決算月の売上に対する遅延賠償金が将来発生することがわかっているケースの経理処理方法
法人経理担当です。
弊社が決算月に納品したサービスについて、納期遅延による賠償金請求がなされることが明らかになっています。
弊社からの請求自体はいったん満額で行い、後日(翌期)に、お客様より賠償金請求が行われるという手順とお客様より指定いただいております。
賠償額は、契約金額の年利5%を遅延日数の日割りで請求されることになっています。しかし、この遅延日数は、お客様の検収が終わったタイミングにつき、現時点で未定です。(賠償額の概算額は算出できますが、確定値はわかりません)
この場合、
-決算年度の売上には、請求した満額を計上してよいのでしょうか?
-賠償金が発生するということは今期わかっているので、その計上方法をどうすべきか?
-賠償額が確定したタイミングで決算自体を修正申告しなければならないのか?
-通常こういったケースの場合の仕訳例を教えてください。
どうそお力をお貸しください。何卒よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答
決算年度の売上には、請求した満額を計上してよいのでしょうか?
会計上も税務上も満額を計上する必要があると思います。
-賠償金が発生するということは今期わかっているので、その計上方法をどうすべきか?
企業会計原則(注18)に則れば、見込額を損害補償損失引当金として計上すればよいと思います。但し、税務では債務確定主義を採っていますので、実際に支払いが確定するまで損金算入できません。申告書の別表四で、前述の損害補償損失引当金を加算調整する必要があります。
-賠償額が確定したタイミングで決算自体を修正申告しなければならないのか?
決算上は、前述の損害補償損失引当金を取り崩します。税務上では引当金計上年度に別表四で加算調整した損害補償損失引当金を支払った年度に減算調整しますので、修正申告は必要ありません。
-通常こういったケースの場合の仕訳例を教えてください。
例えば、売上が100、損害賠償見込額が105、実際の損害賠償額が103とします。
当期
(借方)売掛金100/(貸方)売上高100
(借方)損害補償損失引当金繰入額105/(貸方)損害補償損失引当金105
これにより決算上は当期に費用105が計上されます。
申告書の別表四で、この損害補償損失引当金繰入額105を加算します。
支払時
(借方)損害補償損失引当金105/(貸方)現金預金103、損害補償損失引当金戻入2
決算上は戻入2が収益計上されますが、前期に計上した繰入105-戻入2=103→損害賠償の支払額となります。
申告書の別表四で前期に加算した引当金105を減算します。
本投稿は、2018年06月29日 14時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。