分かりました。しかし、建物価格は、その評価方法で極めて大きな差が出ます。今回の例では、次の通りです。
 評価方法  ①土地の時価(路線価換算) ②固定資産税評価額
 土地の価格率   15.6 %          53.3 %
 建物の価格率   84.4 %         46.7 %
建物価格は、固定資産税の評価額では、土地の時価に比べ、半分程度(55%)になり、減価償却費での税額換算で1.8倍も増えます。固定資産税の評価額の土地価格は、時価基準の3.4倍にもなり、極めて不自然です。税額を増やしたい国税庁の策かと勘繰りたくなります。今回は、そこを問題にしています。
契約書や売却側の評価基準に合わせて申請するのは、必須でしょうか。今回から、土地の時価基準に変更するのは、認められないでしょうか。また、土地の時価基準は、不動産鑑定士に依頼しないといけないのでしょうか。その場合の鑑定価格は、実勢価格であれば、路線価換算価格に近いと考えますが、そうはならず、むしろ固定資産税の評価額に近くになるのでしょうか。そうならば、土地の時価基準に変更しても意味がありません。
実は、税理士事務所は、既に、独断で固定資産税の評価額で決算書を提出していました。土地の時価基準に変更し、修正申告するとして、それが認められる可能性はあるでしょうか。よろしくお願いします。

契約書記載の内訳が、あまりにもどちらかに偏っている場合は否認されることもありますが、本件で採用している固定資産税評価額が概ね土地建物で半々の割合であり、偏っていないので固定資産税評価額が妥当だと思われます。
寧ろ路線価換算だと建物に偏りすぎているため、税務調査で否認を受ける可能性が高いです。
上記に記載の通り、路線価方式では建物の評価額に疑義が生じます。
現に相談者様にとってかなり有利なパーセンテージとなっています。

土地建物の時価評価を行う場合は不動産鑑定士への依頼が必須になります。
ただ、鑑定評価をとっても、固定資産税評価額とさして変わらないケースが多いです。(路線価とはまた異なります。)
一方で、不動産の評価上本来考慮されるべき個別事情があるならば、その事情が加味され、鑑定評価の方が固定資産税評価額よりも合理的と判断されるケースもあります。

ご回答、ありがとうございました。
固定資産税評価額の土地評価額は、実勢価格の3.4倍もあり、そちらが不当と思っていましたが、むしろそれが通常であること知り、驚きました。税理の世界と一般人の認識の世界のずれの大きさを痛切に感じますが、現実に通用する判断がご指摘の通りであれば、認めざるを得ません。
また、不動産鑑定士による評価額が、固定資産税の評価額と大差がないというのも驚きでした。修正申告も考えていましたが、これでは行う意味がありません。
貴重なご意見、ご見解を頂き、ありがとうございました。今後の方針を考える上で、たいへん参考になりました。お礼、申し上げます。

本投稿は、2025年07月10日 21時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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